第8話 『儀式』
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グレンとルナの八歳の誕生日の次の日、俺達四人は陛下や王妃、父上と母上も一緒に王城のある一室にいた。
部屋の中はカーテンで日光を遮られていて薄暗く、地面には六芒星の少し気味が悪い魔方陣が描かれており、小さめの照明魔法具が中心からやや外れた所に一つあるだけだった。
「初めてレイ君から会ってもう二年近く経つのね。案外短かったわ」
「俺はこの時が待ち遠しかったですよ」
グレンとルナが八歳を迎えたことによって、俺達三人は適性儀式を受けることができるようになった。
元々ルナの我が儘で三人一緒に受けようという話になっていたのだが、どうせならと俺が二人の誕生日の次の日にしようと言ったのだ。
そのせいで、今回見学のエリサは疲れが取れてないらしく、眠そうで目が開けきれていない。
この適性儀式は魔力量と同時に自分の使える属性も確認できる。部屋を暗くしているのは、地面の魔方陣が属性の色に光るからだそうだ。
魔力量はきちんと数字で出るらしく、何も訓練を受けていない一般人を一にして計算している。
この時点で三十を越えると見込みがあるのだとか。
「レイ君は最後のお楽しみにしましょうか」
「………………」
「そんな不満そうな顔しないの。最初がレイ君だとつまらないでしょ?」
フィオナさんと初めて会った日、俺は大体の魔力量を計測されていた。
そこで俺の魔力量は王立魔法師団の団員分はあると言われている。
魔法師団団員の平均魔力量は五百。フィオナさん曰く、子供でその魔法量はルーミリア王国創立以来初めて。やはり、少し期待してしまう。
「それでは、俺からいかせてもらってもいいですか?」
「私は別にいいけど、その心は?」
「…………姉上が怖じ気づいているみたいですから」
「にゃ、にゃにおうっ!」
…………グレンはよく気が付いたなぁ。俺はいつも通りかと思っていたが、緊張していたのか。やはり双子なだけあってお互いの心は筒抜けなようだ。
いや、グレンが一方的にか。
「それじゃ、準備が出来たら台の上にある水晶に触れて」
魔方陣の中央にある台の上には人の頭ほどの蒼い水晶があり、それが異様なまでの存在感を放っていた。
グレンは迷いなく台まで近づくと、一度だけ深呼吸して水晶に触れた。
触れてから数秒後、水晶が淡く輝き出し、それに合わせて魔方陣も光を放つ。
魔方陣の光の色は紅。水晶の中には三と七の数字が浮かんでいた。
「グレン君の魔法適性は火、魔力量は四十七ね」
「……………………」
ルーミリア王国の王族には火属性と光属性が表れることが多い。もちろん、公爵家も直系ではないにしろ王族なのでその傾向は出る。母上の属性は光だ。恐らく俺もそのどちらかになるだろう。
「よかったじゃないグレン! 魔力量も充分あって、属性は攻撃系の火だし」
「…………そうですね」
グレンは笑ったが、あれはどう見ても作り笑いだった。
俺と比べているのだろう。俺の魔力量は少なくとも五百はあると分かっている。グレンの十倍以上の魔力量の俺と。
イレギュラーな俺と比べる必要なんてないのに…………。
「それじゃ、次は私ね」
「さっきと同じ手順よ。覚えているわよね?」
「もちろん!」
ルナは自信満々に台の前に立つと、躊躇せずに水晶に触れる。グレンのを見ていて危険がないと理解できたらしい。
先ほどと同じように少し経ってから水晶と魔方陣が光る。水晶の輝きはさっきのグレンよりも明らかに大きい。魔方陣の光は――――――――
「魔力量は百二十四適性属性は火とこれは…………闇」
魔力量は百オーバーであるから天才と言っても過言ではないだろう。しかし、適性属性が闇、か。
闇は世間ではあまり良い属性として扱われてはいない。闇属性の主な魔法が闇討ち系のものが多いからだ。
騎士を重んじるこの国では特にその風潮は大きい。
ルナもショックを受けているようだが、いつもなら絶妙なタイミングでフォローを入れるグレンも同じようだった。陛下も若干顔をしかめている。
俺は特に気にしないが、この場にいる他の人達は違うらしい。下手にフォローを入れられないじゃないか。
「…………それでは、最後にレイ君」
「はい」
お通夜みたいな雰囲気をフィオナさんが空気を読んで話題を変えてくれた。俺もそれに乗っかる。
「ルナも魔力量は凄かったけど、レイ君の魔力量はどうかしらねえ」
「さあ? 計測しないと分かりませんよ?」
軽口の応酬で何とか場を和ませようとするが、あまり雰囲気は変わっていない。これはさっさと終わらすに限る。うん、そうしよう。
水晶を近くで見ると、まるで吸い込まれそうな感覚に襲われた。蒼色がまるで深い海のようで、水晶と一体化するみたいな…………。
『ほら、待ってるよ』
「……え?」
「ん? どうしたの?」
そのまま水晶を眺めていると、誰かに直接頭の中でよびかけられたような気がした。この世界の俺よりもずっと年上で、少し艶の入った大人の女性の声だった。
フィオナさんかと思って振り向いても、何かを喋った様子はない。気のせいだろうか。
気を取り直して、グレンにならって一度深呼吸をする。そして、脱力のタイミングで水晶に触れた。
自分の中から何かが流れて行くような感覚。それが終わる頃には、水晶は目が開けられないほどの目映い光を放っていた。
「この黄金の光、そんな――――――」
「有り得ん。その属性が表れるなど………………」
後ろでフィオナさんと陛下が驚きのあまり言葉を失っていた。父上は目を見開いたまま何も言葉を発していない。グレン達もただただ呆けている。
水晶の光が止まってから、浮かんでいた文字がやっと見えるようになった。
「…………魔力量は千五百十七ですね。それに陛下、この属性は」
「……レイ、読書家のお前なら薄々感づいているかもしれんが、お前の黄金に輝く属性は覇。始祖アーサーが唯一使うことが出来た属性である」
確信はなかったが、大体の予想はできていた。
ルーミリア王国初代国王、アーサー=ルーミリア。アーサー王物語の主人公であり、その物語は世界で最も有名な物語だ。
七つの属性の覇者、七帝達が魔王を倒す物語。その中でも破格の強さを持ち、魔王に止めを刺したのが天帝、すなわちアーサー王だ。
この世界の人間なら誰でも知っている物語である。
俺もあっちの世界のアーサー王と名前が同じだったので、興味が湧いてすぐに読みきってしまった。
そのアーサー王の属性が覇属性。彼以外に使い手が表れなかった唯一の属性。
それが、俺の属性。英雄や、勇者とまで謳われた天帝と同じ属性。
今の俺の喜びは誰にも分からない! 前世で劣等感を常に抱いていたこの俺が、魔王を倒した勇者と同じ属性! しかも俺とアーサー王にしか使えない!
「凄いぞレイ! 属性もそりゃ凄いが、魔力量も桁外れだ!」
「そうね、宮廷魔法師レベルとまでは言わないけど、魔法師団の副隊長レベル位はあるわ。ランドルフ様の才能を色濃く受け継いでいるみたいね」
魔力量も千五百オーバーで、そこらの魔法師団の人達よりは全然上だ。まだ父上やフィオナさんよりはずっと少ないけど、それも訓練して着実に上げていけば――――――
「あ、グレン!」
その時、儀式の間の扉が勢い良く開き、グレンが飛び出して行くのが見えた。
グレンが見せる涙も。
「ルナ、ここは私に任せなさい」
「お母さま…………」
アメリア王妃はルナの頭を撫でると、いつもより少しだけ速いスピードで歩いていった。
それから、グレンが儀式の間に戻ってくることはなかった。
ご感想頂けて本当に嬉しかったです。
これからも精進していきたいと思います。
センター試験ってマークだから簡単だと思っていた自分が恥ずかしい。
来年の受験いやだなあ…………。




