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Enjoy your stay.  作者: ゆう
case.4
27/52

4-3

 その夜……



 地上のウェストブリッジ税関ビルは、まばらに灯る明かりが残るだけで、連邦政府の公務員の残業規制がいかに機能しているかを物語っていた。

 だが、地下は別世界だった。


「皆、聞いてくれ」


 蒸し暑いブリーフィングルームに詰め込まれた職員たちへ、課長が声を張った。

 皆、どこか不機嫌な顔をしている。


「ベンが掴んだ情報の裏が取れた、情報をもとに数時間前、市警が市内のヘヴンエンゼルスカルのクラブハウスを押さえたが……」


 課長がごつごつした指でラップトップのエンターキーを押し込む。

 すると、プロジェクターが映し出す写真が切り替わった。


「……イケてる装飾だ」

「まったくだ、ダニエル」


 誰かが呟き、課長が鼻を鳴らした。


「報告書によれば殺人課のデカが……あー、現場を汚したらしい」

「その死体写真、スライドに入ってないでしょうね? 私、そういうの見ると貰いゲロするタチなのよ」

「安心してくれ、バフィー。鑑識には気の毒だが、我々の仕事じゃない」


 課長が再びエンターを叩くと、再び写真が切り替わる。


「ロードマップ?」

「ああ、ご丁寧にそこら中に転がってる誰かの血で道筋が示されてる。几帳面なロードキャプテンらしい」


 課長の指し棒がどす黒い線をなぞる様に動く。


「ウェストブリッジを起点に、州間高速84号線を東進し、フォールズで降りて93号線に合流。そのまま南進し……ゴールは」

「嘘だろ、ベガスかよ」

「そうだ。あそこは朝方到着でも街は人で溢れてる、幽霊ライダーが突入すれば、隠蔽工作は不可能だ」


 再び画面が切り替わると、証拠ナンバーを示すプレートの横に、『報復』の文字と日付が記されていた。


「楽しいツーリングの出発は今夜、12時きっかりだ」

「……ウソでしょ。あと4時間もないじゃない」


 誰かが天を仰ぎ、課長が頷く。


「見ての通りこの日付の解釈は二通りある。もし今朝だったら……手遅れだったがな。だが今夜なら、滑り込みセーフというわけだ」


 そう言って課長はもう一度キーを叩く。


「よく聞け。2時間後、CIAとCBPが州境の東行きインターチェンジと本線を封鎖する。フォールズでは、何も知らない市警が高速までの全ルートを閉鎖予定。当然、そこからベガスへ続く国道の全線も含めてな 」

「我々はこれより出発。ネヴァダ支所の人員および大使館職員と合流し、ベガス北東およそ30マイル地点、ここだ。ここに、ロードブロックを設置する。質問は?」


 沈黙の中で、手が一つ、上がった。


「……その、逮捕するんすか? ゴーストライダーをロードブロックで」


 ラテン系の男が口を開く。

 だが課長は、静かに首を振った。


「いや」


 一拍おいて、低く続ける。


「ロードブロックには……大使館から派遣された『飢餓』が待機している」


 その言葉に職員が騒めき、課長が小さくため息を吐き出した。


「それまでに止める。他は?」

「あー、ベンは不参加ですか? この手の荒事なら彼が適切では?」

「いや……彼らは既に待機中だ」

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