第47悲劇 婚活PTゼクディ、次の舞台はオワタ街!
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翌日、私達は各自で自分達の住む家を探しに行った。
ダンダくんとキャシーは初々しいデートのように、ガチガチだったけれど。
ナンシーはサラサラの髪を靡かせ、颯爽と歩いていった。
ナンシーはタウンハウスを貰っていたので特に手伝うこともなく、結局我が家に来て家具の組み立てや配置を行うことになった。
数日後には家に住める程度には出来がり、明日は冒険者ギルドだ。
オワタ村まで行く船乗りさんを紹介してもらうのだ。
「変わり者って言ってましたけど、どんな感じなんですかね?」
「私ガ従業員ニ聞イタトコロ、オワタ村マデ行ッテル船ハ三ツネ」
「三つ」
「ソノ内ノヒトツガ、ソノ人ダト思ウ」
「後二人はどんな人物かわかります?」
「金サエ払エバ、ナンデモゴザレ……ッテ感ジラシイネ」
「なるほど」
「ソレヨリハ、明日紹介サレル人ノ方ガ、安心デキルヨ」
ナンシーの実家からの情報なら確かにそうなんだろうな。
明日からどうなるかまだわからないけど、明日の朝にはゴルディバス大商会で買い物は済ませて向かおう。
もしかしたら直ぐ船に乗るかもだし。
ナンシーの旦那様に会うまでもう少し。
楽しみだなぁ!
でもその前に……困った事態が起きたんです。
「お姉様が一人暮らしを良しとされるのに、わたくしは一人暮らしが駄目なんて……」
「仕方ナイネ。私、今度結婚スルヨ」
「お姉様が結婚!? ううう……うわあああん!!」
翌朝、ゴルディバス大商会で買い物をしていた時。
妹さんがやってきてナンシーにそれだけ告げると部屋に閉じこもってしまった。
「アノ子、シスコンナノ」
「シスコンか」
「シスコンなのね」
「辛いですね……」
「サテ、アノ子ニハ後デ説明スルヨ。ソレヨリ今ハ」
「冒険者ギルドですね!」
「急ぎましょう!」
バタバタと私達は駆け出していったのだけれど――。
「わたくし! お姉様の結婚相手と決闘する!」
――まさか、こんな事になろうとは……誰が想像したかしら?
モーニングスターとフレイズを両手ずつ手にし、身体はフルアーマー。
声だけは辛うじて聞こえるけれど、フルマスクのフルアーマー……。
美しさが……フルアーマーで隠されているけれど、声の美しさは損なわれていない。
ナンシーは溜め息を吐き、今正に紹介されている船乗りのアルバレルさんは呆然としている。
「え? 彼女も乗るの?」
「イイエ、乗ラセラレナイネ」
「どうしてなの、お姉様!」
「私ハ、魔王城デ、夫トナル、ハロルドガ、待ッテル。コレ以上待タセタクナイネ」
「でも、だって……そうしたらお姉様……」
「心配シナクテモ、最近このモッチョモッチョ街ニ、家ヲ用意シタヨ。タウンハウスダケド」
「では……」
やっとここで光を見出したかのような彼女。
でも、ナンシーの言葉は次のように彼女に突き刺さった。
「デモ、貴女モ婚約者モイナケレバ、恋人モイナイ。私ガ帰ッテキタラ、コノ勇者パーティ……イエ、【婚活パーティ・ゼクディ】ニ入ッテ、旅ヲスルトイイネ」
「わ、わたくしが旅を!?」
「結婚相手クライ、自分デミツケナイト、妹トシテ認メナイネ!」
「くっ! わかりましたわ……。覚悟を決めてまいります……」
「ソウシテオイテ」
こうしてガションがションと音を立てて妹さんは去っていき……
「本当ハ、離レタクナイネ……」
そうナンシーが呟いた姿は、妹を想う姉の姿だった……
私達はアルバレルさんと向き合うことになった。
このアルバレルさん、見た目はとっても背の高い細マッチョな海の男だけど……オネェさんである。
変わっているとは聞いていたけれど、オネェさんだったとは。
「それで、オワタ村まで連れていけばいいのね?」
「そうね。出来れば魔王城までが良かったけれど難しいでしょう?」
「魔王城は難しいわぁ。あそこの海域、クラーケンとか出るし海が荒れてるの」
「なるほど」
「オワタ村までは海は荒れてないわ。でも、普通の船乗りでは行きたがらないでしょうへ」
「と言うと?」
私が質問すると、今のオワタ村の現状を教えてくれた。
今は魔族と人間が住む大きな街になっていること。
統治しているのは人間と魔族のハーフの長老で、王国にはこの事実を伝えていないこと。
異種族感での婚姻が盛んな街でもあることを教えてくれてた。
何となく察していただけに、やはり異種族感の結婚が主流になっていたのかと理解する。
「ただ、人間が少なくなっていて、今はハーフ魔族ばかりよ☆」
「ハーフ魔族ばかり……」
「いい加減人間を仕入れないと……ッテ思ってるところなの☆」
「人間を仕入れる……」
「それこそ、EX冒険者なんて持ってこいよね? ん~~どうやって集めようかしら☆」
「集めるのは大変そうですね」
「お、EX冒険者がなんだって?」
私達が会話していると、何とあわられたのは……いつぞやのPT【アザース】の面々だった。
まさかアザースの方々が来るとは……意外な場所で会うものだと驚いた。
「アザースの面々が来るなんて珍しいわね♡」
「おう、依頼を受けてここまで来たんだわ」
「魔王城まで行くけど、あなた方は?」
「魔王城までいってられっかよ。俺達は国から金を貰いつつ、平穏無事に嫁を貰って生活したいんだ」
「まぁ、現地勇者ならそうよね♡」
思わず遠い目をしたくなったけれど、確かに異世界勇者の話はあちらこちらで聞いても碌なものがない。
依頼を受けるついでに依頼者の娘を奪おうとした……なんて話もあるくらいだ。
最低である。
「俺達の拠点はこの街のひとつ前。オウーマイーガ街なんだよ」
「港町のモッチョモッチョ街も捨てがたかったがな」
「まぁ、俺らはもっぱら、本来はこのふたつの街を行き来して冒険したり金を稼いだりしてるわけだ」
「なるほどね」
「で、お前らついに魔王城にいくのか」
「婚活しにね♡」
「ナンシーの婚活相手に会いにね」
「ははは、どこまでも本当に〝婚活〟な訳な?」
「魔族との婚活なんてマジカヨって思ったけど、マジなんだな」
「そりゃ、私達は婚活パーティだもの。場所がなんであれ、相手が魔族だろうと、婚活は婚活よ♡」
酒場でエールを呑んでから笑顔で答えたミルクちゃんに、アザースの人たちも呆れたような、納得したような顔で「ま、好きにしな」と答えて去っていった。
どうやら依頼のついでに来ただけらしい。
それぞれの〝婚活〟があるんだな、と妙に納得した。
「じゃあ、明日朝一番に連れて行くけど、いいかしら☆」
「構わないわ♡」
「船旅で何日くらいなんですか?」
「意外と近いのよ。船で毎回飛ばして一日で到着するくらい近いわ」
「そんなに近いんだ」
「ただ、相当船は揺れるから気をつけてね☆」
「はーい」
「了解ヨ」
「酔い止め薬は人数分多めに買ってます」
「流石だダンダ」
こうして翌日の早朝、私達はアルバレルさんの船に乗ってオワタ村……いえ、オワタ街に向かうことになった。
もう少しでナンシーが結婚相手と再開だ。
ドキドキする。
「ナンシー、もう少しだね」
「長カッタヨウナ、短カッタヨウナ、変ナ感ジネ」
「ナンシーもキャシーも一旦これで……。この魔王城まで行って帰ってくれば、PT離脱か」
「感慨深いわね……♡」
「その後はナンシーの妹ちゃんを連れて婚活活動だね」
「あと一人仲間にしたいわね♡」
「筋肉乙女は純情乙女。是非、悩める筋肉乙女を連れて行って欲しい」
「ええ、そうするわ♡」
エールを飲んで一息ついた所で、各自家に戻って英気を養い、翌朝直ぐに私達は港に集まって、巨大な船である〝アタチ号〟に乗り込む。
アタチ号とは、アルバレルさんの幼少期の自分の呼び方からついたという、業の深い船だ。
「荷物は昨夜のうちに積み荷は運び終わってるわ。準備はいい?」
「勿論よ!」
「では、オワタ街まで出発!」
「「「「ガッテン!」」」」
――こうして、海の上を一気に加速していくアタチ号に乗り、私達は一日海の上で過ごしつつ……。
魔王城までの最後の街となる、オワタ街へと向かったのであった――。




