第五章 らいむらいと11
しぶしぶ舞台に立った明日歩。頑張って舞台シーン書きました。
――明日歩の初舞台は、歩の命日に幕を開けた。
燦然と輝く光を捨てた親子が平凡に暮らしていたが、そこに歳をとってよれよれになった間宮演じる、老人が救いを求めてやって来るところから物語は始まる。
戦い続けてきた老人に残された時間はあとわずか。しぼみかけた命の最後の光を何のために使っていいものかと悩み苦しみ、それが果てる前に託しに来たのだが、光を失ってしまう以前の記憶は、既に歩から消し去られていた。
不思議そうに見つめるだけで、言葉すら話せずにいるかつての戦友に愕然としながら、息子にそっといきさつを話し、光を託して行く。
明日歩の一人二役だ。
正体の分からない老人が置いていった光に、好奇心旺盛な明日歩は次第に取り付かれて行ってしまう。
「息子よ、その光はまやかし。心弱きお前が持つものじゃない」
一瞬、光が大きくなり全てを思い出したかのようにそう告げ、病に伏していた父親も最後の時を迎えてしまう。
だんだん好奇心が大きくなってしまった明日歩は、光に駆りたてられるように旅に出ると言い出す。
何のためにと、恋人である美春の必死に止めるが、漲る知りたいと言う欲望を抑えきれない明日歩は、その手を振り切って旅だってしまう。
旅は過酷なものだった。
光に導かれ歩く先にはいつでも得体の知れないものが、襲い掛かって来る。それが何か分からす、目には見えないものとの戦いだ。
がんじがらめに光に支配された明日歩は、父が抱いた幻想や老人が作り出した世界に頭を抱える。
ぼうっと輝く光を見ているうちに漲ってくる力。
全てを手に入れたはずなのに、影のように寄り添って来る不安と欲望。傲りや偽り。雑踏の中、せせら笑う声に苛まれ、耳をふさぎこんで絶叫する明日歩。
それでも光は、先へ進めと導く。




