76話 思いもしない言葉
再び俺が目を開けると横に色乃はいなく俺はベッドの上で寝ていた。
『ここは・・・・・・?』
辺りを見渡すと何度も見たことのある光景だった。そしてここが病院だということがすぐにわかった。つまり俺は元に戻ったということか?
身体を起こそうとしたが全身に激痛が走り起こすことが出来なかった。
しばらくそのまま横になっていたが病室には誰も現れなかった。俺達が飛び降りてからどれくらいの時間が経ったんだ?それに世界はどうなったんだ?呪いは?色乃は?
何もわからない。身体を動かせないことに苛立ちを感じていた時だった。病室の扉が急に開いたのだ。俺はその方向に顔を向けた。するとそこには光馬が立っていた。そして光馬は俺が目覚めていることに気付くと慌てて駆け寄ってきた。
『典貴!お前も目が覚めたんだな!』
お前・・・・・・も?ということは・・・。俺は無意識に喜んでいる表情を見せていた。それに気付いた光馬は
『そうだよ!色乃もさっき目を覚ましたんだよ!』
よかった。色乃も無事だったんだ。俺は安堵した。
『そうだ!世界はどうなったんだ!?まさか崩壊したとか・・・・・・?』
『お前達が行ってしばらくした後また大きな地震が起きたんだ。その時巨大な瓦礫が俺達の上に落ちてきた。もうダメだと思って目を閉じたんだよ。けど何も起こらなくて目を開けると何事もなかったかのように世界が元に戻っていた。それから急いで学校へ向かうとグラウンドで倒れていたお前達を見つけて救急車を呼んだんだ。お前達は1ヶ月眠っていたんだ』
1ヶ月も!?それより世界が元に戻ったということはやはり呪いはもう・・・・・・なくなったんだ。そういう確信があった。碇が助けてくれた。そうに違いない。
『色乃は今、葉月が一緒についてるよ』
それを聞いた瞬間俺の目から沢山の涙が溢れてきた。見えてはいないけど色乃もきっと今泣いているに違いない。
碇、ありがとう。。。
あれからさらに1ヶ月後俺達は無事退院することが出来た。その間やはり呪いが起こる気配は感じられなかった。
そして俺達は約束通り三人で草人さんと瑠子さんのお墓に来ていた。光馬がお墓に花を添えた。
『本当に死んでたなんて信じられないな。あんなにはっきり見えていたのに』
『この人達がいなければ俺は助からなかった・・・本当に感謝してもしきれないよ』
『私もこの人達みたいに誰かを助けることが出来るような人になりたい』
そして俺達は揃って手を合わせた。
その後俺は色乃と二人で碇のお墓にやって来た。今度は色乃が花を添えた。
『実は色君のお墓ずっと来たくなかったんだ』
色乃が切ない表情でそう言い俺の肩に頭を乗せた。俺は無言のまま色乃の頭に手を置いた。
『もしここに来ると私ずっと泣いたままここから離れられないんじゃないかってずっと思ってたから・・・・・・でも今日あなたと・・・典貴君と一緒に来て私は泣かずに笑ってここを去れる!』
そして俺達は横に並んで手を合わせて目を閉じた。
『碇、ありがとうな。お前がいたからここまで来れた。色乃は俺が必ず幸せにする。だからお前の心配しないで眠ってくれ。俺はお前のこと絶対に忘れないから』
『俺も忘れないよ』
えっ?
俺は慌てて目を開けた色乃を見ると目を閉じたまま、まだ目を閉じていた。そして俺は再び碇のお墓に目を戻すと墓石の上に碇が座っていた。
『いか・・・』
俺が声を出そうとすると碇は手の前で人差し指を立てた。そして碇は笑顔を作りそのまま消えた。
なんだよ。ちゃんといるじゃないか。
俺は笑顔で消えた碇に答えた。
それから碇のお墓を後にしようとした時だ。急に色乃が立ち止まったのだ。俺は驚いて振り向いた
『どうしたんだ?』
色乃は何か思い詰めた表情をしていた。そして
『私、やっぱりあの町を去ろうと思うの』




