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婚活パーティは魔王城で!  作者: 寿 明結未(ことぶき・あゆみ)
第三章 婚活の前にやることが多すぎる件

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第37悲劇 証人は勇者PT、義姉予定、却下のお知らせ①

ブックマーク、評価、感想、誤字脱字報告ありがとうございます。

 ゴルディバス大商会に到着し、ガメーラを納品しにナンシーの兄に会いに行ったのだけれど――。

 ナンシーの兄、ゴルディバスさんは、ナンシーとは少し違う異国の男性だった。

 黒髪に色黒の巨体。

 垂れ目はナンシーに似ているが、体格はキャシーと並ぶほどの圧。


「なるほど? アルマティアの馬車を助けて、護衛しているつもりはなかったが、そういう話になったのか」

「アレハナイネ。私、アレが義姉ナラ、家カラ出ル」

「ナンシーがそこまで言うということは、相当な事を言っていたということか?」


 その言葉に、愛人を作ると言っていたこと。

 その上、ゴルディバス家に嫁いだら豪遊するのだと言っていたことを語ると、ゴルディバスさんは眉を寄せて腕を組み、厳しい表情で「ふむ」と答えた。


「同じ女性として、あり得ない発言の連続で……ゴルディバスさんはどうお考えですか?」


 そう私が問いかけると、彼は暫く沈黙した後、口を開いた……。


「可愛らしい女性は好きだ。だが、商会の名を踏みにじる者は好かん。妹がそこまで言うなら十分だ。この婚約は破棄する」

「それが良いわね。あの女はないわ」

「俺もそう思います。結婚しても互いが不幸になるだけですし……」

「互いを高め合う夫婦関係が築けるのなら良いんだが、あれはないな」

 

 私達と同じ考えだったようで、尚且つアルマティア様が婚約者であるゴルディバスさんに会いに来ている道中でのこと。

 しかも、彼女は友達の家に遊びに行くと言って出かけていたようだが、来ていた方向が、聞いていた友人とは真逆の方向だったそうだ。

 正直、他人の婚約騒動に首を突っ込む趣味はない。

 でも――ナンシーの家が軽んじられるのは、少し腹が立った。

 

「どこに行っていたのかも聞かねばならんな。夜の街、〝オターノシミデシターネ街〟に行っていたのなら大問題だ」

「ゴルディバス大商会ニモ、影ヲ落トスネ」

「その通り。しっかり周囲の者たちからも話を聞くとしよう」

「あの、〝オターノシミデシターネ街〟とは? まだ行ったことがなくて」


 そう私が質問すると、皆さん顔を顰めていて……ミルクちゃんが溜め息を吐くと「これも勉強のひとつね」と呟いて教えてくれた。

 

「〝オターノシミデシターネ街〟は、娼婦や男娼が集まる花街よ」

「ショウフ、ダンショウ」

「つまり……大人向けの街ね♡」

「異世界勇者ガ、好ンデ集マル場所デモ、アルネ」

「基本的にあの手の勇者は、そこを拠点にしてるわ」

「わぁ……」


 思わぬ情報に顔が熱くなる。

 そ、そういう街があるんだ……。

 そこを拠点ってことは、つまり……うわぁ……。

 ミルクちゃんが行ったら――いや、許さない。


「ということは……そういう花街方面からあの女性は帰ってきてた可能性が?」

「十分にあるな。カテエラの街に行っていないのであれば、あの方面にあるのは……オターノシミデシターネ街くらいだ」

「そうなんですね……」

「ソコニ行ッテ、遊ンデイタナラ、大問題ナノヨ」

「と言うと?」

「ゴルディバス大商会ハ、アノ街ニハ商店ヲ作ラナカッタネ」

「扱う品が夜の街向け過ぎた。商会の品位に関わる」

「なるほど」

「品位を落としてまで店を出したくはない……ということだな?」


 そうキャシーさんが告げると、ゴルディバスさんは強く頷いた。

 店に誇りを持っている男性だ、当たり前の事だろうと思う。

 その場所に婚約者が行っていて遊んでいた上に、これからも豪遊すると言って向かっていたら大問題になるわ!


「それで、私達は証人として婚約破棄の場に行けば良いのかしら?」

「いや、まずは彼女の周りの部下達から事情を聞き出す。おそらく金で止められているだろうから、〝口滑りの薬〟を飲ませるがな」

【口滑りの薬】――本音が、つい滑る薬だ。

 公式ではないが、商会では珍しくもない。

 あらら――……これってもう言い逃れ出来ないのでは?


「そのうえで、証言を集めた最後に、彼女の両親も呼んで、君たちに証言をしてもらいたい。最後に【口滑りの薬】入りのお茶でも飲ませて全員の前で白状させる。最初は信憑性がないと逃げられたくはないからな」

「完全に逃げ口を塞いで婚約破棄なさるのね? それで、貴女は彼女に愛着とかは無かったのかしら?」


 ミルクちゃんが質問を投げかけると、ゴルディバスさんは悲しげに笑みをこぼし、小さく溜め息を吐くと……次のように口にした。


「勇者でない分、商会の名で見られる。だからこそ、相手は慎重に選びたい」

「なるほど」

「好きな女性はいないのか?」

「……」


 頬を染めて顔を背ける姿……これはいますね!?

 故に、この婚約破棄がなんとかなれば……もしかしたら……ワンチャンあるかもしれない訳ですね!

 これは是非、力をお貸しせねば!


「好キナ相手、既婚者?」

「馬鹿を言うな!」

「安心シタヨ。ナラ、好キニスルトイイネ!」

「……ありがとうナンシー」


 こうして、明日、真実が明らかになる。

 私達はその地獄を見届けてから旅立つ。

 さぁ……どんな地獄が待っているのかしら……。

 私達は証人として、【口滑りの薬】を飲ませた彼女の部下達から話を聞くし、婚約破棄を円滑にするべく、ゴルディバス大商会の弁護士も呼ぶらしいけど。


 潔く罪を認めるような女性でなさそう……。

 明日は荒れる。

 ――そして、多分、誰かが泣く。

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