第15話 『免許皆伝試練』
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修行終了の期日一ヶ月前、つまり俺の初等部入学の一ヶ月前に、師匠から免許皆伝の試練が伝えられた。
「最後に、坊主には高難易度のダンジョンに挑んでもらう。どうだ、燃える展開だろ?」
「…………そうですね」
急に何を言い出すのかと思えば、何の事は無いいつもの厨二発言だった。
俺は今まで師匠の修行で燃えた事なんか一度もないのに、師匠は新しいメニューを入れる度に同じ台詞を言う。
「まあ、今回は最終試練ってだけあって何とご褒美付きだ。例えば役立つ魔法具や業物の武器とかだな。まあ俺の支援者が言うには、とんでもないご褒美があるらしい」
「世界破滅スイッチとかですかね」
俺が冗談でそう言った瞬間、いつも通り俺の膝の上にいたリアナが震え、泣きそうになりながら俺の方を見た。そんなリアナの頭を苦笑しながら撫でる。
リアナは良くも悪くも純粋過ぎる。怖がらせる冗談はリアナの前では控えよう。
「食料は迷宮で確保しろ。水は一週間分で、寝袋は二つ。他は特に必要ねえだろ。っとそうだ、火打石も持っていけ」
大きめの革袋が床にいくつもあったのはほとんど水だったのか。重そうだが関係無いな。
俺は収納を使うとその中に革袋を次々投げ込む。
収納は覇属性魔法で、物を別次元に収納する魔法だ。
これがまた便利で、俺の場合部屋を丸ごと収納できる。これは自分の魔力量によって収納量も左右されるようだ。アーサー王は小さな城位なら丸ごと入るらしい。やはり化け物だ。
「俺の魔法杖持っていっても良いですか?」
「別に良いが、お前のスタイルは一応近接型だろ? かえって邪魔になるんじゃないか?」
「念には念をって事で」
魔法杖を使うことでのメリットは大きい。
魔法杖を介して魔法を発動すると、魔力の使用料は少なくなる。それは今回の迷宮探索で大きな効果があるだろう。
それに、単純に魔法の威力が上がるのも嬉しい。
「面倒だから準備期間なんて与えん。さっさと行くぞ」
「え、今日から始まるのですか?」
「当たり前だろうが。ほら、キリキリついてこい」
師匠はさも億劫そうに頭をかくと、エクスカリバーを持って外に出た。俺達も慌ててリアナに服を着せさせてついていく。
「それに、迷宮ってどこにあるのですか? ここら辺にそんなもの無かった気が…………」
「ああ、どうも例の支援者サマが作ってくれたらしくてな。山頂に入り口がある」
…………迷宮を作っただ? あれはそもそも人工でできるものでは無く、完全な天然自然物だったと思うんだが…………
その迷宮を作るって事は、地面等の地形を変形させなければならない。その支援者、ますます何者か分からなくなってきた。
山頂に着くと、ピラミッドの入り口を連想させる長方形の入り口がいつの間にかできていた。
「もちろん俺はこの試練の監督者だからついていかないぞ。お前とリアナだけでクリアしろよ」
「クリア条件は?」
「最下層にいるボスの討伐。案外簡単だろ?」
討伐……………か。最後はテンプレっぽく師匠かと思ったが、そこまで無理ゲーで無いらしい。その支援者も一応難易度は考えているか。
「そうだ、少しだけヒントをやるよ。迷宮は全部で五層。下層に繋がる階段は一つ。一階下がると迷宮の面積は半分になる。最後の階層にはボスが一体だけ。そんで重要なのが、中にいる魔獣は階段を行き来する事はおろか、階段に足を踏み入れる事は出来ない」
なるほど、一階下がる毎に面積が半分になるのは嬉しい。最後の方はどうしても辛くなってくるからな。
それに、魔獣は階段を行き来不可能な所が最高だ。師匠はそこで寝ろって言っているのだろう。
これらを総合して考えると辛いのは一層だ。最初から気合いを入れていかないと痛い目を見そうだ。
「それじゃ行ってこい。今まで学んだ事を生かせばクリア出来るはずだ」
『まア、死んダら終いだカらな。上手くやレよ』
「…………行ってきます」
正直、不安は凄くある。師匠は始めにこの迷宮を高難易度って言ってたし、エクスカリバーも死ぬ可能性があると暗に言った。
つまり、俺もこの約二年で強くなったものの、それでも死の危険を孕んでいる場所らしい。
それでも、自分の力を試せるかと思うと、ワクワクする気持ちもあった。
リアナと出会ってから俺は段違いに強くなったし、魔力量も確実に上がっている。
ここまで辛い思いをして来たんだ。その努力、最後に実らせようじゃねえか。
おい、俺ってここまで熱血だったっけ? ったく、やはり二年も一緒にあの人といると性格も変わってくるみたいだ。
静かに笑っている俺をリアナは怪訝そうに見ていた。少し気味悪がられたかな。
「リアナ、よろしくな」
「…………ん」
俺が頭を撫でると、リアナは満足そうに頷いてから手を繋いで迷宮の階段を降りていった。
明日も投稿予定です。
今週はバシバシ投稿していきます。




