前へ目次 次へ PR 33/38 第33話 指先で消した言葉 「コーヒー、届きました。ありがとう」 それから、少しだけ時間をあけて、 「これで、いったん区切りにしようと思います。 今まで、いろいろ手伝わせてもらって、勉強になりました」 本当は、もっと他にも言いたいことはある。 「既成事実を先に積んでから言う別れなんて、ずるいよ」とか。 「それでも最後まで、『自然消滅』だけは避けたのは、えらかったね」とか。 でも、そんな言葉を打ち込む前に、 わたしは全部、指先で消した。 結局、シンプルな一文だけが残る。