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第31話 箱の重さが変わった日
しばらくして返ってきたのは、
『了解しました。』
の文字だけだった。
顔文字も、スタンプもないその一文が、
海外行きのチケットよりも、ずっと遠く感じられた。
画面の光だけが、静かな部屋の中で浮かび上がる。
さっきまであれこれ想像していた自分が、
少しだけ恥ずかしくなった。
それで全部なんだと、自分に言い聞かせて、
わたしはスマホの画面を伏せた。
テーブルの上に、ぱたんと小さな音が落ちる。
胸の奥では、もっと大きな音がした気がした。
それから少しして、
最後のコーヒーが届いた。
同じサイズの段ボール。
同じショップのロゴ。
同じ送り主の名前。
なのに、受け取ったときの箱の重さだけが、
前とはまるで違っていた。
腕にかかる重さは同じなのに、
心にのしかかる重さだけが、そっと増えていた。




