第十六話・ルコールが選ぶお宝五点セット
「よっしゃ!レンヤに対する質問タイムも無事に終了した所で、
そろそろ地上に出るとしましょうかねぇ♪」
「おい!ちょいと待たんかい、ルコールッ!お前を一緒に連れて行く
条件のお宝さんを忘れとるぞぉぉおっ!」
肝心なお宝の事を忘れて、この部屋をさっさと出て行こうとする
ルコールの肩をガッと掴んで、抗議の言葉を叫声する。
「ああ~はいはい。そうだった、そうだった。それがあたしを一緒に
連れて行くっていう条件だったっけかぁ♪」
レンヤの抗議を聞いたルコールは、これはウッカリといわんばかりに
舌をペロッと小さく出し、アハハとニガ笑いをこぼす。
「うっしゃいっ!そんじゃレンヤ。そこで暫しの間、待っててねぇ~♪
あたしの取って置きのお宝の中で、もっとも選りすぐったお宝を今直ぐ
持って来てあげるからさぁ~~っ♪」
ルコールが俺に向けてウインクをしてビシッと敬礼ポーズを取ると、
奥の部屋に向かって猛ダッシュで駆けて行った。
―――それから数十分後。
「しかしルコールの奴遅いなぁ。一体どこまでお宝を探しに行って
いるんだか......」
待てども待てども全く戻って来ないルコールに、俺が痺れを切らせて
いたその時、
「おっ待たせぇ~レンヤ♪この宝たちがレンヤの為にあたしが
チョイスしてきた、ご自慢のお宝五点セットだよぉ~~っと♪」
部屋の奥からルコールが複数のお宝を抱えて戻って来ると、それを
ドンと俺の目の前のテーブル上に置いた。
「これがルコールのご自慢のお宝たちか......」
どれどれ。
ルコールの奴、一体どんなお宝を持ってきたんだろう?
俺はそれを確認するべく、テーブルに並んでいる五種類のお宝に
目線を向ける。
フムフム。
左端には指輪が二つか。
二つともこれといって特徴のない、どこにでもあるような普通の
指輪っぽいな?
その横に置いてあるのは、これは本か?
見た感じ、かなり年季の入った古びた本だな。
その横にあるのは...ブーツか?
キレイな彩りの羽毛が装飾されていて、女性が好みそうな
デザインのブーツだな。
正直おっさんの俺にこれを履くのは、少々キツイかも。
そして一番右端にある大きな袋、これはなんだろう?
お宝の中ではこれが一番大きいから、ちょっと気になるな。
「どうよ、レンヤ!あたしが選びに選び抜いたお宝の数々はさぁ!
みんな目移りしちゃうでしょう♪」
「ああ、そうだな。そのドヤ顔には少しイラッとくるけど、確かに
どれもこれも凄いお宝の予感がするよ、うん!」
「くふふ♪凄いお宝の予感がするじゃなく、全部凄いお宝なんだよっ!」
レンヤの興味津々な態度に、ルコールが参ったかといわんばかりに
腕を組んでドヤ顔を決める。
そして、
「コホン!では早速、あたしご自慢のお宝たちの名前とその効果を
説明していくね♪まずこの指輪は......」
ルコールが軽く咳払いをすると、テーブルの一番左に置いてある
二つの指輪の内、ひとつ目の名前と効果の説明に入っていく。




