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婚活パーティは魔王城で!  作者: 寿 明結未(ことぶき・あゆみ)
第一章 恋する乙女に必要なのは、愛と筋トレと大胸筋

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第3悲劇 返り血は雨のように降り注ぐし、首も雨のように降り注ぐのよ……

「さぁ、気合を入れて、実力をリーダーのイサミンに見せるのよ!」

「「ガッテン♡」」


 彼女たちは――群れで襲ってくる大量のオーガの群れに突っ込んでいった……。

 そこからは……一方的な殲滅風景だった。

 鞘に入れたまま剣を振るう。

 ――ボッ。

 次の瞬間、オーガの首が空を舞った。

 風圧で吹き飛び、壁に叩きつけられ、まとめて絶命。


 ナンシーさんは素敵な異国の踊りを披露してるんだろうけど、早すぎて高速回転しながら敵の間を突き進み、吹き飛んでいくオーガの首が雨のよう……。

 ああ……血の雨が降っているわ。

 晴れているのに血の雨が降るなんて……狐もびっくりの嫁入りも出来ない雨ね。


「うふふ! 圧倒的じゃないの!」

「……オーマイゴッド。圧倒的ではないか……我が婚活PTは……」

「両手で惨劇を隠さない♡」

「あああ、いけませんお姉様! 私、血だけは苦手なんです!」

「でも、いざという時は戦ってたでしょう? イサミンのPT面子、弱々だったものね」

「うううう……。ミルクちゃんの意地悪♡」

「うふふ♡」


 まぁ、血は苦手だけど、絶対駄目ってことではないし、見慣れれば何ともなくなると言うか……いや――ほんと、いろんな意味で虚無りそうだわ。

 圧倒的すぎるもの。

 これでまだふたりしか肩慣らしに動いてないのよ?

 凄すぎない?


「私達は絶命したオーガから魔石やら何やら集めましょうか」

「そうだね」

「もう、そんなに喜んじゃって♡」

「ウフフ」

「ドンドン回収急ぎましょう! おかわりは何度でも来そうよ!」

「だああああ! もう急ぎましょう!」


 こうして、高速回転しながらオーガの首をスパパパパパ――ン……と切り落としていく、美しきはずのダンスを繰り広げているナンシーさん。

 ドッシュンダッシュンと音を立てつつ、オーガの首を吹き飛ばしていくキャシーの凄まじい殲滅力。

 私とミルクちゃんは魔石と睾丸(※高値)、その他お金になりそうな物をゲットしようとしたけど――。


「ああ、そう言えば〝空間収納〟がアタシ、あったんだったわ」

「〝空間収納〟っていうと、異世界勇者が使えるっていう超巨大な空間収納の事?」

「そうそう。中のものは腐らないし、持ち帰るならオーガ肉も欲しくなぁい?」

「欲しい~。こう見えてオーガ肉って美味しいもん」

「決まり! 首はいらないから、首から下を持って帰りましょ♡」

「わぁ……絶命してるオーガの首を刎ねるのは……」

「お任せしたわ♡」

「わぁ~い。頑張るぞー」


 虚無のまま、壁に吹き飛んで絶命しているオーガの首を剣で切り落としつつ、処理をしていく。

 まぁ、オーガのお肉美味しいし、これくらいは仕方ないよね。

 私、料理が壊滅的だけど。

 ……この面子で料理が得意な人っているのかしら?

 キャシー……とナンシー……出来る?

 いや、ああ見えて料理出来るかもしれない。


「私だけ料理が壊滅的だったらどうしよう……」


 不安を胸にオーガを処理していくと、ズゥゥウウウン……という足音が響き、地面が揺れる。

 この気配は――。


「オーガキングよ! 気を付けて!!」

「おお……ようやく我の本当の意味で肩慣らしになりそうなのが出たな!」

「相手ニ、不足ナシネ!」

「ミルクちゃん! ふたりじゃ危ないわ!」

「ん、危険になったら助けに行くわ。安心してね?」


 安心出来るか――!!

 相手は〝オーガキング〟だよ!?

 ある種のボスだよボス!!

 いくらEXのふたりとはいえ、か弱い乙女が勝てる相手じゃ――。


「武器は邪魔だ! いざ拳で勝負!」

「ソウネ! 枷は外シテ、良イカモネ!」


 待って!?

 武器が枷だったの!?

 ってことは今まで枷付きでオーガたちを屠ってきたの⁉

 嘘でしょ!?


「我が相手に不足なし!」

「私モ、一撃ハ、入レタイネ!」

「キャシーは腹を狙う!」

「ナンシーは顔面狙うネ!」


 わぁ、一瞬にして役割分担出来てる。凄いわー。

 そう思った瞬間、「ゴシュッ!」「ドスッ!」という音がオーガキングから聞こえ……。

 腹の真ん中を突き破られたオーガキングは血を吐き……顔面に更に拳が突き刺さり……哀れ、登場して数分でオーガキングは地面に倒れた。


「登場して数分で床ペロですか……はは、圧倒的戦力!」

「このオーガキング、まだ若いオーガキングだったわね」

「マダ、身体ガ、出来上ガッテナイ……弱イ、キングネ」

「腕鳴らしにはならなかったかもしれないわ」

「全クモッテ、ソウネ」


 お、おう……。

 物足りないとばかりに、返り血を雨に濡れた水滴を払うかのように堂々と立つふたり。

 しかも背後に後光が差してるわ……。


「少しだけ暴れるくらいは出来たかしら~?」

「そうね。ちょっとした運動くらいか?」

「普段シテイル筋トレノ方ガ、ハードネ!」


 どんな筋トレ!?

 ちょっと興味があります!


「後は全部〝空間収納〟に入れ込んじゃって……さて、帰りますか! でも、その前に返り血はなんとかしたいわね……。〝生活魔法〟使える?」

「使えるよ」

「使エルネ!」

「それで綺麗にして帰りましょう!」


 ――こうして、私も〝生活魔法〟で、顔や手に着いたオーガの血を落として、いざ帰路につくのだけれど……。


「私、回収しかしてないわ……私って弱すぎ?」

「あら、それを言ったらアタシも〝空間収納〟でオーガを入れてただけよ~?」

「うう……私もそんなスキルがあればっ!」

「ねぇ? イサミンの女神から貰ったスキル、何なのかしら?」

「気ニナルネ」

「確かに、勇者に選ばれるくらいだ。一体どんなスキルを?」

「それは――……」


 ――それは、今までの私には、致命的に足りなかったものだった。

 

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