35/38
第35話 約束と呼べない約束
でもそれは、
わたしがカマをかけて、
無理やり引き出させた「別れよう」の結果でもあった。
本当は、あなたのほうから
ちゃんと言葉にしてほしかった。
「そうだよ」と肯定されるたびに、
その小さな期待が、ひとつずつしぼんでいった。
そこまでして守られた約束は、
もう、約束と呼べるのだろうか。
「自然消滅だけはやめてね」
あのときのわたしの一言が、
自分の首を静かにしめていたのかもしれない。
そんなことを考えながら、
わたしは、画面をそっと閉じた。
暗くなったスマホに映った自分の顔は、
泣いているような、笑っているような、
なんとも言えない表情をしていた。
それから少しして、
わたしは海外へ行く準備を始めた。
このまま同じ場所に立ち尽くしていても、
きっと何も変わらないと、
ようやく認めることができたからだ。




