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一度こたつに入ると外に出てもその温もりを求めてしまう


 次の約束を取り付け国王が占領してるであろう文献を隙を見て書き写して持ってきてほしいと頼み王太子もといエドリックを帰らせ私は一息ついた。

 しかしまだ話は残っている。

エドリックが帰った途端にドタドタと足音が聞こえ強引に扉が開かれた。


「君は何をしているんだ!」


声を荒げ公爵がシャーロットの部屋に入ってくる。


「何って何がですか?」

「王太子殿下を呼びつけただろう?どうやって連絡を取ったんだ!」

「お忘れになりましたか?私は監視の者に公爵様に手紙を出していいかと伝言を頼み許可をもらいました。」


公爵はハッとしていたので思い出したようだ。


「それと王太子殿下に異界の魂について伝えました」


そう告げると公爵は私の胸ぐらをつかみ怒鳴った。


「何故だ!何故!ロッテがいつ帰ってきても、いつも通りの日常で迎えてやれるようにしたかったのに!そのために陛下も婚約に影響がでないようにと…なのに何故ロッテを奪ったお前が、ロッテの日常を壊そうとするんだ!」

「…シャーロットを取り返したいから!私がシャーロットを奪ったから取り戻したいんです…国王陛下と公爵様が調べても手立てがないならいくら時間が経とうと手がかりが見つかる可能性は低い!でも、私なら!異界の魂本人である私なら見たら何かわかるかもしれません!」


私が必死にシャーロットを取り戻したい思いを公爵に伝えると公爵は掴んでいた私の胸ぐらをパッと離し静かに私に話しかけた。


「君ならわかるとは例えばどういうことだ。」

「えっと…私の世界とこの世界は文字が違います。シャーロットの体に入っているからかこの世界の文字も読めますが私の世界の文字で書かれたものなどが何かあるかもしれません。そしてそれが何かヒントになるかもしれません。」


私が役に立てるかもしれないことを説明すると公爵は口を開く。


「…外に出てもいい。監視をつけて短い間ならな。」


それだけ告げて公爵は扉を開けて外に出ようとした、が部屋を出る直前公爵は私に問うた。


「何故君はロッテを探そうとするんだ…?」


その質問にしばらく私は答えに詰まってしまった。


「…シャーロットは私より愛されている、存在すべき人間です。」


それだけ言って私は公爵から顔を背けた。公爵が部屋から出る音が聞こえ私は正面へと向き直す。


(なんで探すのか、ね)


 私にもよくわからない。シャーロットのことだって小説で読んだ悪役令嬢だった姿しか知らない。それなのになんで彼女の為に動こうと思うんだろう。

 シャーロットは悪い噂まみれで怖がられてる悪役令嬢で、でもあんなに両親からあんなに優しく愛されていた人間で大事にされていた人だった。


 それに比べて私はシャーロットに向けられている愛情を私へのものだと勘違いして公爵や公爵夫人をの大切なシャーロットを奪って、だから取り戻そうと思った。

この世界に来て私に向けられたものじゃなくても初めて本物の愛情に触れた気がした。だから公爵と公爵夫人の笑顔を私が壊したことが嫌だった。シャーロットが戻ればやつれた公爵も気を病んだ公爵夫人も直ると思った。


(シャーロットを取り戻せば二人は少しはまた私に笑顔を…)


頭に浮かんだ想像を自覚して顔を歪ませる。


(私はこの期に及んでまだあの二人から愛してもらいたいと思っていた!)


思わず笑いがこぼれる。


(取り戻したところで愛してもらえるわけないじゃん…奪ったのは私なんだから…!)


嗚呼、

 私に向けられたものでなくても本物の愛に触れてしまったから知らなかった頃には戻れない。


 こんなもの知らなければこんな不毛な想いしなくても良かったのに。こんなもの知らなければあの二人からの愛を求めることなんてなかったのに。


私はゆっくりと目を閉じた。


(シャーロットを取り戻すことだけ考える…愛やなんやなんて、)



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