第19悲劇 道中は飛び出し魔獣の跳ね飛ばしに注意!
〝カテエラの街〟の〝アウートダンジョン〟までの道中。
それは、中々にデンジャラスな道中でした。
なにせ、魔獣被害が多い地域。
走っている道中に出てくるのは、キメラにドラゴンと、ちょっと厄介な敵ばかり。
しかしそこは、我らEX冒険者。
剣を握らずとも――。
「おっと、飛び出し注意だぞ」
「跳ね飛ばしましたね」
「絶命シテルネ」
「これで何体目かしら? キメラにレッドドラゴン、アースドラゴンは飛び出してきたから……。まぁいいわ。何匹飛び出しても〝空間収納〟に入れてギルドで売りさばきましょ」
「前のパーティメンバーなら、泣きながら逃げ回ってますね……。それを跳ね飛ばして一発……」
「考えるな、感じろという奴だ」
「はい! キャサリンさん!」
現在、ダンダさんはキャシーにお姫様だっこされた状態で走ってもらっている。
最早安定の定位置とばかりにキャシーの太い首に抱きついて走ってもらっている。
ダンダさんを守るためにも、私達は陣形を組んで走っているのだ。
一番前はミルクちゃん。
右は私、左はナンシー、中央にキャシーとダンダさん。
完璧な守りである!!
「それにしても、結構来たわね。夕暮れが近いからそろそろ休憩にしましょか」
「賛成です!」
「明日ニハ、カテエラ街ニ、到着シソウネ!」
「そうですね!」
「カテエラ、ネ……」
「どうかしたんですか?」
「……ナンデモナイヨ」
何故か遠い目をしたナンシー。
何か思い出でもあるんだろうか?
まさか、前のパーティがいるとか!?
それならば、徹底してナンシーを守らねば!!
ひとり気合を入れ、ミルクちゃんの拠点に入り、女子陣がまずお風呂。
ミルクちゃんは軽く手を洗いタオルで体を拭き、ダンダさんも別室で濡れタオルを使い、体を綺麗にしてからお風呂の順番を待つことになる。
私がリーダーだからと先に入り、続いてナンシー、キャシーが入ってダンダさん。
その間にミルクちゃんは休む暇なく料理だ。
「私も手伝えたら良かったんだけど、料理は致命的で……」
「うふふ♡ 愛する人が私の手料理を食べて、それが貴女の血となり肉となる……♡ 最高の幸せじゃない! 奪っちゃ駄目よ?♡」
「血肉にしましゅ!♡」
ミルクちゃんの留まることを知らない溺愛っぷりがドンドンレベルアップ!
私のハート、耐えられるかしら!!
「〝チョリーッス街〟でミルクちゃんに最後に声を掛けてきた人たち、なんだったの?」
「ああ、以前同じパーティだった人たちよ。顔も見たくないからサッサと離れちゃった」
「賢明な判断です」
「そういえば、【アザース】の人たちも〝カテエラ街〟を目指すらしいわ。最後に出発の挨拶にギルドのお姉さんに話しかけたら、教えてくれたの」
「そうなんですね。キャシーに因縁つけなきゃいいけど」
「情報で支払ったんだ。文句は言うまい」
ドシッと構えてパジャマに着替え椅子に座るキャシーとナンシー。
二人共パジャマが案外可愛い。
オーダーメイドらしいけど、キャシーはオレンジの花柄で、ナンシーはピンクのハート柄だ。
私のパジャマは相変わらずの白地だけど、パジャマもおしゃれするべきかしら。
「結局、あの元パーティメンバーの所為でイサミンのアーティファクト買えなかったから、カテエラ街について、ギルマスに挨拶したら買いましょう」
「どんなのがいいですか?」
「そうね……。エッチな下着か……それとも」
「却下で♡」
「いやん♡ アタシの目の前でだけよ♡」
「駄目です、私への刺激が強すぎます♡」
「残念♡」
「なら、勇者も我たちと同じ、ビキニアーマーはどうだ!」
「通気性モイイシ過ゴシヤスイネ!」
「……勇気が持てないです」
あんなセクシー装備、私が装備しても誰も得しない……。
と、思っていると――。
「カテエラ街には、勇者専用装備店があるの。そこで見繕いましょう?」
「いいですね! だとしたらミルクちゃんもですか?」
「そうね……。色々素材は手に入ったし、それで色々何かを作るのもありね」
「私ハ武器、イラナイネ。マダ、余裕ヨ」
「我もだな。鞘も剣もオリハルコン製だからそうそう草臥れはしない」
「私もです。そういえばミルクちゃんのピンヒールは大丈夫ですか?」
「特注だから大丈夫よ。アダマンタイト使ってるの」
ピンヒールのあそこの部分はアダマンタイトでしたか……。
そりゃ攻撃されたら突き破られますね!
納得です!
「皆さん凄い装備を持ってますね……。という事は付与アクセサリーとか?」
「付与アクセサリーは持っていないな」
「私も持ってません」
「私達ガ、持ッテイテ、精々ガ、【帰還の護符】クライネ」
「それもいいかも。付与アクセサリーもちょっと見繕いたいわよね。特にダンダさんは装備もなんとかしないと、私達についてこれないかも知れないわ」
「えええ!?」
「素材はあるんだもの。その素材で作りましょう?」
「でも、皆さんが跳ね飛ばして手に入れた素材ですし……」
受け取るのを拒否しようとしたダンダさんを制したのは――。
「ダンダ」
「はい! キャサリンさん!」
「我達は魔族とも見合いをする。それは最早命がけとも言えるだろう……。その為には、ダンダの防御力、そして何か起きても良いように自分を守るための付与アクセサリーは必須だ。そして、それらは必要不可欠。断るんじゃない」
「……キャサリンさんっ! わかりました! 不肖ながら精一杯、婚活のお手伝いが出来るよう努めます!」
「その意気やよし!」
「アノネ?」
ひとつ纏まってホッとしていると、ナンシーが言いにくそうに声を掛けてきた。
一体どうしたのかと皆がナンシーを見ると……。
「カテエラ街、私ノ元婚約者ガ、住ンデル街ネ」
「え! 元婚約者!?」
「私ノ方カラ、婚約破棄シタネ……。今、ドウナッテイルノカ、知ラナイケド」
「まぁ……そうだったの。一発殴っちゃう?♡」
「相手はどんな方だったんですか?」
「イイ婚約者ジャナカッタカラ、アマリ、語リタクナイネ……」
「すみません……」
「イイノヨ。デモ、〝デデドーン商会〟が元婚約者ノ家ダッタカラ、ソコニハアイテム卸シタクナイネ」
「了解したわ。違う商会にアイテムを卸すことがあったら卸しましょう」
「助カルヨ。ソノカワリ、カテエラニアル、タウンハウスニ、案内スルネ!」
ナンシーから婚約破棄したという元婚約者さん。見る目なかったんですね?
一体どんな相手だったのか想像つかないけど、ナンシーが家の商売にも近寄りたくないという程、何かあったに違いないわ。
それに、ナンシーのタウンハウスに案内されるみたいだし楽しみ!
一体どんな家かしら!
異国情緒溢れる家かしら?
楽しみだわ!




