表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
婚活パーティは魔王城で!  作者: 寿 明結未(ことぶき・あゆみ)
第一章 恋する乙女に必要なのは、愛と筋トレと大胸筋

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
9/49

第9悲劇 ギルマスに挨拶した後は、今後の予定も考えないとね?

 さて。哀れな犠牲者がひとり出たところで、私達は冒険者ギルドに入り、EXランクなのと、勇者一行であることを告げると、ギルドマスターに会うことになった。

 冒険者ギルド内にある酒場では、私達を見て笑う不届き者もいたけれど、今回は無視。

 どうせ彼らの食い扶持を壊すのだから、甘んじて受けてやろうじゃないの!


 チョリーッスの街にあるAランクダンジョンは、〝オッスオッスダンジョン〟しかない。後はBランクかCランクのダンジョンしかないのだ。

 彼らには、そっちに行ってもらおうと心に決めた。


「それで? EX勇者一行が一体、このチョリーッスの街に何用で?」

「はい、〝オッスオッスダンジョン〟のダンジョンボスについて、何かご存知ありませんか?」

「〝オッスオッスダンジョン〟のダンジョンボスねぇ……。ダンジョンボスまでの入口が開かないんだよ」

「開かない……と申しますと?」

「頑なにドアが開かなくなった。ここ最近でだ」


 これは怪しい。

 一体何の理由でドアが開かなくなったのかは分からないけど、それまではダンジョンボスはいたという事だ。


「ダンジョンボスはどんなボスだったんですか?」

「蜘蛛だな」

「蜘蛛……」

「ハズレね……」

「ハズ……え?」

「ああ、気にしないで下さい。蜘蛛のダンジョンボスだったんですね」


 ミルクちゃんのぼそっと呟いた「ハズレ」というのは、人の形をなしていない……という意味だ。

 私達が目指すのは、人の形をした魔族だったりするので、これはハズレだと言われても仕方ないのだけれど――。


「蜘蛛を使役する男がダンジョンボスだ」

「「「「当たりだわ」」」」

「え?」

「こちらの話です。どのような技を仕掛けてくるんでしょう?」

「ん~~。今まで討伐できた勇者も冒険者もいないが、ダンジョンボスには制限時間があって、蜘蛛の糸を絡めて動けなくする。その間に時間経過が来て終わる……というのが多いらしい」

「つまり、追い詰めた冒険者はあまりいないのね?」

「異世界勇者達が、かなり追い詰めたことがあるようですがね」

「なるほど」


 しかし、問題はボス部屋が開かないと始まらない。

 それはギルマスも同じ思いでいるようで、困り果てていた。


「何にしても、ボス部屋が開かないんで、どうしようもないんですよ」

「では、ボス部屋を制覇したらどうなります?」

「そりゃ、困るが半分……でも、世界からダンジョンが無くなるのは喜ばれるので……複雑ですね」

「なるほど」

「せめて、ダンジョンボスは倒しても、ダンジョンコアまでは壊さずにいてくれたら助かりますね」

「でも、新しいダンジョンボスが現れるまで、ダンジョンは活動停止しますよね?」

「いずれ活動再開してくれればいいので……」

「ギルマスも大変ね……」

「まぁ、お金が掛かってますからね」

「「「「身も蓋もない」」」」


 とは言え、チョリーッス街の生活に関わることなのだろう。

 一時的でもAランクのダンジョンに入れなくすることが出来るなら、まぁ……いいかな?

 それに、〝ボス撃破〟名簿に載る訳だし、ありだと思うのよ。

 今まで去っていった奴等への腹いせに……。


 そんな事を思ってしまったけれど、ギルマスの部屋を出ると、私達は街の外に出て、ミルクちゃんの拠点に入り作戦会議。

 すると――。


「ボス撃破ラリーするのもいいわね」

「実は私も思いました」

「デモ、雑魚ダンジョンハ、嫌ネ」

「狙うならAから上か」

「それに、アタシ気付いちゃったの」

「何にですか?」

「――現地勇者も、異世界勇者も、魔王討伐後回しにしてるわよね?」

「「「あ」」」

「こっちとしてはありがたい訳だけど」


 確かに、婚活会場が無事であるのは良いことだわ。


「まぁ、異世界勇者は別として、現地勇者が魔王城に行かない理由、分かりますね」

「あら、なんでかしら?」

「行く途中で仲間と恋愛関係になって、勇者だけど家庭を持って、そっち優先……って言う人が多いんですよ。勇者である以上は、国からお金が出るんで生活は楽ですし」

「ああ、なるほど」

「かくいう私も、考えてましたし」

「魔王討伐は考えてないのね?」

「考えてないですね。婚活して結婚出来たら、後はのんびり~って思ってましたし」

「勇者ガ魔王ヲ倒サナイ理由」

「生活の安定は大事だからな……」

「ですです」


 思わず頷き合う私とキャシーとナンシー。

 その様子を見たミルクちゃんはというと――。


「それなら、異世界勇者がラスボス倒さない理由、分かるわよ?」

「なんでですか?」

「聞いた話なんだけど、魔王が、〝異世界勇者を元の世界に戻す魔法〟を開発したとか」

「え!?」

「異世界勇者が魔王の元に行かない理由になったんじゃないかしら」


 なるほど。

 異世界は「住みづらい・生活しづらい・生きづらい」の三点セットって聞いてるから、ミルクちゃんだって帰りたくないはず。

 でも、お互いの婚活のためには行かなきゃいけなくて……。


「うふふ、安心して? 魔王の魔法も完全ではないらしいの」

「良かったです!」

「でも、安全面は考慮したから、今度その為にイサミン手伝って?」

「いいですよ」

「ありがとう!」


 ミルクちゃんが居なくならない方法があって、私の力が必要なら使うべきだもんね!

 これも立派な人助け!

 私、偉い!


「まずは明日、オッスオッスダンジョンの攻略に向かいましょう」

「そうですね!」

「ま、急がず気長に行きましょう?」

「はーい」

「オリハルコンか、アダマンタイトが採取出来るといいな」

「イイネ」


 そんな事を会話しながらの翌朝、早朝から私達はオッスオッスダンジョンへと入っていった。

 これから一応、予定では一週間かけてゆっくり進む予定にしてるけれど、さて、どうなるかな?

 何のトラブルもなければいいけど……でも。


(……正直、ちょっと安心した。魔王を倒さなくていい理由が、こんなに沢山あるなんて)


 そんな事を私はつい思ってしまったのだった――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ