表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
87/288

第八十七話・もう、盗賊と変わらないよね?


「しかもこの人達、Aランクな事を笠に着ちゃってさ、自分達に

物申したり、異議を訴えてくる連中をその良し悪しに関係なく

『自分達に逆らう=正義に逆らった悪』そう勝手に解釈し、

これら全てを正義の断罪と抜かして叩き潰しちゃうんだよ...」


うわ...自分の思考は正義ってか。


こいつは思っていたよりも、お粗末でお間抜けな連中だった!


「さっきおじ様の言った様に、わたしも正直こんな人達はさっさと

出禁にしたいんだけどさ。でも残念ながらこの宿屋はギルドの恩恵を

受けて成り立っている宿屋なんだよ...だから、ね」


「そっか...そういえば、この宿屋はギルドの御用達だったっけ?」


「うん。そういう訳なので、その恩恵をくれているギルド...その代表格でも

あるAランク冒険者のこの人達を無下になんてできないんだよねぇ。

こんな害悪以外の何者でもない、ゴミクズやろうでもさ......チッ!」


「ひぃぃいっ!?」


こ、こんなに明るく元気っ子なプレシアさんが、あんな顔をして舌打ちを

打つだなんて...


内なるヘイトが溜まっているんだろうなぁ。


最後の方も思いっきり、本音をこぼしていたし。


よっぽど、こいつらに対して忌根があるんだろう......はは。


「しかし参ったな、これ...」


俺は食事をしに、ここに来ただけだっていうのに、何でこんな面倒くさくて

厄介ごとに巻き込まれてしまってるんだよ!


ホント、あの時も思ったんだけど、俺...運がなさ過ぎじゃね?


もしかして、俺には見えない隠しギフトで『不幸』とかあるんじゃ

なかろうか!?


「おや?どうしたのです、おじさん?そんなに険しく眉をひそめて?

あ。もしかして、プレシアさんを贄にして逃げ出そうとした事、

今頃になって、悔いてきたのですか?」


「くくく...やっと、自分の愚かさに気づいたか。それなら、おっさん、

謝罪に土下座しろ!そして俺達を困らせた詫びに、おっさんの持っている

有り金を全部よこせ。それで今回の事をチャラにしてやるよ♪」


はあぁぁあっ!


土下座に、有り金を全部よこせだと!?


こ、こいつら、とうとう言動が盗賊と変わらなくなってきたぞ!?


......ん?盗賊?


「なぁ、プレシア。あいつの今の言葉を聞いたよな?あれって、完全な

盗賊行為だよな?なら、仮にこいつらをここでぶちのめしたとしても、

俺のその行為は正当防衛って事でいいんだよな?」


「う~ん、そうですねぇ。おじ様の言う様に、今のランスさんの発言は

そう取ってもらっても差し支えないと思いますよ。証人もこれだけいますし。

なので、おじ様の正当防衛は成立しますね!」


俺の確認の問いかけに対し、プレシアが少し驚きと困惑な表情を見せつつも

それを肯定する。


よっしゃ!プレシアの言質は取った。


これでもし正当防衛を取れなかったとしても、出禁は最悪、回避できる。


「でもまぁ、それはランスさん達をぶちのめす事ができたらという、

前提の話なんですけどねぇ。でもそれは無理な話なんですよねぇ...あはは」


しかし、それを実行するのは不可能だと言わんばかりに、プレシアの口から

諦めの混じったニガ笑いがこぼれるのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ