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婚活パーティは魔王城で!  作者: 寿 明結未(ことぶき・あゆみ)
第三章 婚活の前にやることが多すぎる件

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第27悲劇 緊急ミッション発生!①

ブックマーク、評価、感想、誤字脱字報告ありがとうございます。

 その後、ほんの数日だけキャシーとダンダくんは街でのデート練習も楽しんだようで、楽しそうだった。

 そしてついに――カテエラ街にある〝アウートダンジョン〟へ、挑む日が訪れた。

 キャシーとナンシーの新しいビキニアーマーも出来上がり、婚活への意気込みは上々!


「見事なアダマンタイトのビキニアーマーだな」

「私達ノ肉体美ニ、ピッタリネ!」

「これだけセクシーダイナマイツ! では、魔族も放っておくまい!」

「キット、ドキドキ心臓爆発モノネ!」

「綺麗な花火が見れそうだな」

「「あはははははは!」」

 

 笑顔で笑い合うキャシーとナンシー。

 ところが、冒険者ギルドに行っていたミルクちゃんが帰宅して……顔色が悪い。

 どうかしたのかしら?


「アタシ達は〝アウートダンジョン〟へと挑むけれど、ひとつ注意事項があるわ」

「なんかあったんですか?」

「ええ、ダンジョンに挑む前に適当なクエストを冒険者ギルドで受けてきたんだけれど、依頼を受けて先に行っているはずの……【アザース】パーティが戻ってこないそうなの」

「「「「え!?」」」」

 

 〝アザース〟パーティは全員Sランク冒険者の、言わば先鋭冒険者パーティ。

 彼らがこの〝アウートダンジョン〟に入ったのは、四日前らしい。

「二日で帰宅する予定で、浅瀬を回ってくる」と言って向かったらしいけど、それから姿が見えないのだとか……。


「依頼を受けていたって、どんな依頼を受けていたんですか?」

「護衛依頼よ」

「護衛……」

「こんな危険なダンジョンに一般市民でも入り込んだのか?」

「ええ、無理やりね。相手は……ナンシー。貴女の元婚約者だそうよ」

「死ンデルトイイネ」

「こらこら」


 思わず私が突っ込んでしまったけれど、護衛者は何をしたかったのかしら?

 危険なダンジョンに挑んでまでしたかったことって何かしら?


「本当に、一般人を入れてのPTだったから、第一層しか周る予定はなかったそうなの。でも、戻ってこない」

「第一層で?」

「Aランクでも最下位クラスしか出ないはずだが?」

「考えられる内容としては……依頼者が恐怖で行方不明になったか……。モンスターが大勢襲ってきたか……」

「後ハ、Sランクデモ、対応出来ナイ、敵ガ出タカ?」

「強いモンスターが出現したと言う情報はないわ。だから恐らく……ダンダのいった、依頼者が行方不明が濃厚ね。ギルドの人曰く、〝アザース〟パーティの保護と、頼まれたらクエストを手伝うと言う依頼を受けてるわ。緊急依頼よ」

「「「「緊急依頼」」」」

 

 その言葉に、空気が変わった。

 緊急依頼――それは、本当に命がかかっているという意味だ。

 それも、あらゆる面で――。

 〝Sランク冒険者が揃って行方不明になった〟と言う事も大きかった。

 今、動けるEXパーティは……私達だけらしい。


「婚活会場に向かうのは、緊急依頼を終わらせてからになりそうだな」

「ソノヨウネ」

「怪我人が多いといけません。ゴルバディス大商店でポーションを多めに買ってきます」

「そうしてくれると助かるわ! ダンダが揃い次第直ぐに出発。最悪の事態も想定しましょう」

「最悪の事態と言うと」

「依頼主ハ、ドウデモイイネ。問題ハ、Sランク冒険者ガ、一斉ニイナクナル方ガ、問題ネ」

「依頼主に関しては、場合によっては自業自得だからな」

「たまにいるのよね……。どこぞの遠足気分でついて来たがるお偉い人とか」

「冒険者として、一番受けたくない依頼が、護衛依頼ですもんね……」


 私が言うと、皆さん頷いていた。

 ポーターとなる人は、前もってダンジョンに入る訓練などを徹底しているため、問題はないのだけれど……、今回のように、お偉いさんが護衛者の場合が一番面倒なのよね。

 身分を盾にして好き勝手し放題。

 結果、痛い目を見て、こっちが更に痛い目に遭う。無論金銭的にも。

 今回は――依頼主の生存率は極めて低い。

 それが、私達全員の共通認識だった。

 その為、〝アザース〟パーティの保護を一番に優先して行うことにしたのだ。


「我々冒険者は皆、〝帰還の護符〟を使って何時でも帰る事ができる。無論、依頼主にもそれは渡して説明していたはずだ。説明を怠る事はまずありえん」

「でも、今回は緊急性を物語るように、誰一人として戻ってきてないわ」

「喰ワレタカ……殺サレタカ」

「一体誰に……魔族がやったとは思えないわ」


 私が告げると、皆一様に頷いていた。

 〝もやし魔王〟の部下たちは、少なくとも紳士的に思える。

 もし残忍だったなら、とっくに世界は滅びていたはずだ。


「恐らく……他のEX冒険者……と言うのも、捨てきれないわ」

「他の……EX冒険者」

「異世界勇者はね、人を殺すことに慣れると、ちょっとした事で人を殺してしまうの。命なんて安いなって言いながら、笑いながら人を殺すのよ」

「酷い」

「命への冒涜だな」

「だから、これ以上異世界転移も転生もさせたくないのよ」


 今、この世界の国王達は、【異世界勇者を百人召喚して魔王を討伐させれば、世界は争いのない天国になる】と考えている。

 でも、それは反対に、もし仮にあの〝もやし魔王〟や、彼の部下たちを倒しきったあと残っているのは……恐らく〝異世界勇者の暴走〟だろうとミルクちゃんは語る。


「国は更に荒れるわ。魔王はそれを分かっていて、アタシ達と対峙した時は殺気なんかを、あえて、アタシ達のレベルに合わせていたのかも知れない」

「あえて……」

「取り敢えず、今は何事も様子見ね」


 大きくため息を吐いたミルクちゃん。

 暫くするとダンダくんが戻ってきて、キャシーに抱えられると、私達は一斉に〝アウートダンジョン〟へと走り出した。

 どうか、〝アザース〟パーティの人たち、誰かひとりでもいい。


「生きていてくれればいいんだけど……」

「……ええ、本当に……無事なら良いんですが……」


 私とダンダくんは不安を感じつつも、皆でダンジョンへと降りていったのであった――。

 

 

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