表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪役令嬢にされたので辺境で領地改革していたら、いつの間にか国家の設計者になっていました ~断罪から始まる内政×金融×政治の国家再設計ファンタジー  作者: 白鷺ユウ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

56/70

第55話 境界線

夜明け前。


王都に、鐘が鳴り響いた。


「国境にて衝突拡大!」


伝令の声が白曜宮を駆け抜ける。


ノルディア軍、小規模侵入。

近衛部隊が迎撃。


死傷者あり。


空気が、変わった。


摂政会議は緊急招集。


「軍は命令違反だ!」


ヴァルテン伯が怒鳴る。


レイスが冷静に答える。


「侵入を確認。迎撃は正当防衛です」


「外交交渉中だ!」


「交渉中に領土を踏まれました」


沈黙。


軍部席がざわつく。


「戒厳令を出すべきだ」


誰かが言う。


それは、国家の分水嶺。


戒厳令=軍主導。


ガイウスが低く言う。


「戒厳は内政不安を確定させる」


ヴァルテン伯は冷たく返す。


「では王太子に復帰してもらうか?」


沈黙。


罠だ。


王太子を戻せば、

疑惑未解決のまま国家分裂。


戻さなければ、

軍と摂政が対立。


どちらも黒曜会の望む構図。


その時。


別の報告が届く。


「ノルディアより正式通告」


内容は明確。


――国境安定化のため共同統治監査団を派遣

――王太子退位を条件に貿易再開


王太子退位。


国家主権への直接介入。


議場が凍る。


レイスが低く言う。


「これは宣戦布告に等しい」


ヴァルテン伯は言葉を濁す。


「戦争は避けるべきだ」


「退位すれば避けられるのか?」


誰も答えない。


私は静かに理解する。


ここが境界線。


王太子が完全退位すれば、

黒曜会は実質勝利。


退位を拒めば、

戦争と内乱の可能性。


夜。


白曜宮の奥。


レオポルドは、すでに通告を読んでいた。


「予想通りだ」


低い声。


私は向かいに立つ。


「退位なさるおつもりですか」


沈黙。


長い沈黙。


「退けば、戦争は回避できる可能性がある」


「黒曜会が市場を安定させる」


「軍も抑えられる」


彼は淡々と分析する。


それは合理的だ。


だが。


「国家は残りますか」


私は問う。


彼の目がわずかに動く。


「残るのは形だけです」


私は一歩踏み出す。


「今退位すれば」

「国家は恐怖に従った前例を持ちます」


「次も同じ圧力が来る」


沈黙。


「殿下は責任を背負いすぎです」


「それが役目だ」


「違います」


思わず強く言う。


「役目は構造を守ることです」


静寂。


「人を差し出すことではない」


レオポルドは目を閉じる。


苦悩は隠せない。


「ならばどうする」


問い。


これは政治ではない。


選択だ。


私は答える。


「退位しない」


「だが復帰もしない」


彼の目が開く。


「摂政会議を制度化します」


「何だと」


「協議院の暫定発足」


「地方と中央の共同統治体制を先に実行する」


沈黙。


大胆すぎる。


「退位要求を拒否し」

「共同監査団は受け入れる」


「透明性で外交圧力を逆利用」


レオポルドは静かに言う。


「賭けだ」


「はい」


「失敗すれば」


「国家は割れます」


沈黙。


だが。


彼の目に、微かな光が戻る。


「危険な女だ」


「光栄です」


遠くで、軍の号令が響く。


国境は緊張状態。


摂政は揺れ。

軍は動き。

黒曜会は待っている。


境界線に立っている。


国家は、今まさに選択を迫られていた。

本話もお読みいただき、ありがとうございました!


少しでも続きが気になる、と感じていただけましたら、

ブックマーク や 評価 をお願いします。


応援が励みになります!


これからもどうぞよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ