表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生覇王と銀乙女 ~チートスペックで異世界転生~  作者: 夕見京成
第1章 ~異世界転生動乱編~
11/24

第9話 『邂逅』


 よろしければ、感想やレビュー、評価等していただけると嬉しいです。

 少しでも気に入っていただけたならば、是非ブックマークをして頂けると幸いです。

 モチベーションアップに繋がり、跳び跳ねる程嬉しくなります。

 定期的な執筆を心掛けております。

 何卒、よろしくお願いいたします。




 その日の夜、俺は少し暗い気持ちで父上のアーサー王に関する話を聞いていた。

 失礼な話だが、俺は元々アーサー王の物語は自分で調べていたし、気分的にも父上の話は全く耳に入ってこなかった。


 グレンが儀式の間から出ていった理由は大体の予想がついている。

 アイツは意外と負けず嫌いな所があるからなぁ…………。


 しかし、グレンのことも心配なのだが、俺もやっと儀式が終わったのだ。これで本格的に魔法の練習をすることができる。まずは誰でも使える無属性魔法から始めるとするかな。


「レイ、明日は祝日だから丁度良い、俺と剣の訓練をしないか?」

「剣、ですか?」

「アーサー王はな、勿論優れた魔法使いでもあったのだが、それ以上に凄腕の剣士だったと言われているのだ。俺と同じ魔法戦士ってやつだ」


 魔法戦士って厨二感満載の単語が出てきましたよ…………。

 魔法とかには慣れてきたが、まだ厨二発言を聞くと笑ってしまう。

 落ち着け、ポーカーフェイスだ。今こそ社畜として培ったこの力を…………!


「ランディ、レイくんも折角儀式が終わったのですから、好きなようにさせてやってみては如何でしょう?」

「しかしセレス、王国男児としてやはり剣は――――――」

「御食事中大変申し訳ございません。ランドルフ様にお耳に入れたいことがございまして」


 珍しく食堂にいなかったワイズが急に入ってきたかと思うと、少し慌てた様子で話し始めた。いつもなら食事が終わった後に報告するはずなのだが、そこまでの緊急事態なのか?


「実は、屋敷の外に自らをアーサー王と名乗る(やから)が現れまして…………」

「何ッ!? そんな不届き者がいるのか。分かった、すぐに行こう」


 父上は激昂しながら食堂を出ていった。

 俺の属性が分かったタイミングでアーサー王と名乗る者が現れるなんて、とても偶然とは思えない。

 気になったので後をついていこうとする。母上は心配していそうだったが、苦笑しながらも見送ってくれた。


 父上に気付かれないように庭に出ると、門の外で何人かが激しく口論しているのが見えた。その中に、見覚えのない二十代前半の黒髪黒目の男がいる。確かにアーサー王と似ているようだが…………


「おーい、お前がレイか! 早くコイツらの誤解を解いてくれよ」


 黒髪の男は俺に気付くと、大声で俺の名前を呼んだ。

 この男、どうして俺の名前を知っている? 何でこんなに馴れ馴れしいんだ?


「何故レイの名前を知っているのだ!」

「俺の雇い主から聞いたんだよ。あ、ソイツの正体は教えねえからな」

「貴様、からかっているのか!」


 父上は腕を振り上げると、その拳に炎を纏ってそれを男に目掛けて降り下ろした。


 男はため息を吐くと、片手で父上の拳を受け止めた。


「なん…………だと」

「二十点。そこそこ良いパンチだが、そんなもんじゃ魔将軍には歯が立たねえわな」


 父上もまさか受け止められるとは思っていなかったらしく、面を食らっていた。

 この男、魔族のことも知っているのか。まさか、本当に………………?


「父上、もしこの者が本物のアーサー王なら、貴方の魔力は金色(こんじき)の筈です」


 俺は男に近づくと、魔力を見せるように言った。


「確かにそうだな。お前、頭良いな!」


 男は担いでいた剣を構えると、それに魔力を流した。

 流れた魔力の色は、辺りを照らす黄金の輝き。見間違える訳がなかった。


『ったク、久し振りに使わレたと思ったラ松明の代わりじゃねえカ』

「悪かったよ。こうするのが手っ取り早いと思ってな」


 金色の魔力に喋る剣…………間違いない、あの剣がエクスカリバー。そしてあれが本物の――――――


「ってなわ訳で、俺がアーサーって理解できたな。ほんじゃ、適当によろしく」




     □■□■□■□




 あれからすぐに、父上はアーサー王に土下座し、何とか事なきを得た。と言っても、当のアーサー王は笑いながら父上の肩を叩いていたが。

 俺の目の前で土下座をする父上は何ともカッコ悪かった。


「おいランドルフ、俺がいた時よりもずっと飯美味くなってんじゃねえか。それに、ルーミリア王国もまだ続いていたとはなぁ」


 今はアーサー王を屋敷に招いて一緒に食事の続きをしていた。

 アーサー王はビックリするほどフレンドリーで、まるで親友かのように皆に接する。コミュ力の差を痛感した。


「さて、と。そろそろ真面目な話でもすっか」

『お前ガ真面目な話をすルなんて、結構気持ち悪イもんだナ』

「やかましい」


 アーサー王はおしゃべりな剣を小突くと、姿勢を正した。それに釣られて俺達も背筋を伸ばしてしまう。


「先に言っておくが、俺がどうして生きているかは言えん。雇い主サマからの言い付けでよ」


 俺達の最大の疑問を先に答えられてしまった。残念だが仕方ない。今度酔わせてちゃっかり聞いてみるか。



「坊主、まずは覇属性って分かって良かったな。嬉しいだろ?」

「あ、ありがとうございます」

「んでもって、ご愁傷さま」

「………………はい?」


 アーサー王は急に属性の話を持ち出したかと思うと、これまた急に哀れんだ。意味が分からん。何かの意図があるのか?


「二代目天帝になれて嬉しいとは思うが、それと同時にお前には背負わなくちゃいけない物もできちまった。とても悲しいことにな。何だと思う?」


 背負わなければいけない何か。今までそんなこと考えもしなかった。ただ、自分があのアーサー王と同じ属性って分かってはしゃいでいた。

 悲しいこと………………か。意味が分からん。


「…………期待でしょうか?」

「うーん、何ともお利口さんらしい考えだ! だが残念、そんなチンケなもんじゃあないな」

「……………………」


 うわー、今凄くイラッと来ましたよ。お利口さんって、アンタ俺の何を知ってんだよ。この無駄にイケメンな男腹立つぞ。

 チンケなものじゃないって言われても、サッパリ検討もつかない。何を意図しているんだ。


「正解はな坊主、()()()()()だよ、意味分かるか?」

「………………は?」

「ククッ、あーその間抜け面最っ高!」


 俺がただ驚いていると、アーサー王は腹を抱えて笑いだし、エクスカリバーは剣身を机にカチカチと打ち付けて笑った。

 コイツら、人にフラストレーション溜めさせる天才か。


「いやー、まあ真面目な話、魔族って知ってるだろ」

「はい、実際見ましたから」

「へえ、そんじゃ話は早い。というか、ここまでヒント与えたんだから分かってくれよ」

「…………魔王の討伐ってことですよね」


 アーサー王は俺の答えにただ歯を見せて笑った。しかし、それだけで充分だった。

 魔族が現れたと言うことは、必然的に魔王もいるはず。それを倒すのが俺?


「し、しかしアーサー王、いや陛下、レイはまだ子供です。世界を背負うなど…………」

「面倒だからアーサーで良いぞ。まあ、そりゃ()()()子供だったら無理な話だな」


 アーサー王はそう言うと、意味ありげな笑みを俺に見せた。この人はやはり俺の秘密を知っているのか?

 いや、情報源は雇い主だって公言していた。俺を転生者だと知り、尚且つ俺が覇属性の使い手だと知っている。一体何者だ?


「坊主がやる気なら俺が明日からでも稽古をつけてやるぞ? 人類存亡の危機だ。」

「………………」

「ま、今すぐとは言わねえ。一晩じっくり考えるんだな。ランドルフ、今夜ここに泊めてくれねえか?」

「は、はい!」


 アーサー王は言うだけ言ってさっさと食堂から出てしまう。残ったのは俺と母上とエミリィだけだった。食堂が急に静寂に包まれる。一刻でも早くこの場所から逃げ出したかった。


「エミリィ、今日はもういいから。母上、失礼します。休みなさい」

「レイくん…………」


 母上は何か言いたそうだったが、それに気づかないフリをして食堂から出て自室に入る。そのまま寝間着に着替えずにベッドの上に寝転がった。


 正直、急に世界を背負えって言われても、全く実感が湧いてこなかった。

 前世はただのサラリーマンだった俺が、魔王を倒す勇者になってくださいと言われて、はいそうですかと答えられる訳がない。

 勿論、魔王と戦うってことは死の危険がつきまとうことになるだろう。折角転生したのに、俺はもう一度死ぬのか…………?


 結局、その日のうちに結論が出ることはなかった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ