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第二章 不滅のヒーロー18

 「オレさ、奈緒の笑っている顔がいっち番好きなんだ」

 冬の海で、父さんあんたでしょ。奈緒を泣かせるなって言ったのは。

 明日歩はやるせない思いで、押入れから取り出した箱を開ける。

 「なぁ明日歩を男と見込んで頼みがあるんだ。奈緒を護ってくれないか? オレが夜、仕事に行っている間だけでいいんだ」

 そう言われたのは、何歳の時だったけ?

 明日歩は箱からコスチュームを出す。

 「誰かを本気で護りたいという気持ちは、どんなものにも変えがたい」

 死んだら負けだよ父さん。

 「これこれ。ヒーローにはコスチュームは絶対不可欠でしょ!」

 歩の嬉しそうな顔が、目に浮かぶ。

 明日歩はコスチュームの袖に腕を通す。

 「これを着るとな、もうダメだと思っても、勇気が漲って来るんだ。凄いんだぞ。今までなかった力が湧いて来るっていうの? どんなものにも立ち向かえるんだ。そしてこれが極めつけ。ほら被ってみろ。世界が違って見えるだろ? これでおまえもヒーローだ。さぁ笑ってごらん。世界一、優しい風が吹くから」

 バカな親父。

 明日歩は仮面を持ち、静かに深呼吸をする。

 「変身!」

 「この言葉は魔法なんだ。誰もがヒーローになれる」

 歩が、嬉しそうに笑っているのが見えた気がした。


 男同士の約束だ。

  

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