第4悲劇 こうして【ゼクディ】の伝説は始まったのである――
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――あれは、勇者に選ばれた時、城に行った時のことだ。
素質アリとされた数多くの勇者の中で、最もEXに近い者たちが選抜されていた。
ただの村娘に過ぎなかった私は、運良くEXになれるだけの素質を持っていた。
無論、血が滲むほどの努力はしたけれど、同じEXでも、女神様から加護を貰う事及び、スキルを貰うべく、その最終選抜に見事残ったのだ。
そこで聖女様に、「旅立ちの際に女神から加護を賜れます」と言われた時、私はこれまでの経験から虚無ってたんだと思う……。
『痛いのは嫌だからドラゴンの爪も通さず、ドラゴンブレスも跳ね返し、咆哮すら効かず、オリハルコンゴーレムなら素手で屠れる体にして欲しい』
と、頼んだため、攻撃力と防御力はとんでもなく高い。
ああ……なんであんな願いごとをしたんだろうか……。
「おかげでゴリラとか言われて……私だって乙女なのに……」
「イサミン、虚無ってるわ……」
「おお……なんてことだ……。それくらいならば、少し鍛えれば手に入るのに」
「ウン、チョット鍛エレバ、イケル」
「そのちょっと鍛えるのが嫌だったんだ……。痛いのはもう嫌なの!」
「余程辛い思いをしたのね……。イサミン可哀想……」
「ミルクちゃん……」
頭を撫でて貰いつつ、ミルクちゃんを見つめると女神のような美しい笑顔を向けてくれた……。
ああ、これで心が男だったらなぁ……。
無いもの強請りしてもしかたないや……。
「大丈夫……。おかげで今があるもの! 婚活PT最高よ!」
「イエス! 我ラ! 最強乙女!」
「そう、最強乙女なのだ。最強ゆえに孤独なのだ!」
「その孤独と、婚活活動を埋められる……それがこの【ゼクディ】よ!」
「「「婚活! イケメン! 寿退社!!」」」
「アタシ達が向かうは……!」
「「「婚活会場、魔王城!」」」
「最終目標もしっかりと確認できたことだし、帰りましょう♡」
こうして私達は歩きながら来た道を戻っていくのだけれど――。
「金の分配も楽しみだな!」
「これだけ倒した上に〝空間収納〟持ちの異世界転移のミルクちゃんのお陰で、オーガ肉は大量だ」
「睾丸もな!」
「「ははははは!」」
「やだもう……。確かに高いアイテムだけど、触りたいとは思わないわよね……」
「ああ、ちょっと遠慮したいですね……」
「だが、ひとりにつき、ひとつアイテムを作ってもらって貰っておくのは良いかもしれんぞ?」
「ああ、新婚になった時に使うかもしれんな!」
「「ハッスルハッスル!」」
「もう、乙女がそんなこと、い・わ・な・い・の♡」
キャシーさんとナンシーさん強い……。
色々強い。
思わず顔を両手で覆って真っ赤になってしまった……。
「ほら、もうイサミンったら初心なんだからね?」
「女勇者ハ初心ダナ!」
「だが、その初心さが良いのかもしれんぞ?」
「「初心さか……」」
「でも、この中ではイサミンが一番年上なんだけどね?」
「え!?」
思わぬ言葉に私が顔を上げると、絶望の顔をしながら三人を見た。
聞けば、ミルクちゃんは二十五歳。
キャシーは十八歳、ナンシーは十九歳だという……。
考えてみよう。
十八歳のビキニアーマー。
十九歳のビキニアーマー。
そこにロマンが転がっているじゃないか……っ!
二人共に二メートルは超える筋肉的巨体だが!
「若さが憎い……っ!」
「いや、女勇者も見た目は私達と変わらんぞ?」
「アア。確カニ厚サハ無イガ」
「確かに色々ひょろいかも知れないですけどね⁉」
「私達ハ、巨乳ダカラネ!」
「大胸筋を鍛えた甲斐があるな!」
そう言っておっぱいをピクピク動かすふたり……。
私のぺったんこでは……何も動きはしない……。
嗚呼、筋肉でも、大胸筋でも、大きいは正義なんだわ!!
「何でもかんでも大きければ勝てると思うなよおおおお!!」
「落ち着いてイサミン! 私はイサミンのチッパイ大好きよ?」
「チッパイでも好きで居てくれてありがとう!」
ミルクちゃん、本当に癒やし!
ピンヒールで歩く姿は凄く色っぽいのに……。
いや? ……そのピンヒールって今思えば武器ですか?
一抹の不安を他所に、私達は冒険者ギルドに到着すると、ミルクちゃんが持って帰ってくれたオーガを卸すべく、解体所の隣りにある巨大倉庫に案内された。
村ひとつ分のオーガをミルクちゃんが出すと、ギルドマスターは遠い目をしながら、事情聴取をうけることになった……。
え、事情聴取うけるようなことしたの?
不安を他所にギルマスの部屋に案内され、ミルクちゃんが「肩慣らし腕鳴らしに、ギルドで出ている依頼をこなしただけですよ?」と、答えていたけれど――。
「だが、ギルドから出ていた依頼は、どれくらいの規模のオーガの村が出来ているのかの調査だったはずだ」
「ええ、その通りね。でも、あの規模を調べるくらいなら、アタシ達で殲滅したほうが早いかなって。そうよね?」
「うむ、あの程度なら肩慣らし程度だからな」
「悪イコト、シテナイネ!」
「イサミンはどう思う」
おおっと? ここで話し振りますか?
けど、既にヤッチャッタ後なんですよね?
ええ、終わった後。
全ては過去のこと。
受け入れましょう……勇者として。
「オーガ肉、美味しですよね!」
「目が混乱してるぞ」
「あはははは……」
「全く、まぁいい。これで脅威がひとつ消えたと思えば問題はない」
「これで万事解決♡ それでいいわよね?」
「金の分配は四人で分けるんだな?」
「ええ」
「勇者、良いんだな?」
「イエス、ボス」
「だそうだ。四人に分配して渡そう。相当な金額になるので、銀行に預けたほうが良いぞ」
「いっそ銀行振込みしてもらえません?」
「……分かった。四人分銀行振り込みしておこう」
流石ミルクちゃん……ギルマスもミルクちゃんには甘いんですねぇ。
そう関心していると――。
「それから、これより【ゼクディ】の面子はEX冒険者として、そして勇者PTとして活躍してもらう。これだけの実績を出したんだ。解散するなよ」
「ファ!?」
「次の働き、期待している! 以上だ!」
――こうして私達【ゼクディ】は、勇者パーティとして正式認定された。
婚活目的のはずなのに。
どうしてこうなった。




