第6悲劇 目指すは〝オワタ村〟で、挑むダンジョンは――
――こうして、私達婚活PT【ゼクディ】の活動は始まった。
無論、周囲からは浮いていたが。
そんなの今更、気にしたほうが負けだ。
何せ私達が目指しているのは〝結婚相手をゲットすること〟に重視している。
それが例え〝魔族〟であろうと、最早構わないのだ!
「さて、今日の婚活に行きますか」
「婚活ドコイクノ?」
「そうね、拠点を移そうかと思ってるの」
「拠点を移すの?」
私の言葉に、皆は朝からエールを呑みつつ話し合いをしていた。
ここ最近は、近くのダンジョンや依頼をこなして、お金を稼ぎつつ、今日はオーガ肉の受取日だったりする。
先ほどミルクちゃんが大量のオーガ肉を貰ってきた。
この事で、私はひとつの大きな目標を決めたのだ。
このキャシャシーン地方からでは、〝婚活会場となる魔王城〟が遠いのだ。
そこで、もっと魔王城に近い最果ての村まで行く必要がある。
「私達はこれから、最果ての土地、〝オワタ〟に向かう」
「オワタ!」
「オワタといえば……」
「魔王城のお膝元にある、最果ての危険な土地にある村よ。住んでいる人間は皆がAランク冒険者とほぼ同列の強さを誇る……そんなデンジャラスな土地」
「「……ゴクリ」」
私の提案に、キャシーとナンシーは唾を飲み込んだ。
でも、それまでの道中はまさに、危険との隣合わせとなるわ。
道中、安全に眠れる土地なんて無い……。
お風呂にも入る事もままならない。
それでも、向かう価値はあると思ったの。
「オワタまで行くのは……骨が折れるわね」
「デモ、婚活会場ハ、魔王城ネ」
「あら、それなら問題ないわよ?」
「ミルクちゃん」
エールを上品に呑みながら、我らが副リーダーで異世界勇者のミルクちゃんが、笑顔で口にした。
「だって、私スキルで【拠点】出せるから」
「拠点って?」
「魔物や魔族が入ってこれない家……って言えばいいかしら? 道中はテント暮らしなんてせずに、ベッドにお風呂、トイレに台所もある家の中で夜は寝られるわ」
「「「おおおおおお……」」」
「それに、アタシこう見えて料理は得意なの♡ 洗濯は個人でしてもらうけど、お料理に関しては任せて頂戴?」
「救世主……」
「異世界から召喚されし勇者ですもの。これくらい出来なくてどうするの? まぁ、出来ない勇者が殆どだったけど」
なるほど、そういう凄いスキルを持っているから、奴隷のように扱われたのね……。
可哀想なミルクちゃん……。
私達はそんな事しないわ!
「ミルクちゃん! お肉は現地調達するとして、お野菜とかは沢山買っていこ!?」
「それも必要ないわ」
「「「え!?」」」
「んふふ。それは、アタシのスキルでなんとでもなるから安心して頂戴♡ 後悔は絶対にさせないわ♡」
「まぁ……スキル持ちのミルクちゃんが言うなら従うけど……」
「あ、でも皆には月に金貨十枚は納めてほしいかも」
「それくらいのことでいいの?」
「ええ、きっと大丈夫だと思うわ」
流石異世界勇者……。
色々その辺りはお任せしつつ、私達はオワタ村を目指すべく立ち上がり、銀行からそれなりのお金を下ろして、アイテムボックスに入れて仕舞う。
EXレベルならば、皆アイテムボックスくらいは使えるのだ。
ただ、時間経過はするけど……。
ああ、やっぱり異世界勇者の〝空間収納〟が羨ましい。
時間ストップだもんね……。
「じゃあ、オワタ村を目指しつつ、近場のダンジョンとか色々制覇しつつ行きますか」
「チカラ、ツケナイトネ!」
「腕が鈍るのは困るからね!」
「ここから一番近い、私達に合いそうなダンジョンだと、〝オッスオッスダンジョン〟ね」
「オッスオッスダンジョンは確か、推奨冒険者ランクはAランクだったね」
「ボスもあまり期待できないかもしれないわね……」
「デモ、オッスオッスダンジョンボス、マダ、タオサレテナイネ」
「確かに」
「なら、サクッと倒しに行きましょうか」
「色々アイテムも掻っ攫っていこう! どこかで使うかも!」
こうして私達は、昼から出発することを決め、一旦宿屋に帰り、出ていく支度を進める。
これから壮大な旅が始まるんだ……ドキドキするわ!
道中はミルクちゃん頼りになっちゃうけど。
異世界勇者は色々便利なんだなぁ……。
甘えすぎないように気をつけなきゃ。
そんな感じで昼過ぎには皆で集まり、私達は荷物をアイテムボックスに入れて、武器だけを手に集合した。
道中、寄れる村や街には寄って、売れるものは売り払ったりしないとね。
「ミルクちゃんに甘えすぎない! これは皆、絶対守りましょう!」
「ソウネ!」
「ガッテン!」
「ああん、少しくらいなら甘えていいのに~」
「ミルクちゃんに甘えたら、ズブズブに甘えちゃいそうだから!」
「イサミン……っ!」
「トゥクン……♡」って音がつきそうな、ハートな目をしたミルクちゃん。
あの目を向けられる男性魔族が羨ましいわ!
ミルクちゃんの見た目は私のドストライクなんだけどね!
気持ちを切り替えていこう!
「次の街までは遠いから、アタシの【拠点】で一泊して、それから次の街の近くにある〝オッスオッスダンジョン〟に挑みましょう」
「道中は駆け足でいいかな?」
「そうね、私達EX冒険者にしてみれば、百キロくらいなら移動範囲内だし」
「モンダイナイネ」
「途中の弱いダンジョンは放置しましょう。目指すは最果ての村……オワタよ!」
「了解! 全員位置について……よーい……スタート!」
こうして私達は走り出した。
時速マッハを超える速さで。
ああ……普通PT面子がいる時は全力で走れなかったり辛かったけど、皆となら全力でいける!
ストレスフリー! 心がアイ・キャン・フラーイよ!
オワタ村までは相当遠いけど、それまでに色々な障害があるけれど、きっとなんとかなる。
希望を胸に、私達は夕暮れまで走ることを決めたのだった。




