第21悲劇 百合って異世界用語ですか? 私にはいまいち分かりませんが……
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婚活会場と言う名のダンジョンに入る前に、私達は防具を揃えに街にあるゴルバディス大商店へとやってきた。
ここはナンシーの実家が〝カテエラ街〟に支店を出しているところらしく、値引きも聞くかも知れないとのこと。
何より、着いたその日にこの店へ大量の希少種と呼ばれる魔物を卸していた為、私達が店に入ると奥から店を任されている主さんが飛び出してきた。
「これはナンシーお嬢様と、そのお仲間の勇者御一行様!」
「今日ハ、防具ヲ買イニ来タネ! 女勇者ニ似合ウ、最高デ強イ防具頼ムヨ!」
「後は、彼に見合う最高で強い防具も一式と、付与アクセサリーも見せてくれ」
「かしこまりました。防具専門の方へどうぞ」
多くのアイテムで溢れかえる店内。
ここがまだ支部なのだと言うのだから、ナンシーの実家は凄い……。
うちの農村とは大違いだわ。
案内された防具や武器の揃ったエリアには、それは見事な物が揃っていた。
冒険者もかなり多い。
その中で私達は浮いていたけれど、取り敢えず防具や普段着と言ったものまで幅広くおいてあったので、普段着もこの際買うことにしたのだ。
とは言え、まずは防具。
武器は今のままでも十分強いので、防具を選ぶことになった。
「思い出しますね。ナンシー様が防具を買われた日のことを」
「フフ」
「今回はどう為さいます?」
「ソウネ、ビキニアーマーヲ、オ気ニ入リネ。デモ、所々草臥レテキタネ」
「では、同じビキニアーマーを作らせましょう。そちらのお嬢様は?」
「我か? そうだな、同じビキニアーマーで防御力を更に上げたものが欲しい」
「ナンシー様と色違いで作りましょう。サイズを測りますのでこちらへ」
「うむ。では行ってくる」
「じゃあ、アタシ達はアタシ達で選びましょう?」
「「はい」」
ナンシーとキャシーがサイズを測りに行ったところで、私達は防具を選ぶことになった。
年齢に見合う装備が欲しいんだけど……こう……ね。
でも、ないものはないので仕方ないのよね。
「現地勇者様は随分とスレンダーであらせられますので……こちらとかになりますね」
「あ――。せめて下はスカートはちょっと困りますね」
「そうね、スカートも良いんだけど、せめてキャロットパンツのはないの?」
「御座います」
「それをお願いしたいわ。上はそうね……」
と、殆どミルクちゃんがトータルコーディネート。
可愛いから良いんだけど、なんというか……前衛に見えない前衛装備。
言うなれば、狩人さんが装備しそうな……。
「極めつけにこの防御力を上げる髪飾りつきの帽子で完成よ」
「わぁ……」
「可愛らしいですね!」
「全て希少種の魔物と、魔法薬で作られた魔物の糸を使っているので、災害級の魔物討伐でも活躍する一品ですよ」
「既に数匹納めましたしね。災害級を」
「ええ、実に良い品でした」
「次にこのダンダくんの装備なんだけど、彼ポーターなの。防御力全振りでも動きやすい服とかないかしら?」
「御座います。前線にたって動き回るポーター用の装備はこちらにあります」
「でも、俺はお金が」
「そこはアタシ達が出すから困らないで♡」
「命懸けになるんです! 是非守って下さい!」
「りょ、了解です!」
こうして、私の装備と同じ素材を使った防御力アップの装備に、素早さを上げるアクセサリーや幸運を上げるアクセサリー。
色々買いまわってダンダさんの生存率を上げるべく頑張った!
おかげで、見違える程良い防具が購入できたし、ついでに彼の持つポーター用のリュックも買い直した。
「いい感じじゃない?」
「これでググッと生存率が上がりましたね!」
「ありがとうございます……。こんな……高級装備……」
「それがないと普通に死ぬわよ」
「はい!」
ミルクちゃんの一言にダンダさんは背筋を伸ばしているけど顔面蒼白。
さらっと言うけど、ミルクちゃんの「普通」は命の基準が違う。
でも、命懸けだものね。これから行くところとか特に。
「それにしても、意外と獣人さん達が多いですね」
「ああ、カテエラ街は港もあるから、色々な種族が集まる街でもあるの」
「「へぇ……」」
「ミルクさん博識ですね」
「異世界勇者としてこちらに来た時に、一通り勉強させられたのよ」
「なるほど」
「私も勉強したけど……苦手で」
「イサミンが苦手なところはアタシがフォローするわ♡ それがアタシ達の普通、でしょ?♡」
「ううう……甘えちゃいます!」
「甘えていいの♡」
「ひゃい♡」
思わずギュッと抱きしめられて赤くなる。
途端にどこからともなく「百合!」「うわ百合だ!」「尊っ!」なんて声が聞こえたけど、一体百合ってなんでしょうね?
ああいうのは異世界勇者の知識かしら……?
「品よく美しく気高そうなお姉さんが、可愛らしい女性相手にギュッと抱擁していたら、なんというか……言葉に出来ないけど凄いですね」
「言っておくけど、アタシ、お姉さんじゃなくて、オネェさんだから」
「はい! オネェさんなんですね!」
「お姉さんでも別に構わないけど、アタシなりにプライドが……ね?」
「そうなんですね」
「気をつけます」
「二人共素直だから大好きよ♡ 特にイサミン大好きよ♡」
「きゃっ♡」
頬にチュッとされて思わず両手で顔を隠す。
途端「尊~~!!」と言う声が響いたけど気にしない!
ミルクちゃんのホッペにチューは破壊力がしゅごいんです!!
「お返しはくれないの……?」
「もう……人がいるところじゃ駄目ですっ!」
「あん、残念♡」
「もう♡」
「すみません、なんか俺邪魔もので」
「いいのよ、アタシのイサミンを狙わなければ、ただの無害だもの」
「大丈夫です。俺はなんといっても、このPTのポーターであってそれ以上でも、それ以下でもありませんから!」
「ポーターに誇りを持つ! 素晴らしいわ♡」
「ありがとうございます!」
こうしてある程度買い物を済ませ、普段着の着替えも購入し終わると、キャシーとナンシーが装備を依頼したようで戻ってきた。
すると――?
「む。ひとつ足りない付与アクセサリーがあるな」
「え! これでも十分……」
「店員、この付与アクセサリーをひとつ頼む。直ぐに装備していく」
「かしこまりました」
キャシーさんが気になってダンダさんに購入したのは――……。




