第2悲劇 肩慣らしの相手が、オーガの集落でした
道中も前のパーティがどうだったとか盛り上がり、今回はナンシーさんに言われた言葉について語り合っていた。
婚活をする私達は結局のところ売れ残り……。
それは理解しているけれど、心無いことを言われる筋合いはない!
「えー!? ナンシーさんも、そんな事言われたの!?」
「筋肉隆々の踊り子が駄目だなんて、誰が決めたのよ!」
「全くだ!」
「ミンナ、アリガトネ! ナンシー……少シ自信ツイタヨ!」
ナンシーさんは筋肉隆々な踊り子だ。
それを馬鹿にした前のPT面子をフルボッコにして彼女は去った……。
乙女の涙を流しながら……。
悔しかっただろう。
辛かっただろう。
だが我ら【ゼクディ】はそんな裏切りはしないのだ!
「明確なルールを作ろう、ひとつだけでも!」
「それが良いわね。どんな内容にする?」
「そうだなー……。婚活パーティなんだし、結婚相手を鷲掴みにしたら、パーティ離脱……ってのはどう?」
「「「おおおおお……」」」
「その時は、おめでとうってお祝いして卒業を祝うの! 馬鹿にしてきた奴らに一泡ふかせてやるんだから!」
「それは良いわ! 結婚相手を見つけたら卒業……。そして都度新しい婚活に悩む乙女を入れていく」
「そういうことね!」
「ナンシー……頑張ルヨ!」
「俄然やる気出てきたわ!」
「さーて? この中で誰が先に卒業するかしら?」
「この際、結婚相手が魔族でも気にしないわよね」
「「しない(ネ)」」
「いっそ、魔王城目指してみる?」
ふとそんな事をいったミルクちゃんに、私達はピタリと止まった。
「だって、強い魔族のほうが良くない? まぁ、ダンジョンのボスクラスでも良いんだけど……。魔王城って考えたら、婚活パーティーにはもってこいのパーティー会場よね」
「「「確かに」」」
「魔王城改め、婚活会場」
「目指しますか! 魔王城と言う名の婚活会場を!」
「四天王とか結婚相手にはもってこいかも知れないわ!」
「魔王城に行けば、結婚相手は選り取り見取り!」
「俄然やる気出た! 燃えてきたわ!!」
こうして、私達は一路、婚活会場という名の〝魔王城〟を目指す事を目標と掲げた。
魔族だっていい男は沢山いるし、頑丈だし、壊れないし、私の相手にピッタリかも知れないわ!
「ミルクちゃんもいい相手を見つけ等ると良いわね!」
「そうねぇ……アタシ、理想が高いから色々と難しいかも知れないけど」
「異世界人特有の黒い髪に黒い瞳、色白の肌は、流石にモテる要素ぶち込みじゃないの?」
「それがねー? 他の召喚された勇者たちからはアタシ、不評だったのよ」
「「「え――!?」」」
これは初耳だわ。
何故ミルクちゃんは他の召喚された勇者達に不評だったんだろうか?
「戦闘スキルとか頂いたスキルは素晴らしいものだったから、一時的にPTには入っていたわ。でも、まるで奴隷を扱うような待遇になっちゃって……。それでPTが抜けたのよね」
「酷イ……」
「奴隷だなんて!」
「異世界人何を考えているんだ!」
「それで、〝世界を知りたい〟って言って受付嬢してたの。今、あの転移勇者とか転生勇者たちがどうしてるかは知らないけど、正直関わっても碌なことはないわね」
「「「うわ――……」」」
「ちなみに、アタシの冒険者ランクは勇者だからEXよ」
そう言えば勇者は全員冒険者ランクはEXだったわね。
他の冒険者でEXを持ってる人は、多くないと聞いている。
そういう方々は、とっても尖ったスキルだったりを持っているらしいけれど、とんでもなく強いらしい。
「私もEXだわ。キャシーとナンシーの冒険者ランクは何なの?」
「私モEXネ」
「同じくEXだよ」
「oh! エクストラだらけの婚活女子PTでしたか!」
強い……強いぞ!
圧倒的ではないか、我が婚活PTは‼
「相手の男にも、それくらいの強さを求めたいわねぇ……」
「全くネ。弱い男、イラナイネ」
「弱くても、せめてSランク冒険者くらいでないと……」
「でもさー? Sランク冒険者って引っ張りだこのモテモテだから、女癖悪そうよね」
「「「言えてる――」」」
「ハーレム作ってたりさ」
「一匹狼と見せかけて、可愛い女の子にモテモテ味わってるんだよね」
「汚ラワシイネ! 女の敵ヨ!!」
「「「嫌ね――!!」」」
――言いたい放題である。
でも、実際異世界勇者はそういう人たちが多いって聞くし、ミルクちゃんは特殊だわ。そりゃ心が乙女って言う時点で特殊だけども。
ここまで歩いてきて、ふと私は思い立った。
今まであったダンジョンは全てスルーして人気のない森の中をずっと歩いているけれど……。
こんな奥にダンジョンなんてあったかしら?
「見えてきたよ! 手頃な相手のいる場所がね!」
「お、どんなダンジョンだろう!」
「ダンジョン、チガウネ」
「そうそう、ダンジョンではないのよ」
「え?」
「私達の相手にこの辺の生温いダンジョンなんて敵が雑魚すぎる」
「そうね。あ、イサミちゃんは一般的な冒険者と一緒にいたからぬるま湯で慣れちゃってるだろうけど……」
「ぬるま湯……」
「本来、アタシ達が戦うべき〝丁度いい肩慣らしの相手〟は――」
「コチラよ!」
その高台から見えたそこは――〝オーガの集落〟!?
「嘘でしょ!? こんなことってある!?」
「私達ノ腕ナラ簡単ネ!」
「練習相手にはピッタリよ!」
「オーガキング、オーガジェネラル、オーガナイト辺りが出ればいいわねぇ~」
「いやいや? いやいやいや? ちょっとタンマ! え? え? え?」
「さぁ、アイ・キャンフラーイして乗り込むわよ~~!!」
「「アイ・キャン・フラーイ!」」
そう言うとキャシーさんとナンシーさんは武器を手に高台から、下に見えるオーガの集落に落ちていった!
「イサミちゃんは私が抱っこして連れて行ってあげる!」
「ぎゃっ!」
「レッツ♡ アイ・キャン・フラーイ♡」
「みぎゃああああああああ!!」
オーガ相手くらいなら確かに私でも大丈夫、大丈夫だけど!
「私、血を見るのが苦手なのよおおおおおお!!」
「立ってるだけでいいわよ! アタシ達にかかれば!」
「「ワンパンで終わりだ(ネ)!!」
こうして、オーガの村殲滅が炸裂したのであった……。
ああ、私、血は苦手なんですううう!
「さぁ、気合を入れて、実力をリーダーのイサミンに見せるのよ!」
「「ガッテン♡」」
彼女たちは――群れで襲ってくる大量のオーガの群れに突っ込んでいった……。




