表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生覇王と銀乙女 ~チートスペックで異世界転生~  作者: 夕見京成
第1章 ~異世界転生動乱編~
14/24

第12話 『殺生』


 よろしければ、感想やレビュー、評価等していただけると嬉しいです。

 少しでも気に入っていただけたならば、是非ブックマークをして頂けると幸いです。

 モチベーションアップに繋がり、跳び跳ねる程嬉しくなります。

 定期的な執筆を心掛けております。

 何卒、よろしくお願いいたします。




 修行を始めてから三ヶ月が経過しようとしていた。

 最初に魔法を使う所までは恐ろしいほど順調であったが、そこから一旦魔力操作や剣術、体術に時間を割き、結局使えるようになった魔法は無属性魔法の身体強化(ブースト)魔力爆破(エクスプロージョン)魔力物質化(マテリアライズ)、覇属性の魔力物質化(マテリアライズ)・覇、明鏡止水の五つだけだった。


 魔力爆破(エクスプロージョン)は球体状にした魔力を爆発させる魔法である。威力は込める魔力の量によって変わるので一概には言えないが、中級魔法なのでたかが知れている。


 それに比べて、新たに覚えた他の三つは攻撃系の魔法ではなく、身体強化(ブースト)と同じ応用系の魔法だ。


 魔力物質化(マテリアライズ)は魔力を物質に変換する魔法。主に剣や槍等を作ったりしている。

 覇属性魔法の魔力物質化(マテリアライズ)・覇は魔力物質化(マテリアライズ)の上位互換で、硬度等が格段に上がる。

 明鏡止水は思考を加速するだけの簡単な魔法に思えるが、効果は予想以上だ。




 そして、今俺と師匠はというと、木上からゴブリンを息を潜めて観察していた。


 アーサー王の事を師匠と呼ぶのにも大分慣れ、今では違和感無しで言えるようになってきている。

 師匠も最初は照れ臭そうだったが、今は結構ノリノリだ。


「坊主、そんじゃ第一の試練だ。あのゴブリンを殺せ」

「それだけですか?」

「もちろん、条件付きだ。武器は魔力物質化(マテリアライズ)で作った長剣一本のみ。それ以外の魔法の使用は一切禁止とする」


 …………一見単純そうに見えるが師匠の事だ。何か考えがあるのだろう。

 魔法の使用を禁止という事は実戦で剣の練習をするという事か。いや、何か煮え切らないな。


「ほれ、早くしろ」

「は、はい。『【魔力物質化(マテリアライズ)】』」


 俺が詠唱すると、手の中に一振りのシンプルな剣が生まれた。魔法の使い始めは中々デザインするのが難しかったのだが、今では慣れたものだ。


「よし、それじゃあホイ」

「何ですか、それ?」


 師匠はポケットから黒の腕輪を取り出すと、無造作に俺の腕に取り付けた。

 重さはあまり感じない。一体どういった意図が?


「それはな、黒鉄(くろがね)の腕輪って言ってな、魔力操作を阻害する働きがあるんだ。それで、お前は魔法を使えなくなった。さらに、ドーン!」

「へ――――――――うわっ!」


 師匠は腕輪の説明をすると、前触れも無しに俺を木から突き落とした。


 何とか受身をとって立ち上がると、目の前にはゴブリン。二つの緑色の瞳と

目が合った。


『ギギッ!』


 先に動いたのはゴブリンだった。手に持っていた棍棒で俺を殴ろうとしたが、咄嗟のバックステップでそれを回避する。棍棒が空を切った。


 俺はいつも通り剣を中段に構え、走り出そうとする。


 しかし、足が一歩も動かない。ただ震えるばかりで俺の命令を聞かない。気付かないうちに腕も震えていた。一つの命を奪う事が、平和な日本に暮らしていた俺には不可能だった。


 震える俺を見て、目の前のゴブリンは獰猛に笑った。まるで、動けない羊を目の前にした狼のような笑み。


 もし俺が無抵抗のままだったら、コイツは俺の事を殺すだろう。何の躊躇いもなく。そんなヤツに慈悲を与えるのか? コイツは生かす価値のあるヤツなのか?



 敵だ。目の前の魔獣は敵だ。敵は殺す。殺す殺す殺すころすころすコロスコロス――――――――!



 いつの間にか身体の震えは収まっていた。そして、俺の剣には気持ち悪い緑色の液体が付着していた。


「…………付いて来い」


 師匠は木から飛び降りると、俺の腕に嵌まっていた腕輪を外し、それ以上言わずに森の中へと歩き出した。俺も無言で後を追う。




 少し歩くと開けた場所に出た。そこには十体位のオークの群れがあった。


 オークはDランク魔獣であり、Fランク魔獣のゴブリンとは格が違う。


「殲滅しろ。ただし、魔力爆破(エクスプロージョン)は使うなよ」

『…………【身体強化(ブースト)】【魔力物質化(マテリアライズ)・覇】』


 俺は自身に身体強化(ブースト)の魔法をかけると、魔力物質化(マテリアライズ)・覇で自分用の剣を作り、槍を二ダース作って頭上に浮かべた。

 それを二体ずつ計四体に向けて射出し、悠々と残ったオークの元に近づく。


『ギャアアアアアア!』


 槍が直撃したオークは声を上げて絶命する。それと同時に、残ったオークが一斉に俺の方へと向いた。


 俺は足に追加で魔力を込め、近くのオーク目掛けて跳躍する。

 一振りでオークの首を斬り落とし、そのままの勢いでもう一体の頭に剣を突き刺す。

 切り口から緑の液体が噴射され俺の服を汚すが、気にせず死骸を蹴って剣を抜く。


 ――――――後四体。


 そう思いながら後ろを振り向くと、一体のデカイ棍棒を持った大きいオークと、その後ろに隠れた三体の小柄なオークが俺に怯えた目を向けていた。

 恐らく母親オークと子供オークなのだろう。この群れは家族だったに違いない。


「…………師匠が言いたい事はこういう事なんですね」

「ああ。ここでお前が殺さないと、コイツらは他の人間を殺める事になるだろう」


 コイツらは人間に害悪をもたらす魔獣だ。頭ではそれを理解している。それなのに、またしても俺の身体は動かない。


「最初の覚悟は()()()()()()()()だ。魔獣とは言え、生き物は生き物。さあ坊主、お前に出来るか」

「……………………」



 コイツらも敵だ。俺や師匠、父上や母上、グレンやルナ、そしてエリサを殺そうとするヤツ。生かしておけない。



 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()…………!



『…………【魔力物質化(マテリアライズ)・覇】』


 俺は残った魔力で百本以上の槍を生み出すと、それを容赦なくオークに向けて放った。肉に突き刺さる音、飛び散る音が聞こえてくる。


「…………ハアッ…………ハッ」


 魔力切れの症状が出て、倦怠感が俺を襲う。しかし、この倦怠感はそれだけでは無かった気がした。吐き気すらも出てきた。


 これが最善だった。生かすなんて選択はなかった。ヤツらは人間にとって不利益しかない存在。これで良い。そう、これで――――――――





 次の投稿は来週の金曜日になります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ