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Village making  作者: 夕貴
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5/6

初収入

お腹の虫をなかせながら自宅の扉を開ける。

採取に夢中になりすぎて、お昼の時間を過ぎてしまった。



「カイ、お帰りなさい。ちょうどハリスさんとミリーさんがいらしてたのよ。」



カレンばあちゃんの隣には元護衛のジェフじいちゃん。

今は主に、ばあちゃんの調合の手伝いで採取をしたりしている。たまに父さんとダムおじさんの訓練をしたりもしているらしい。


向かいに宿屋のハリスさんとミリーさんが座っている。

二人は40代も中盤に差し掛かるくらいの働き盛り。

しかしながら、客が来ない。

ちなみに、二人の宿屋は相部屋が二部屋、一人部屋が一部屋の計5人が泊まれる。酒場や食堂はなく、食事は部屋でとってもらう方式だ。


一応二人の生計は、独り身のダムおじさん、ロナルド兄ちゃん、大工のニルスさんの食事を作り、配達することでぎりぎり成り立っているらしい。



「カイくん、うちに3人もお客が来たんだよ!君のお陰だ!ありがとう!!」



ハリスさんがわざわざ立ち上がって握手を求めてくる。



「いえ、俺のお陰というか何というかなので、お礼を言われるほどでは...。」



「私達、とても感謝してるのよ。調査では大きな問題もなかった見たいだし。強いて言えば、穴の補強が少し必要らしいわ。それはニルスさんがやってくれるそうよ。あら?籠のそれはアシュの実じゃない?」



籠から飛び出して見える赤い実を見て、ミリーさんが言った。背負ってた籠を下ろそうとした。



ガタン!



急な衝撃音に下ろそうとした手が止まる。



「カイ!お前!!何を持って帰ってきた!!!」



じいちゃんがばあちゃんを庇うようにして抱き、俺からすぐさま距離をとって言った。

ばあちゃんの座っていた椅子が倒れてる。



「えっ!?何をって...忌避草とか...。」



「違う!!」



「もしかして、これ...?」



これは不味いものなのか?という疑念から、摘まむようにして禍々しい花とストレアル?を籠から持ち上げた。



それを見た宿屋の二人も、小さな悲鳴をあげながら逃げるようにして俺から距離をとった。



ばあちゃんは最早、じいちゃんの陰に隠れてほとんど見えない。



「お前、そんなものを素手で!籠に入れてすぐにロナルドのところに持っていけ!!今すぐに!!早く!!」



じいちゃんの怒鳴り声にも近い声に、急かされるように家を出た。



急いで兄ちゃんの家へ走る。



兄ちゃんの家は通りを隔てた斜向かい。すぐに着いた。



ドアを急くように何度も叩く。



「よお!どうした?」



呑気な顔のロナルド兄ちゃんが出てきた。



「兄ちゃん、これ!じいちゃんが持っていけって!」



手に持った籠の中を見て、兄ちゃんの顔が驚愕に変わる。



「ちょっ!おま...!取り敢えず、ちょっとここで待て!」



家の奥にドタドタと走って行った兄ちゃんは、すぐに帰ってきた。



手には緑の革袋。手には深緑の手袋をしてる。

籠から花とストレアル?を取りだし、袋に突っ込んだ。



「ふぅ。」



兄ちゃんからため息が漏れる。



兄ちゃんの手が俺の額に伸びてきた。

サークレットにかかる、黒髪をよけている。



「お前、大丈夫か?気分とか悪くないか?結晶化は全くしてないようだが...。」



「特には大丈夫...。俺、またやらかしちゃったかな?」



年甲斐もなく泣きそうな顔になっていたのだろう。

兄ちゃんは俺の頭をくしゃくしゃっとなでた。



「きっと大丈夫だ。取り敢えずジェフさんの所へいこう!」



重い足取りを兄ちゃんに押されるように進んだ。




◇◇◇◇◇



「カイくん、大丈夫だったかい?」



家に入るなり、ハリスさんが声をかけてくれた。

皆着席している。


俺とロナルド兄ちゃんも、座るように促されたので着席した。



兄ちゃんがジェフじいちゃんに向けて、珍しく真面目な顔で言った。


「ワーベラルの花とストレアルは保管袋に入れました。カイのストレアルにも、精神にも異常はなさそうです。」



じいちゃんが、頷く。



「皆は大丈夫でしたか?」



「あぁ、カレンもすぐに距離をとったからほとんど影響は無かったようだ。他の者も影響ない。」



ばあちゃんは安心させるためにか、笑顔で頷いてくれた。



それを見て、兄ちゃんの表情がいつも通りに戻った。



「それは良かった。いやー、焦ったよー!剥き出しでワーベラルの花とストレアルを持ってくるんだから!」



兄ちゃんがこっちを見ながら言った。



「俺...とても良くないことをしたみたいで、ごめんなさい。」



俺は、テーブルすれすれまで頭を下げた。



「ただ、事態を何となくしか飲み込めてなくて、何が悪かったのか教えてほしいんだ...。」



頭を下げたまま言った。



「それは儂から説明しよう。」



じいちゃんの声に頭をあげた。



「お前が持って帰ってきたのは、ワーベラルの花と植物のストレアルだ。

このワーベラルの花は、隕石の衝突後に突然変異した花だ。地中のストレングを取り込み、それを周囲に撒き散らす。ごくたまにその根にストレアルが結晶化し、それが過ぎると魔物し、人喰い植物になる。

なので見つけられたら駆除されるが、周囲のストレングを懸念して、近寄ることは禁止されている。遠くから炎の魔法で焼くのがセオリーだ。お前の持ってきたのは、結晶化が進んでいたからもうすぐ魔物になる個体だったのかもしれないな。

この花は地中から引き抜くと、暫くしてストレングの放出が収まる。ロナルドは念の為保管袋に入れてくれたようだが、お前が持って帰ってきたときには、もうすでに放出はおさまっていた。だから、今回は特段問題ではなかった。

問題だったのはストレアルだ。」



じいちゃんの険しかった顔が更に険しさを増す。



「生体から離れたもしくは、生体が死んだストレアルは、徐々にストレングを放出し始める。だから、普通はストレングの影響を恐れてストレアルには近寄らない。長く近寄る際は、ストレング取り込み防止剤を飲んだりする。

だからと言って、ストレアルをそのままにしてはおいたら危険だからな。普通はストレングを通さない袋や箱に入れて保管するんだ。

保管袋に入れる際は、直接触るなんてしない。影響が計り知れないからな。忌避草を染料に使ったグローブをはめて、早急に作業するのが普通だ。

知らなかったとは言え、お前のしたことがいかに異質で危険なことか分かったか?」



俺はストレング値の低いばあちゃんがいるのに、なにも考えずにストレングを発する物を持ち帰ってしまった。本当に馬鹿だ。



「うん。本当にごめんなさい。ばあちゃんも皆も無事で良かった。」



「うむ、無知とは危険なものだ。魔法の基本という本が書斎にあったはず。これからは、ストレングと共に生きていくのだ、目を通しておきなさい。

そうそう、基本的なことだから言っておくぞ。そもそもストレアルは生体からは除去師しか取り除けない。死んでしまえばくり貫きでもして取れるがな。除去師じゃないものが無理矢理とると殆どの者は死ぬ。

間違っても家畜や人からストレアルを引きちぎるなよ。」



じいちゃんは、最後に冗談めかして言った。



「でも、驚きましたね。カイくん、ストレアルを直接触っても結晶化しないなんて。さすが、金のサークレット!」



ハリスさんが空気を軽くするように言った。



「本当にね。カイ、あなたが無事で良かったわ。」



「ばあちゃん...。」



「そーいえば。カイ、お前、このワーベラルの花とストレアルどうするんだ?植物のストレアルは珍しいからな!高く売れるんじゃねぇ?」



兄ちゃんが目を輝かせている。



「そうね。きっと、街の魔道具屋が高く買い取ってくれるわよ。ワーベラルの花も買い取ってくれるわ。調合に使えるけれど、かなり扱いが難しいのよ。薬草と忌避草は私が買い取りたいのだけど、どうかしら?」



「買い取りだなんていいよ、ばあちゃん。あげるよ。」



「いいえ、最初から買い取るつもりで取りに行くのをお願いしたのよ。それに、これは正当な労働の対価ですから。ものすごく高くでは無理だけれどね。」



茶目っ気を含んだ笑顔で言った。



「じゃあ、お言葉に甘えて。ありがとう、ばあちゃん!」



「あ、それならうちもアシュの実を買い取りたいわ!アシュの実はいい調味料になるのよ。昨日のお客さんで結構使っちゃって。ロナルドからいつも買い取る金額と一緒でいいかしら?」



「もちろん!ミリーさんもハリスさんもありがとう!」



それぞれから、お金を貰えた。

忌避草 100G×5株=500G

薬草 50G×10株=500G

アシュの実 80G×3個=240G

合計1240G


今後もそれぞれの値段で買い取ってくれるそうだ。

他にも買い取ってくれる、調味料に使える葉っぱや、美味しい茸を教わった。



「カイ、色々あったが初仕事になったな。おめでとう!」



じいちゃんの言葉でハッとする。

そうか。初めて稼いだんだ。



兄ちゃんが更に目を煌めかせて言った。



「そうかー。そうかー!お前もこれでハンターの仲間入りだな!さっすが、俺の弟分!!」



「えっ!ハンターってそうなの?」



「そうだぞー!ハンターは魔物を狩るだけじゃなく、採取も生業なんだぞ!」



「あれ?じゃあ、じいちゃんもハンターになる?」



「儂か?うーん...儂はカレンが必要になった分しか取りに行かぬしなあ。それを生業にしてる訳じゃないから、微妙なところだな。」



「まあまあ、細かい事は気にしない!ハンター仲間入り記念に、その保管袋はしばらく貸しといてやるから、ストレアルを街に売りにいってこいよ!」



「あ、そっか!忘れてた!ごめん、兄ちゃん。ありがとう!」



「そうね。明日はナタリーと私の除去の日だから、一緒に街にいきましょう。」



「そうしてみる。」



返事と共にお腹がなった。



「カイくん、お昼まだだったのか!それはそれは!ではわれわれはおいとましようかな。カイくん、お疲れさま。」



ハリスさんが立ち上がって俺の肩を軽く叩いた。



「いえ、こちらこそ騒動を起こしてすみませんでした。」



「そんな、他人行儀に!大丈夫だよ!まあ強いて言えば、また客を呼んでくれるのを期待してるよ!」



「ふふふ、カイくんよろしくね!」



「カイ、頑張れよ!」



ミリーさん、ロナルド兄ちゃんが悪のりしながら帰っていった。

...冗談だよね?





・・・・・・・・・・

アズ村


【建築物】

木造住宅 6件

木の門と木の塀

小さな農園

壊れた畜舎

小さな宿屋

広場

訓練所

岩のモニュメント


【住人】

人数 15人


【来客】

+3人




・・・・・・・・・・

カイ


【アイテム】

金のサークレット

布の服

革のグローブ

革のブーツ

採取用の籠

魔術の基本 NEW!!


ワーベラルの花 1株 NEW!!

植物のストレアル 1個 NEW!!



【習得】

ストレングの放出

採取(西の森)

採取の知識(西の森) NEW!!


【所持金】

1240G UP!!


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