第25悲劇 ポーターとしての成長は著しい! その上こんな才能があったとはな!
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――キャサリンSide――
我と共に〝デートの練習〟と〝ポーターとしての実力〟を見せてもらうべく、手頃なダンジョンへ入った。
ダンジョンの敵は倒せばアイテムが落ちる。
それを手早く回収する力を見るのが今回の目的だ。
初日から三日は我の倒す速度に遅れを取っていたが、四日もすれば少し待てば隣を歩けるまでに成長した。
素晴らしい成長具合だ!
前のパーティの時もポーターがいたが、彼は全く拾えず右往左往していたのを思い出す。
だが、ダンダは的確にアイテムを拾い、依頼のアイテムさえもしっかり鞄に入れてついてくる。
「中々に優秀だな!」
「ありがとうございます! コツを掴んできました!」
「だが我一人で慣れてはいけない。我と同じ奴がもう三人いるのを忘れないことだ」
「う……が、頑張ります」
「ははは! 流石に我の行動に俊敏についていけるなら、ミルクと勇者がイチャイチャしてる間に拾えばよい」
「そうします! でも、まさに爆速結婚でしたね……」
「そうだな……実に喜ばしい!」
ミルクと女勇者の結婚は正に、爆速スピーディーだった。
恐らく、ミルクの我慢の我慢の限界が来たのだろう。
これまでの僅かな時間だが、勇者は意外とモテる。
本人が全くの無自覚だが。
しかし、女勇者のあの天然っぷりや、小動物のような可愛さを見れば、ミルクなど一撃必殺だっただろう。
「さて、もう少し魔物を」
そう口にした時、ふと感じた強烈な殺気。
ダンダも感じたらしく、ダンジョン内にある隠し扉を見つけた。
「こんなところで……一体どんな魔物が」
「災害級だな」
「災害!?」
「ダンジョン内でもたまに災害級の魔物が湧くことが稀にだがある。それをウッカリ開けて冒険者が死ぬ。開いた扉から災害級が飛び出して冒険者を蹂躙し、ダンジョンの外に飛び出す……そして外で災害級として呼ばれるモンスターとなり暴れ尽くすと言うのがあるのだ」
「ということは」
「我々で屠るしかあるまい」
「でも、キャサリンさんだけでは」
「なに、この手のことは前のパーティでは日常的にしていた。まぁ、ドロップアイテムは奪われてきたがな」
「酷い……」
「だが、女勇者は奪ったりはしないだろう。これも手土産だ。いくぞ!」
「最後までお供します!」
はっきりと口にしたダンダに頷き、隠し扉を開けると中にいたのは――ブラックドラゴン。
たしかに災害級だが、幾度となく戦った相手――我相手に不足なし!
「いくぞダンダ! ポーターとしての仕事を全うしてみせろ!」
「了解です! 戦闘が終わるまで一旦隠れます!」
こうして始まったブラックドラゴン倒し。
と入っても、我にとって不足のない相手。
ダッシュ中にうっかり跳ね飛ばせば、そのまま絶命する程度の相手だ。
だが、正面から戦えば苦戦はせぬが、多少面倒な相手だ。
短期決戦!
これに限る!
アダマンタイトの鞘を引き抜き剣を出すと、輝くアダマンタイトで作られし両手剣が現れる……。
我専用特注の武器だ。
ドラゴンの肌さえも貫く素晴らしき武器、素晴らしき相棒!
「貴様の弱点は知っている……いざ――尋常に勝負!」
――そこからは一方的なまでの殺戮だ。
やつの弱点は脳天だ。
脳を潰せばこちらの勝ちだ。
ブレスを吐くために首を下ろした時が狙い時――!!
数分の攻防の末、頭を下げてブレスを吐こうとした時――。
「キャシー危ない‼」
「お前は引っ込んでいろ! この程度でやられる我ではないわ!」
大きく飛び上がりドラゴンの首に飛び乗り――真上から脳天を突き刺す!
そうすればドラゴンはグラリ……と揺れブレスを吐く間もなく倒れ込んだ。
喉元まで貫いた剣を引き抜けば血しぶきが吹き上がる。
「相変わらず、汚泥のような血だな」
ドラゴンから飛び降りると、ダンダが駆けつけてきた。
「もう倒されたんですか!?」
「この程度は簡単だな」
「す、凄い。信用はしてましたがやっぱり心配しました……」
「はっはっは! だが、このままではポーターでは持って行くには少々デカいだろう」
「そ、そうですね……綺麗に残ってますし」
「アイテムボックスに入れていこう。落ちているドラゴンの鱗等の回収を」
「はい!」
こうしてダンダに鱗や爪の回収を頼み、アイテムボックスにブラックドラゴンを入れ込むと、ダンダが「ううわああああ!」と叫んだ。
何事かと武器を手に走っていくと――。
「む? 赤い……スライム?」
「これって、ブラッディスライムですよね……」
「ほう、ダンダに懐いているようだが?」
「懐いているんでしょうか……」
「ふむ、テイムしたことは?」
「俺、魔物使いの才能なんて……」
「良いから手のひらをスライムに、そしてテイムと叫んでみろ。やるだけタダだ」
「はい!……〝テイム〟!」
ダンダが叫べば血の池に見えるブラッディスライムとダンダの間に魔法陣が現れ、契約はなされたようだ。
「喜べダンダ、お前はテイマーの素質がある」
「お、おお……」
「丁度いい。このブラックドラゴンの血を飲ませてやっておいてくれ」
「あ、はい。血抜きですね」
「生きている個体の血なら売れるが、死骸の血は値がつかん」
「はい! えっと……名前……〝キャンディ〟。ブラックドラゴンの血を飲んで」
ほう、あのブラッディスライムはメスか……名前で察したがな。
〝キャンディ〟と言う名の付け方はなんともブラッディにはアレだが、彼のセンスだろう。
「これから何匹かテイムを試してみると良いかもしれんな」
「怖いですけど……」
「なに、我らで弱らせれば良い」
「うう……頑張ります!」
こうして、キャンディが血を吸い終わると、もう一度ブラックドラゴンをアイテムボックスに入れ、ナンシーの実家に卸すことになったのだが――。
「ブラックドラ……そうですね、金貨百五十枚でどうでしょうか」
「それでいいだろう」
「しゅごい……値段」
「ははは、これで明日のデート代が出来たな! 正直、単独では三割は削られる相手だがな」
「ええ!? でも明日からは外でデートの練習なんですよね!?」
「うむ、付き合ってくれたまえ」
「かしこまりました!」
「おっと、君が拾ったアイテムは、今回は小遣いだ。貰っておくといい」
「え、でも」
「明日、我に何か奢ってくれ。憧れでな」
「――はい!」
ダンダが拾っていたアイテムもいい値段で売れ、明日はとうとうデートの練習だ。
とは言え、普段着は持っているが、基本的にビキニアーマーで過ごす事が多いため、お洒落はしないが。
「デートの練習とは言え、普段着は持っていない。服装は気にしないでくれ」
「そう……なんですね。せめてマントだけでも」
「その予定だ」
こうして一旦「ダンダのポーター試験」は終わりを告げた。
最後にいい敵を倒せてよかった。
百五十の金貨があれば、だいたいのデートは出来るだろう。
デート代金等、相場は知らんがな!
しかし、デートとは何をすればよいのだ?
……明日、ミルクと女勇者に聞くしかあるまい。




