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第十話・黒い物体の正体


「貴様、何故我から逃げるのじゃ?貴様は我と戦う為にここへ

来たのではないのか?」


戦う!?


誰が誰とですかっ!?


もしかして、俺とあなたが...でしょうか?


俺も確かに腕には覚えがあるし、我慢強いだけで別に腰抜けって

わけでもない。


しかしこれは違うっ!


これは腰抜けって言われなくても良い案件だと思う!


だって...さっきから俺の背中にかかってくる威圧感が半端ねぇえぇぇぇっ!!


そう言う訳で......


「ふ...戦う?よして下さいな...。俺はしがないただのおっさんで、

ここには、迷ぉぉおお――――っ!?」


俺は言い訳を語りながらゆっくり後ろへ振り向くと、そこには大きい山の様な

黒い物体が俺の目線に映った。



デ、デケエェェエエェェェ―――――――ッ!!!?



なんなの、これぇぇえぇっ!?


どこをどう見てもこの黒い物体、あの伝説の生き物...ドラゴンだよなっ!?


何でだよっ!


俺の今の立場をゲームで例えるなら、まだ最初の冒険段階だぞ!


弱い敵...ゴブさんとか、小動物っぽい奴...大体そんな感じの魔物と

懸命に戦ってさぁ...


「くう。な、中々強かったなこいつ...」


とか言ったり...


「モフモフを倒すのは偲びないが、どうか許してくれ......!」


とか言って、ファンタジーをその肌に感じる...そんな初心者展開を

満喫する場面だと思うんですよっ!


それなのに...なんで最初に出会す魔物が、こんな超大物のドラゴンなんだよっ!


「ふふふ...どうした人族の子よ?もしや我の姿にビビってしまったか?」


ビビるだと......?


そんなの、ビビるに決まってるだろうがぁぁぁああぁぁぁいっ!!


こっちは歩くだけで息切れ上等!疲れも取れにくいし運動すれば三日遅れて

筋肉痛!


そんな負のオンパレードのだたのおっさんなんだよっ!



た・だ・の・おっさんっ!!



そんなただの中年おっさんが、馬鹿デカイ凶悪そうなドラゴンと対峙して

いるだぞぉぉぉおおっ!!



だぁあああぁぁぁっ!!



夢か嘘だと言ってくれよぉぉぉぉおおぉぉおっ!!!


「......おい。人族の子よ?いつまでそうやって沈黙を守っているつもりじゃ?」


「うひゃ!?」


いつまで立っても返事を返さないレンヤに痺れを切らしたドラゴンが、自分の顔を

レンヤの前にヌッと近づけ、ギロリと睨みを効かせてくる。


「ふ...沈黙なんてトンでもない。ただ、あんたみたいに強そうなドラゴンは

人生の中で初めて見たんでな。ちょいとばかり俺の思考が意表を突かれて

ビックリしてしまい、言葉を出す切っ掛けを失っただけさ......」


睨みに効かせてくるドラゴンを相手に、俺は必死に言い訳を述べ立てて、

ドラゴンのご機嫌を損ねない様に努力する。


「ほう...我にビビっていた訳ではなく、ビックリしていただけとな?」


ドラゴンが俺の言い訳の言葉が気に入らなかったのか、眉をビクッと

動かし、その表情が少しだけ険悪に変わる。


し、しまったぁぁぁああっ!?


もっと媚を売っておくべきだったぁぁああぁぁっ!!


「ふん、まぁ良い。確かに貴様からは我と戦うという殺気、戦闘オーラを

全く感じられないしのう。さっすれば、貴様の言葉は誠という事じゃろう。

ならば貴様は我と戦う為、ここに来たじゃないという事か?」


おほ。これはいい流れ!


「無論だ。俺はこの階層の上にあるトラップに不覚にも引っ掛かってしまい、

この階層に落ちてしまってな...」


「トラップに?それは災難じゃったのう...」


おお!やったぞっ!


何とか、ドラゴンの威圧感が減ってきたぁぁぁっ!!


「だからこの階層にあるであろう、上の階層に上がる階段をくまなく探し

回っていたんだが、その最中、あんたのいるこの部屋の扉を見つけてな...」


俺は戦闘を回避できた歓喜を取り敢えず心の中にしまい込み、ドラゴンへ

この部屋に来るまでの経緯を、詳しく冷静な言葉使いで説明する。


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