第29悲劇 〝EX勇者剥奪者捕縛騎士団〟が到着するまで引きこもって……
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「分かった。暫く〝アウートダンジョン〟へ入る冒険者を今後は規制する。奴らが出てきたら、王国騎士団に連絡しておいて捕らえてもらうように事を進めよう」
「王国騎士団ハ、EX狩リニ、適シタ、スキル持チバカリネ」
「流石に〝勇者剥奪者〟のEXを野放しには出来ない」
固く決めたカテエラの冒険者ギルドマスターは、魔法の紙にことの重大さを示し、直ぐに王国に連絡。
すると、二日以内になるが、〝EX勇者剥奪者捕縛騎士団〟が到着するらしい。
後二日もダンジョンに潜ってくれているかわからないけれど、少なくとも、このカテエラの街には居てくれるだろう。
信じて動くしかないわ。
「それで、そのユサという冒険者だが……」
「……ええ」
「見つけ次第、無理やり連れて行くと言っていたな」
「……そう」
「ユサという異世界勇者は、現在行方不明なんだ」
「そうなんですか?」
ギルドマスターの言葉に私が問いかけると、ギルマスは強く頷き言葉を続けた。
「名を変えて冒険者を続けている可能性はあるが、彼が行方不明になってから、既に五年が経過している。最初は異世界勇者パーティに居たのだが、パーティを離脱。その後〝ユサ〟という名を捨てた……と言う情報だけはある」
「そうなんですね」
「ユサハ、レアスキル持チダッタノ? ソンナニ、付ケ狙ワレルナンテ、ヨッポドヨ!」
「かなりのレアスキル持ちだったようだ。スキル目当てで、奴らも動いているんだろう」
「なるほどな……」
「少なくとも、他の冒険者に被害が及ばぬようにするのも俺の仕事だ。今回のアザース救出の緊急ミッションは、ゼグディの皆に報酬金を渡す。Sランク冒険者がごっそりと減るのは、冒険者ギルドとしても避けたかったからな」
「それもそうでしょうね」
「加えて、ゼグディとアーザスたちには、暫く借りている宿があれば、問題が片付くまでは外に出るのを禁ずる。問題が片付けば、ギルドから人を出す。それで動いてくれ」
「「かしこまりました」」
こうして、ギルマスからは【緊急ミッション完了】と言う事でそれなりの金額を受け取り、私達はナンシーの持っているタウンハウスへと戻った。
暫くは連絡があるまで身動きは出来ない。
動きたくても動けないって、中々に大変だわ。
「シカタナイネ。暫クハ、タウンハウスト、タマニ、ミルクノ拠点デ、気分転換ネ」
「ナサリー残念だったな……。今回の婚活はかなり力を入れていただろう?」
「ソウネ……。〝勇者剥奪者〟許サナイネ‼」
「だが、我々の手には余る存在でもある……もどかしいな」
「あの……質問なんですがいいですか?」
「どうしたのダンダくん」
「〝EX勇者剥奪者捕縛騎士団〟が〝勇者剥奪者〟を捕らえた場合、どうなるんですか?」
確かに、私達はその事を知らない。
この事は異世界勇者にしか知らされていない内容かもしれないわ。
ミルクちゃんを見ると、暫く沈黙した後、口を開いたの。
「そうね、平たく言えば……〝元の世界に強制送還〟よ」
「ということは、この世界からいなくなるんですね?」
「〝EX勇者剥奪者捕縛騎士団〟は、勇者剥奪者を〝元の世界に強制送還〟するスキルを全員が持っているのよ。睨まれたら逃げられないと言われているわ」
「なるほど……」
「現地勇者なら、斬首刑が待っているけれど、異世界勇者に斬首刑は適用されないの。その代わり、この異世界から消える……という流れになっているわ」
現地勇者が何かをしでかして問題を起こした場合、場合によっては斬首刑だと言われている。
異世界勇者の場合は、強制送還されるのね……。
「あれ? でも、前に会った勇者剥奪されたAランク冒険者のカエデくんは……」
「お咎めが小さかったんでしょうね。剥奪はされてEXの力は封印されたうえで、Aランク冒険者にランクダウンさせられたんでしょう」
「一体ドンナ事ヲシタラ、剥奪サレルネ?」
「ええ。この異世界で好き勝手して、人の命まで奪おうとしたんですもの」
――ミルクちゃんは静かに言った。
「〝EX勇者剥奪者捕縛騎士団〟は、勇者剥奪者を〝元の世界に強制送還〟するスキルを全員が持っているのよ」
「なるほど」
「それだと、ミルクも危険ではないか?」
「あら、アタシは正当防衛で動いているもの。基本的に愛しい奥さんに害がなければおとなしいものよ?♡」
そう言いながら、ミルクちゃんの目だけは一瞬も笑っていなかった。
私に害がなければなんて♡
確かに新婚だし? ミルクちゃんは独占欲強いし? そこも素敵なんだけど♡
そこでハッと我に返る。
「そういえば、婚活相手さんは無事なんでしょうか……。勇者剥奪者がこぞって押し寄せてきたら……」
「流石に、もやし魔王の登場でしょうね」
「なるほど」
「確か、もやし魔王も異世界勇者を強制送還させる魔法を使えるんだったな」
「ええ。それを回避するためには、たったひとつ。〝心から愛してる現地女性との婚姻が必要不可欠〟なのよね」
「なるほど。他の異世界勇者さんは難しそうですね」
「ハーレムを作っているような奴らは強制送還されると思うわ。ようは〝心から愛してる現地女性との婚姻が必要不可欠〟だけど、それはひとりに注がれている場合に限るの」
「なるほど……複数は駄目ですね」
「浮気ハ、駄目ネ!」
「妻に一途! それこそ男と言う者であり、夫の特権と言う奴だ!」
「俺も、そんな女性を……つ、妻にしたいです!」
納得した私達。
ダンダくんは何やら含んだ言葉を使っていたけれど、おやおやおや?
取り敢えず、もやし魔王の怒りを買って、全員強制送還されないかしら?
そんな事を思いつつ、兎に角二日は確実に動けない為、各々好きに過ごすことになったのだけれど、その頃、件の〝勇者剥奪者〟はどうなっていたのかと言うと――、
ダンジョンを荒らし、好き勝手していたようだけれど……。
「う、うわあああああ!!」
「マサオ!!」
「嫌だ! 嫌だ元の世界になんて戻りたくねぇ!」
「リーダー助けてくれ!」
「フクジ! ダイスケ!」
「「「うわあああ――……!!」」」
――事態は、思わぬ展開を見せていたのであった。




