第39悲劇 証人は勇者PT、義姉予定、却下のお知らせ③
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「では、……話し合いをしようか」
「ソウネ。我ガゴルバディス大商会ヲ、敵ニマワシタ、ソノ罪ハ大キイヨ?」
……この場で家具がひとつも壊れなかったのは、奇跡だった。
ここで弁護士さんがすっとだしたのは、録音された音声だった。
流れ出るのは、婚約を踏みにじる軽率な言葉の数々だった。
最早彼女の両親は耐えられないとばかりに父親は耳をふさぎ、母親は泣き崩れた。
「や、やだやだ、やめて!」
「君は随分と……勝手気ままに遊んでいたようだね?」
「なんで護衛もし無かった筋肉ダルマがそんな事言うのよ!」
「馬鹿か。冒険者になった妹がひとりいると話していただろう」
「ソレガ、私ネ」
「うそ……」
「私ノ前デモ、ペラペラ喋ッタネ?」
「最低だわ」
私達が庇う気は、最初からない。
アルマティア様は、完全に追い詰められていた。
そのうえで、ゴルディバスさんは冷静に彼女を見ていて、最早未練も何も無いのだと言わんばかりに冷たい目をしている。
「……おわかりかな?」
「あ、う、あ……」
「契約に基づく額になる。それだけだ」
「ま、待って下さい! この言い分はなにかの間違いですわ!」
「間違いねぇ……? これだけの証言があるのに、まだ慰謝料の上乗せが欲しいらしい?」
「アルマティアもう辞めるんだ!」
「家の立場が危ういのよ!」
「嘘よ嘘よ! だって、だってわたくし……」
叫んで暴れて、でも言い逃れの出来ない状態。
あれだけの言葉の数々を聞けば……。
「何よ魔王城に婚活しに行くって! 頭可笑しいじゃないの!?」
「でも、私達が求める男性って、耐久力が必要ですからね……。魔族に目を向けるのは間違ってはいませんよ」
「可笑しいわ!」
「勇者パーティは通りに叶っている。だがアルマティア、君のした裏切り行為は彼女たちより更に可笑しい上に、全てが俺に対する侮辱と詐欺だ。許せると思うか?」
「いやあああああ!!」
遊んで暮らすと言う未来が消えたからだろう。
アルマティア様はうずくまって悲鳴を上げた。
「婚約破棄の手続きに入ろう。彼女は別の部屋に」
「わかりました」
「いやよいやよ! ゴルディバス! 私を捨てないで!」
「ハッ! 最初に捨てたのは君だろう」
「ただの遊びじゃない!」
「ただの遊びの範疇を超えている。未練もないし君とは縁を切る」
「ゴルディバス――!!」
――こうして、アルマティア様は別室に連れて行かれ、私達は暴れる彼女を抑えるべくついていてほしいと言われて別室へ。
そこには、メイドたちに捕まって暴れる彼女がいて、ナンシーとキャシーが彼女たちに変わり、片手で腕を掴めばびくともしなくなった。
「う、うごけ……ない!?」
「コレガ、私達ノ、力ネ」
「EX冒険者を甘く見るな」
「ひっ!」
「暴レル、無意味ネ」
「い、いや……」
顔面蒼白で震える彼女に笑顔で言ってのける二人。
「しかし、本当に見事な人生の落ちっぷりね♡」
「崖から突き落とされたかのような終わり方ですね」
「浮気はね、得をした気になるだけ。結局、全部失うの」
「全くもってそのとおりです!」
「浮気は面倒を増やすだけです」
「だって……だって!」
「遊びを正当化するおつもりですか? なんて嘆かわしい人だ」
ダンダくんの冷たい言葉に彼女は涙をこぼし顔を歪めて俯いた。
キャシーとナンシーはダンダくんの言葉に頷いている。
優しそうな人が冷たく言えば、これだけの威力があるんだなって思いました。
流石に優しい彼も、今回の男遊びや男漁りは許せることではないのだとわかります。
「好きな女性が不誠実な遊びをしていたら許せないです。貴女はタブーを犯した」
「……ダンダ……くん?」
彼女は縋るような目でダンダくんを見たけれど、彼は首を横に振った。
「その罪を償う時が来ただけです。しっかりと罰を受け止めましょう」
「次の婚約はないだろうがな」
「そんな……」
「ソレガ、我ガ家ニ喧嘩ヲ売ッタ、報イネ」
「君は大きな過ちを犯した。その責任を取るだけだ」
ナンシーとキャシーに言われ、最早動くことも出来ず嗚咽をこぼす彼女。
どう生きるかは、彼女次第。
これで終わりだ。あとは彼女次第だ。
――その後、婚約破棄の手続きが終わり、彼女は二人に掴まれたまま彼女の両親の馬車へと連れ戻され当分は表に出られないだろう。
「なんというか……浮気は駄目ですよ」
「ええ、そうね」
そう語り合い、ゴルディバスさんの元へと戻ると、彼は珈琲を飲みつつ一服していて、私達も紅茶だけど頂いて飲むことになった。
すると――。
「俺に女性がつかない理由は容易に想像できる」
「想い人とはどんな感じなんだ?」
「お互いに、俺が婚約しているから諦めようと」
「ナラ、モウ、諦メナクテイイネ」
「ああ、そうだな……。明日にでも紹介したい」
「分かったわ♡」
「人は過ちを犯す。だが、隠し通そうとした瞬間に信用は消える……。それを知ったいい経験だったよ」
一体どんな女性なのだろう?
少し、楽しみだ。




