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第六章 光の向こう側10

 「今度の舞台はそれで行こう。教師と生徒の恋愛ものだな。教師役が明日歩だろ。先生を好きになってしまう生徒役は美春で決まりだな」

 野村がペンを走らせる。

 「オレは、間の抜けた教頭の役がいい。野村は人が良いだけの気弱な校長ってところだな」

 間宮が口を挟む。

 「瑠夏はそのままね。美春の姉役で、妹の相談に乗っているうちに自分も明日歩のことを好きになってしまうっていうのはどう?」

 「おお、木綿子さん冴えている。それいい」

 間宮が手を叩いて喜び、中島もさすがだなと笑う。

 「愛と青春のグラフィックだ。結末はどうしたい?」

 野村が明日歩に目を向けた。

 「真面目な話をしてんだ。今年いっぱいでオレはこの世界から足を洗う。仕事の整理をお願いします」

 ムッとして言う明日歩に木綿子が、本気だよみんなと微笑んで、本を差し出した。


 ……春風一番。 

 

 今度のは、面白いぞと言う野村。

 中身を見て、明日歩はみんなの顔を見回す。

 「映画版?」

 「島根が撮らせろって煩くて、それに歩が残した映像と、お前のが上手くリミックス出来る。歩が死んで8年経って俺らも、相当齢を食っちまったしな。ここらでドッカーンと大きな花火を打ち上げておかないと、あの世に行っても浮かばれないからな。お前の来年のスケジュールはこれ一本だけだ。時間をやるからちゃんと自分が進むべき道を考えてみろ」

 野村が目に皺を寄せて笑い、間宮も中島もそれに合わせて頷く。木綿子は目頭を指で押さえている。

 明日歩も泣きそうになり、下を向いた。


 だから大人は、嫌いなんだ。

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