第41話 密談
円卓には、二人だけ。
レオポルドは、静かに椅子に座る。
「強いな」
突然の言葉。
「何がでしょう」
「恐れを隠す力だ」
私は、わずかに笑う。
「隠しておりません」
彼は、わずかに目を細めた。
「断罪の地に戻るのは、容易ではなかったはずだ」
沈黙。
「……容易ではありませんでした」
正直に答える。
彼は続ける。
「私は地方を軽視していない」
「存じています」
「だが国家は、感情で動かぬ」
「地方も同じです」
静かな応酬。
レオポルドは、ゆっくりと言った。
「お前の構造は理解できる」
その一言は重い。
「だが、速度が速い」
「停滞は毒です」
「急進も毒だ」
視線がぶつかる。
彼は、初めて本音を見せた。
「私は幼少期に、地方反乱を見た」
声が低くなる。
「中央の統制が弱まり、飢えが広がった」
だから彼は、秩序を守る。
「お前の改革が連鎖すれば、制御できぬ」
「制御するのではなく、設計するのです」
沈黙。
レオポルドは、静かに言った。
「ならば提案しろ」
「提案?」
「国家の中で機能する地方モデルを」
試験だ。
私は、深く息を吸う。
「条件があります」
彼の眉がわずかに動く。
「地方代表による常設協議機関」
「……中央に地方席を設けろと?」
「対立ではなく、制度化です」
長い沈黙。
レオポルドは、静かに立ち上がった。
「大胆だ」
「現実的です」
彼は、窓の外を見た。
「お前は危険だ」
「光栄です」
一瞬。
彼は、わずかに笑った。
「だが、有用でもある」
静かな言葉。
「時間をやる」
「設計案を出せ」
「国家の中で生き残れる構造を」
彼は振り返る。
「失敗すれば」
瞳が冷える。
「容赦しない」
私は、深く礼をした。
「望むところです」
扉が開く。
私は、断罪の地を後にする。
だが今回は、追放ではない。
交渉だ。
国家と地方の、新しい形を賭けた。
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