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第13話 約束のその先編
あなたの会社の社長に手紙を書こう、と思ったのは、
ある夜ふと、キーボードの上で手が止まったときだった。
その日も、あなたからのメッセージは「ちょっと相談」で始まった。
『ショップの新商品の写真さ、
もう少し明るく見えるように、加工お願いしてもいい?』
画面には、段ボールからまだ出したばかりみたいなコーヒー豆と、
見慣れたあなたのマグカップ。
「いいよ」
反射でそう打ちかけて、
わたしはそのまま、送信ボタンの手前で止まった。
デスクトップのフォルダには、
あなたの配信用のサムネ、ショップのバナー、
SNS用に切り抜いた画像が、何十枚も並んでいる。
どれも、
「助かる」「センスいい」「ほんとありがと」
という言葉とセットで増えていったもの。
なのに、ふと冷静になって見てみると、
フォルダのどこにも、「わたし」の名前は残っていない。
あるのは、あなたの店のロゴと、コーヒーの写真と、
「SOLD OUT」の赤いスタンプだけ。




