第八十八話・レンヤ対Aランクパーティ
「あぁあん? なんだ、おっさん! その舐めた目付きと態度は! もしかして俺らとやり合おうってのか? 身の程知らずもここまでくると滑稽だぜ! あはははは!」
「やめとけ、やめとけ♪ いくら頑張ったところで所詮は年寄りの冷や水だぜ、おっさんよ!」
「そうそう。恥をかいて惨めを晒すだけですわよ♪」
プレシアと会話をしていると、憐れと見下しの入った表情でイケメン達がAランク冒険者らしからぬ言動を発しながら、ニヤニヤと下卑た笑みでレンヤを挑発してくる。
「......こ、こいつら、ホントつくづく残念なイケメンと残念な美女だよな......」
ハァ...もういいかな?
これ以上こいつらに大人の対応でペコペコしていたら、ストレスが溜って倒れそうだし。
プレシアからの言質も取れた事だし、
面倒くさいけど......やっちゃうか?
俺は頭をポリポリと掻いて嘆息を軽く吐き終わると、話の噛み合わないランス達にいい加減付き合っていられるかと決断し、手を剣において身構える。
「おや? おやおや? おじさん、何やら身構えていますけど、もしかしてわたくし達と戦うおつもりなのですか? 戦いとなりましたら、このアンナリッタ。 一切の手加減なんてできませんよ? それでもいいんですか? そこにいるネージュさんもランスさんも同様ですわよ?」
レンヤの戦闘体勢を見たランスの仲間...アンナリッタが口元にソッと手を置き、お嬢様笑いでレンヤを小馬鹿にしてくる。
「アンナリッタの言う通りだぜ、おっさん! あたい達の攻撃を一発でも食らっちまったら確実に死んじゃうぜ、おっちゃん! だからよ、ここは意固地にならず、素直に謝罪しておけって!」
魔法使いの格好をした人物...ネージュもアンナリッタに続き、レンヤを小馬鹿にしてくて、土下座しろと地面を指差しながら、足で地面をタンタンとリズムよく叩く。
「......くだらん能書きとご託はもういい。さっさとかかってこい、悪ガキ共! みんなまとめて相手してやるからよ!」
俺は三人の冷静さを失わせる為、挑発の口調と蔑む目線でジロッと睨み、そして黒い笑みを浮かべながら右手を前にスッと突き出し、コイコイと手招きのポーズをとる。
「な、なんだその態度はぁあっ! 人が下手に出ていればいい気になりやがってぇぇえっ! このクソジジイがぁぁあっ! もう絶っ対に許してやらないからなぁぁあっ! おいアンナ、サポート魔法をよこせっ! ネージュ! お前は右を攻めろ! 俺は左から攻撃するっ!」
レンヤの安い挑発にあっさりと乗ってしまったランスは、苛立ちを隠しきれず、怒りを露にしながら仲間の二人に作戦の指示をかける。
「わかりましたわ、ランス! この身の程を弁えないおじさんには、少々...いえ、死ぬくらいに痛いお灸をすえてあげないといけませんわねぇ!」
アンナリッタも同じくレンヤの挑発に苛立ちを見せながら、ランスとネージュと呼ばれた魔法使いに補助魔法をかける為、魔法の詠唱に入る。
「ふふふ。覚悟しなよ、おっちゃん! その不細工な顔をボコボコにして更に不細工にした後、徹底的に謝らせてやるからさっ!」
ネージュが舌舐めずりをして口角をニヤリと上げると、右の拳と左の拳をバンバンと叩き合わせ大きな音を打ち鳴らす。
「行くぞ、ネージュ!」
「おうさ! タアアァァァア―――ッ!」
ランスが攻撃開始の合図をネージュに送ると、レンヤに向かって先程の指示通りにランスが左、ネージュが右から突撃してくる。
「行きますわよ、二人とも!」
『加速せよ!スピード・ブースタァアアァッ!』
アンナリッタが魔法を詠唱し終え、素早さを底上げする補助魔法...スピード・ブースターを発動させると、ランスとネージュの素早さがぐんとアップする。




