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婚活パーティは魔王城で!  作者: 寿 明結未(ことぶき・あゆみ)
第一章 恋する乙女に必要なのは、愛と筋トレと大胸筋

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第11悲劇 大事な話は、右から左へ聞き流してました

 ミルクちゃんからの愛の告白来るか!?

 期待したのに、いきなり猛烈な殺気を感じてそれどころじゃなくなった上に……。

 現れたのはなんと魔王!


 次から次にこんなことってある!?

 しかも未来の夫とか普通に言ってる。

 確かに私達は魔王城に婚活に行こうとしてたけども!!


「さぁ、我と共に帰ろう。魔王城はいつでも君を歓迎しよう」

「断るわ! だって、だって……」

「だって……なんだ?」

「だって私――……っ! も、《《もやし》》な人とは結婚出来ないわ!」

「「「「もやし……」」」」


 そう、魔王ってもやしなのよ!

 言わば、《《筋肉がない》》!

 今まで私は筋肉に囲まれてきたのよ!?

 ここで〝もやしの体した魔王〟が出てきても……。

 

「駄目なの! ときめけないの! 筋肉がない、もやしには用はないの!」

「何だと⁉ 知的男子は好みじゃないとでも言いたいのか‼」

「知的男子は素敵だと思うけど……だって、だって筋肉がない……。それじゃピクピク動く大胸筋もないんでしょう……? そんなの……悲しすぎる……」

「イサミン……」

「理解できん……。俺達の子供はさぞかし可愛いぞ⁉ さぁ、嫁に来い!」

「嫁も嫌! 婿がほしいの婿が!」

「なんて可愛くて我儘なんだ!」

「あら、そこがいいんじゃない? 魔王様の癖に……理解できないわけ?」

「くっ! 勝ち誇るなオネェさん……。俺は可愛くて我儘な現地勇者を、視察コウモリでひと目見たときから一目惚れだ!」

「ハッ! キッモ!」

「オネェさんには言われたくないぞ⁉」


 何やら魔王とミルクちゃんが言い合っている。

 ミルクちゃんに抱きしめられたまま、私は時を過ごした……。

 言い合いは加速したけど、両者譲らない。

 これ、どっちも勝てないんじゃないかな?


「そもそも! 貴方が男性である限り、オネェであるアタシには勝てないわ!」

「どういうことだ!」

「なぜなら! オネェと言う事はすなわち《《乙女》》! 乙女という事はすなわち、一緒のお風呂も楽しめる! それ、すなわち! 裸の付き合いなり!」

「ぐはぁっ!!」

「男の貴方がイサミンとお風呂に入ってご覧なさい? ただの犯罪者よ!」

「ま、魔王として犯罪者になるわけには行かない……。くそっ! 今日のところは引き上げる……だが諦めんぞ、現地勇者よ! 必ず我が妻にしてみせる!」

「筋肉つけてくださいねー?」

「俺は筋肉がつきにくい体質なんだ!」

「終わったな」

「勝テナイネ」

「終わらないし終わってない! そこの《《筋肉乙女達》》は黙っていたまえ!」

「「筋肉乙女!」」


 そう言うと魔王は煙の中に再度消えていった……。

 全く、筋肉のない魔王だったなぁ……。

 やはり、胸筋ぴっくぴくの胸板には勝てないのよ。


「は――……どうなるかと思いましたね」

「本当ね。でも、アタシの気持ちは伝わったかしら……」

「はい……。右から左に聞き流しちゃったけど」

「聞き流しちゃったか~。何度でも言ってあげる♡」

「はーい♡」


 私とミルクちゃんが微笑み合ったその時――。


「魔王」

「イイカモネ?」

「「お?」」

「筋肉乙女と言って差別しなかった」

「化ケ物、言ワナカッタネ!」

「優良物件!」

「後ハ、顔ダケネ!」

「魔王言うくらいだし、イケメンでは?」

「イケメン……デモ、筋肉ナシ」

「「そこが問題」」


 相手に求めるもの……私達は〝相手に求める筋肉〟が問題なのだ。

 我ら【ゼクディ】の面々は私を抜けて皆さん筋肉乙女。

 相手がもやしでは困るのだ。

 だって、ポッキリ折っちゃいそうだから。


「流石に、ピンヒールをぶっ刺したら死ぬかしら?」

「脳天にぶっ刺したら死にそうですね」

「デモ、魔王ネ」

「腐っても魔王、紳士的魔王、防御力は如何ほどか……。ああ、一発本気の拳を受け止めて欲しい」

「ワカリミガ深イネ。本気ノ、拳。受ケ止メタラ、惚レルネ」

「魔王様があのタイプということは、筋肉的な部下も中には?」


 ふと思ったことを私が言うと、キャシーとナンシーは目を光らせた。


「〝筋肉レディ〟って言ってくる〝筋肉紳士〟が居たら……」

「「結婚」」

「ですよね」

「――俄然ヤル気デテキタネ!」

「魔王ありがとう! 君の登場は我らのハートを更に熱く滾らせた‼」

「「目指すは筋肉紳士! 魔族の筋肉紳士!!」」

「それで駄目なら、魔王をふたりで旦那にしちゃったら?」

「フタリデ」

「分け合う」

「「魔王」」


 おっと? 犯罪めいてきたぞ?

 大丈夫かな?

 魔王泣いちゃわない?

 でも、魔王もふたり相手にしたら勝ち目ないかもしれない?


「けど、魔王はアタシとタメを張るくらいには強かったわ。あの殺気は本物だった」

「そうですね……」

「筋肉的魅力ゼロも魔王といったところか」

「コレカラ、もやし、食ベラレソウヨ……」

「ナンシーの野菜嫌いも、彼のおかげで克服できそうね」


 ミルクちゃん、その視点で行くの大好きです!

 

「さて、この前に雷ぶつけた冒険者だけど……アイテムなにか奪ってく?」

「人のものは盗んじゃ駄目ですよー」

「放置安定ネ」

「放っておけばそのうち起きるだろう」

「そうですね。先に進みましょう」


 ――色々あったけれど、魔王も去ったことだし先に進んだ私達一行。

 幾つかの隠し扉を勘で当てたナンシーに、拍手喝采しつつ金品とアイテムを回収しつつ、下へと降りていく。

 しかし、そこに待っていたのは――思いがけない人たちだった。

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