第14話 『精霊の実力』
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次の日の早朝、俺に抱きついていたリアナを起こさないようにしてベッドを出る。
運動着に着替えてからリビングに行くと、いつもなら起きてリビングにいるはずの師匠の姿がない。テーブルの上に酒瓶がいくつもあるのを見る限り、遅い時間まで飲んでいたみたいだ。
いつも通り身体強化無しのランニングと筋トレを終えて家に戻ると、ソファに涙目のリアナが座っていた。
リアナはリビングに入ってきた俺の姿を見るや否や、俺の腹に向かって猛烈なタックルを仕掛けてきた。頭が鳩尾に深く突き刺さる。
「起きたら坊主がいなくて心配したんだとよ。愛されてんなあ」
気持ち良さそうに眠っていたから起こさないようにしたんだが、どうやら逆効果だったらしい。
「ゴメン、朝のトレーニングに行ってたんだ。心配してくれてありがとう」
「…………いいの。でも、次からは私も連れてって?」
またもや上目遣いに涙目…………この子、狙ってやってる訳じゃないだろうな?
無言で頷いてから頭を撫でると、花が咲いたような笑みを浮かべた。ルナとエリサもそうだけど、笑顔が可愛い子は良いものだ。
「坊主、今日の修行は精霊の扱いについてだ。早く飯食って外に出てこい」
「あ、はいっ。すぐ行きます!」
そのままリアナを抱えてテーブルに向かい、急いで口に詰め込みながらリアナにも食べさせてやる。俺の意図を汲んだのか、昨夜よりも速いペースで食べてくれた。
「そう言えば、リアナの服はどうするんだ?」
結局、彼女が今着ているのは俺のシャツ一枚のみ。誰もいない山奥だからと言っても、その格好で外に出るのはさすがにマズイ。
「……魔力で作れるよ?」
「本当か? それなら是非頼む」
リアナは俺の膝から離れると全身から魔力を放出させ、その魔力を身体に纏った。身体強化に似ている。
一瞬のうちに魔力が収まり、リアナは白を基調としたヒラヒラのワンピースを着ていた。若干脇の辺りが露出しているが、まあ良いだろう。
「一応、各属性と物理の耐久も付与してある」
「へえ! それじゃ鎧みたいなものか」
「でも、レイのシャツは気に入ったから家の中ではそっちを着るね」
「う、うん。分かったよ」
それにしても、無駄の無い綺麗な魔法だったな。詠唱も無かったし、やはり精霊は人間とは違うらしい。
師匠を待たせてはいけないのですぐに出る。
家から離れている開けた場所に行くと、エクスカリバーを持っている師匠が立っていた。師匠がエクスカリバーを持っているのは初めて見たかもしれない。
「よし、やっと来たな。早速、精霊の使い方について説明する。まず最初にリアナ、お前は剣になる事は出来るか?」
「……うん。元々そういう風に作られてるみたいだから」
「…………そうか、なら話は早い。坊主、まずは見本を見せてやるよ。下がってろ」
師匠はエクスカリバーを上段に構えると、目を瞑って深呼吸をする。
目を開けると、師匠の手からエクスカリバーに魔力が注がれた。
『喰らえ、神をも殺す必殺の剣【エクスカリバー】ーーーーッッッ!!』
師匠は構えた真っ直ぐ振り下ろすと金色の光線が放たれ、その直線上にあった木を薙ぎ倒し、地面を焼き焦がした。
そのままエクスカリバーを振り、半透明な衝撃波を生み出す。それを何回かする頃には、開けた場所がさらに木の数が少なくなっていた。
「坊主、エクスカリバーを撃った時とその後の素振りの大きな違いは?」
「…………師匠が魔力を込めてるか、ですか?」
「正解。精霊の強みってのは、契約者が魔力を使わなくても強力な攻撃を放てるって事だ。ちなみに、撃ったエクスカリバーも並の魔力爆破三回分位の魔力しか使ってねえ」
『ケケッ、俺だっテ上位の精霊って言ったロ?』
…………師匠も強いが、エクスカリバーも相当なものだ。後の衝撃波だって確実に俺の魔力爆破より威力は上だ。それを溜め無しでバンバン撃つのか…………やっぱり天帝の力は伊達じゃないか。
あのエクスカリバー、俺が撃たれたらまず間違いなく死ぬ。それが、まだ本気じゃないんだろう。それほど、俺と師匠には絶大な壁がある。
「ほれ、次はお前らの番だ。大丈夫、初めて魔法を使うより楽だから」
「リアナ、剣になれるか?」
「うん、任せて」
リアナは俺の手を握ると、さっきと同じように魔力を身体に纏わせる。いや、さっきよりも格段に魔力の量が多い。
リアナの全身が黄金の光に包まれると、俺の手の中には一振りの長剣があった。銀色に光る剣の柄にはリアナの眼とお同じ青色の宝石が嵌められていた。
一回素振りすると、重すぎずそして軽すぎない、まるでオーダーメイドされたかのようにピッタリだった。
『レイ、これが私の剣の姿』
「……驚いた。喋れるんだね。剣の姿の時も綺麗だよ」
俺は刀身を撫でると宝石が点滅した。
…………クサ過ぎる。少し離れた場所で師匠とエクスカリバーが大爆笑していた。顔から火が出るほど恥ずかしい。
「……で、俺はどうすれば良い?」
『とりあえず、さっきのエクスカリバーみたいにやってみる。適当に私を振ってみて?』
リアナを振るって所に少し躊躇いを感じたが、言われた通り適当に袈裟斬りをしてみる。
一瞬だけ刀身が光り、そこから金色の衝撃波が放たれ目の前の木を真っ二つにした。
「…………スゴい。こんなに簡単に出来るなんて」
「そりゃ、そんだけリアナが優秀って事だ。記憶を失っているって言っても流石最上位精霊サマって訳か」
確かに、今衝撃波が出たのは全部リアナのお陰だ。俺が何かしたって訳じゃない。
それでも、少しだけ浮かれてしまう。師匠と同じ事が出来たのは初めてだったから素直に嬉しい。
『こんな事もできるよ?』
リアナがそう言うと、リアナから俺に黄金の魔力が注がれ、それが俺の身体を纏う。身体が一気に軽くなった。
これは、身体強化か? いや、それよりももっと動きやすい。この状態は、身体強化の覇属性版で上位互換の金剛力だ。
俺が一ヶ月苦労して使いこなせるようになった魔法がこんなにも簡単に………………
半ヤケクソ状態になってリアナを振り続ける。百回以上やって虚しくなっても、リアナの魔力が切れる事はなかった。
「……リアナ、大技も出来るか?」
『どんな感じがいい?』
「……さっきまでやってた衝撃波を大きくした感じで」
自分でもやりたくて練習していたのだが、如何せん魔力物質化で作った剣の方が壊れて上手くいかなかったのだ。せっかくこの世界に生まれたんだから、必殺技の一つや二つ欲しいよな。
『試してみる。魔力ちょうだい』
俺はリアナに魔力を注ぎ込むと、宝石の部分が強く光った。凄く厨二っぽいが、あえて何も言うまい。気にするな、俺。
一回心を落ち着かせてから下段に構える。さっきの袈裟斬りと同じ要領で大きく一歩踏み込み――――――――
『【斬月剣】ッッッ!!』
放たれた衝撃波は今までのものと比べるまでもない程に大きく、エクスカリバーに負けない勢いで木々を薙ぎ倒し、空の彼方に消えていった。
「良いじゃねえか。俺のエクスカリバーと比べるとまだまだだが、即興で作った割りには上出来だ」
『…………私たちの方が強かったもん』
リアナって結構負けず嫌いな所があるのかな? やっぱり、リアナはどうもルナとエリサに似ている所がある。
リアナが剣の姿から元に戻ると、俺に抱き付いて甘えるように頬を寄せてきた。
「魔力ほじゅうなの。私頑張ったよ?」
「ああ、偉い偉い」
やっぱり、師匠の言う通りリアナは凄く優秀なんだろう。初めて魔法を使った時もそこまで苦労した覚えもないが、それでもその時よりずっと楽に出来た。
結局、甘えるリアナが可愛いのもあって、俺はリアナが満足するまで頭を撫でてやった。




