表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/20

第18話 死にかけたボクの体から護符があふれて牛鬼を喰らった

アンジェリーナは、二匹の牛鬼の動きを止めていた。


それぞれの牛鬼に片手を伸ばし、重圧をかけている。


残念なことにアンジェリーナの重圧では、動きを止めることはできても、倒すほどの殺傷力はない。


いつもは無邪鬼と連携し、牛鬼を倒していた。


ところが、無邪鬼が急にいなくなった。


――あのチンチクリン! どこ行った!――


動きを止めていた牛鬼が少しずつ動けるようになってきている。


――ああ、無理――


アンジェリーナは牛鬼への重圧を解いて、走り出した。


牛鬼たちが追いかけてくるのがわかる。


とがった爪で地面を削る音が近づいてきているのだ。


アンジェリーナは屋上の縁から飛んだ。


飛ぶとき、下に向けて重圧を飛ばす。その勢いでアンジェリーナは空高く飛んだ。


牛鬼たちが止まり切れずに、屋上から飛び出してしまうのが見える。


その牛鬼たちに向けて、力を込めて重圧をかけた。


牛鬼たちは、落下と重圧で勢いよく地面に叩きつけられた。


アンジェリーナは、叩きつけられた牛鬼に向かって落ちていく。


落ちている途中に、無邪鬼を見つける。


――あんなところにいたのか――


無邪鬼の近くに真一もいた。

突然、真一の足元から牛鬼の爪が伸び、真一の体を削りとった。


「真一!」


アンジェリーナは、着地前に地面に重圧をかけ、衝撃を減らして、降り立つとすぐに駆けだした。


◇◆◇


アンジェリーナが真一に駆け寄り、抱きかかえる。


真一の名を呼んだ。


応答はなかった。アンジェリーナは真一を抱きしめた。


牛鬼との戦闘は続いていたようだが、急に静かになった。


カランと乾いた音がした。


目の前に刀が落ちていた。


見上げると、美夜子(みよこ)が立ち尽くしている。


「真一……」


美夜子が真一を見ながら座り込んだ。


無邪鬼が美夜子の肩をさすっている。


校内にいた牛鬼たちが集まってくる。


美夜子は刀を拾い、立って、攻めてくる牛鬼に身構えた。


そのときだった。


アンジェリーナの腕の中で真一の体が動いたのだ。


削りとられた頭部の傷口から、何かが生えてきた。


血に染まった紙片だった。よく見るとそれは護符だった。


一枚。二枚。三枚。傷口から護符が次々と生えてくる。花が開くように、護符が重なり合いながら、頭の削りとられた部分を補っていく。


左腕の断面からも、護符が噴き出した。


肩から先を護符が覆い、腕を形作っていく。指の一本一本まで、護符が重なり合って再構成されていく。


護符はまるで生きているようだった。


「真一?」


アンジェリーナは真一の体を静かに地面に寝かせた。


美夜子と無邪鬼は牛鬼と対峙していたが、真一が気になっている様子だった。


真一はすくっと立ち上がった。


真一の頭と左腕の護符が蠢いている。


真一は護符に覆われた左腕を高く上げた。


左腕の護符が高く空を舞い上がっていく。


護符は一定の高さまで昇ると、四方に拡散した。


まるで意志を持った群れのように、護符は校内全体に広がっていった。


◇◆◇


校庭で暴れていた牛鬼たちが、異変に気づいた。


着物を着た老人は一目散に逃げ出した。


空から白い紙が降ってくる。


一匹の牛鬼が、護符を振り払おうとした。しかし護符は牛鬼の体に張り付き、剥がれなかった。一枚が張り付くと、次の一枚が重なる。そして次。さらに次。護符が牛鬼の体を覆い尽くしていく。


牛鬼が咆哮した。体を振り、足を踏み鳴らし、暴れた。だが護符は剥がれなかった。むしろ、暴れるほどに護符の数が増えていく。


護符に覆われた牛鬼の体が、縮み始めた。


巨大な体が小さくなり、形を失い、黒い霧に変わっていく。その霧をも護符が包み込み、真一の体に向かって戻っていく。


護符は、真一の体に取り込まれていった。


校庭の牛鬼が次々と護符に捕らえられ、真一の体に取り込まれていく。


真一はただ無表情な顔で護符とともに牛鬼を取り込んでいった。


数分もしないうちに、すべてが終わった。


校内に牛鬼はいなくなった。


最後の一枚の護符が真一の体に戻ったとき、真一は糸が切れたように倒れた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ