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ページを閉じた私の向こう  作者: みなありす


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32/38

第32話 軽くなった心

中には、いつもと同じコーヒー豆と、

小さなメッセージカードが入っていた。


かすかに香る焙煎のにおいが、

これまで届いた箱たちのことを、一気によみがえらせる。


『一生コーヒー送る約束が果たせなくなったけど、

 新しい場所でも、がんばって』


その一文を見た瞬間、

わたしはふと気づいた。


何かのしがらみから解放されて、

心が軽くなった、わたしが居ることに。


段ボールの中をのぞき込みながら、

胸の奥に巻きついていた細い糸が、

ひとつずつほどけていくような感覚がした。


「ああ、ほんとうに終わったんだな」


声にならないつぶやきが、

静かな部屋の空気に、そっと溶けていく。


もう、来月からこのコーヒーが届くことはない。

カレンダーの次の月をめくる自分を、

少しだけ遠くから見ているような気がした。


わたしはスマホを手に取って、

あなたにメッセージを送る。

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