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婚活パーティは魔王城で!  作者: 寿 明結未(ことぶき・あゆみ)
第三章 婚活の前にやることが多すぎる件

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第31悲劇 実は黒幕、何となく知ってましてね?

ブックマーク、評価、感想、誤字脱字報告ありがとうございます。

 その後の調査で、壊されたボス部屋の中で件の剥奪勇者のひとりが、無惨な形で死亡していたことが、EX勇者剥奪者捕縛騎士団の調査でわかった。

 けれど、遺体には呪いが掛けられていた為、教会で使う死者を弔う際に燃やす『炎の砂』を使って灰にしたらしいわ。

 ――剥奪勇者でありEXを倒せる敵となると、最早もやし魔王しか想像がつかない。

 

「……本当に、魔王がやったのかしら?」


 私がぽつりと呟く。

 その場が一瞬だけ静まり返るけれど、次の瞬間にはミルクちゃんが肩をすくめて笑った。


「えー、じゃあ誰がやったっていうの? 私達の婚活には関係ないわ♡」


 あっさりとそう言い切るミルクちゃんに、私も「そうね」と笑みを浮かべた。

 恐らく彼ら数名を元の世界へ戻し、件の亡くなった男性に関しては……何かのメッセージか。


 勇者剥奪されたEXを殺せる存在が明確となり、世間は揺れた。

【魔王という脅威】が現実味を帯びたのだ。

 そして――。


「そんな、もやし魔王ちゃんは、勇者にぞっこんなんだ」

「ええええええ!?」

「ダンダくん、そこまで驚きます?」

「驚きますよ……。ええぇ……。これからその魔王が襲ってきたら、俺達でも太刀打ちできますかね……」

「分からないわ。ただ言えることは、もやし魔王は、イサミンの嫌うことは絶対しないという事ね」

「何故ワカル?」

「アイツとアタシは同類だからよ」

「ナルホドネ……。デモ、腑ニ落チナイノハ、ボスガイナイコトヨ!」

「確かに!」

「私達、婚活乙女ネ! 婚活相手ガ、留守! 困ルネ!!」

「全くよ! なんで留守なんて使うのかしら!」


 と、別の意味で怒り出した面々。

 確かに私達は婚活PT!

 相手が逃げ出して留守なのは困るわ!!


「やはり、チマチマダンジョンに行くよりは、〝大規模婚活会場〟に乗り込んだほうが良さそうだな」

「それってつまり……」

「……魔王城だ」

「あ、やっぱり大規模婚活会場って魔王城のことなんですね」

「フ……。良かったらダンダも魔族娘で嫁を探したらどうだ?」

「あ――俺は良いです。まだ早いっていうか」

「だが、君は二十八歳だろう。一番年上だ」

「そうだったんですか!?」

「あ、はい」

「若く見えるって、得よねー♡」


 思わずダンダくんの年に驚く。

 見た目って役に立たないな!

 ダンダくんもっと若いかと思ってた!


「ダンダコソ、早ク、嫁、見ツケルネ?」

「それは分かっているんですが……」

「好みの女性がいるとか? 意中の相手とか?」

「それは! なんと言いますか……」

「ふむふむ?」

「深読ミハ、ダンダニ、失礼ネ。気持チ、ケジメツケバ、言ウヨ」

「そういうものか?」

「ソウイウモノネ」


 キャシーさんの言葉にナンシーさんが間に入る。

 なんだか不思議な感じだったけれど、きっと二人の間だからこその伝わることもあるのだろうと、笑顔で頷いた。


「愛も恋も一筋縄ではいかないわ。そして、独り相撲ではどうしようもないのよ♡」

「そうですね♡」

「ミルクノ言ウ通リネ」

「なるほど、我はどうにもせっかちでいかんな」

「ソコモ、キャシーノ、魅力ノひとつヨ!」

「そうだといいんだがな!」

「キャサリンさんは魅力の塊ですよ」

「ははは! 我を喜ばせてどうする! 狙っている女性を褒めたまえ!」

「あはは……」


 その様子を見て、私とミルクちゃん、そしてナンシーは目を光らせた!

 恐らく……恐らくだけど……ダンダくんはキャシーが好き!

 これは、これはこの恋! 実らせたい!

 私達にできることは限られているけれど。

 せめて、二人きりの時間くらいは作ってあげたい。


「何にしても、婚活相手が大規模婚活会場にしか居ないなら、そこを目指すしかないわね」

「オワタですね」

「まだ始まってもいないのに!」

「違うわよダンダ。最果ての街のオワタ! ここからオワタまでは随分とあるわね。途中の街を経由しながら行きましょう。アタシ達が全力で走ってもオワタまで三ヶ月は掛かるわ」

「暫ク、森ヲ突っ切ルト言ウ手モ、アルネ」

「確かに、カテエラの街のそばにある、原始の森……だったかしら?」

「ソコヲ、移動デキレバ、ニヶ月ヨ」

「となると、森を突っ切るのも手か」

「普通ナラ、シナイネ。デモ、ミルクノ拠点アルカラ、イケルネ」

「そうね、突っ切ってみましょうか」

「なら、明後日から突っ切ろう。今日はまだ冒険者死亡の余韻が残っている」

「ナラ、夜ハ、チョット出カケテクルネ」

「うむ、気晴らしも必要だろう」


 こうして、ナンシーは少しだけアンニュイな様子で部屋を出ていった。

 自分だけ相手がいないというのは……中々に苦しいのだろうと思う。

 少しでも気晴らしになると良いけど……。


 その日の夜、ナンシーは少しお洒落をして出かけていった。

 何でも執事さんに聞くと、ナンシーお気に入りのバーがあるらしい。

 何かあると、そこで飲んで帰って来るのだとか。


 それならば、ひとりでゆっくりさせたほうが良いと思い、私達はミルクちゃんの用意したお酒を飲みつつ会話を楽しむ。


「婚活会場で素敵な出会いがあるといいんだけど……」

「案外バーで素敵な出会いがあったりして……まぁ、そうだと良いなと言う予想ですが」

「ダンダの予想が当たると良いんだがな」

「ナンシーさんだって美人なんですから、良いお相手くらいできていいのに」

「本当よね。うちの女性陣の良さを分からない男はノーサンキューだけど」

「それは言えている」

「「ですね!」」


 こうして、夜ひとり出かけていったナンシーに何が起きるのか……。

 はたまた、素敵な出会いがあるのかは……まだ分からない……。

 でも。


「ナンシーも、素敵な恋をするといいな……」

「キャシー……」

「そうね♡ 素敵な恋は、素敵なものをはこんでくれるから♡」

「切なさもな」


 ――静かな夜はラガービールを飲みつつ、お菓子を食べながら過ごした夜のこと。

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