↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Enjoy your stay.  作者: ゆう
case.4
26/52

4-2

「すごい……」


 メイジーは目を輝かせてバイクに歩み寄った。

 メーカー名こそ見当たらないが、マットブラックのフレームに流線型のフォルム、カスタムされたフロントフォークと異様に分厚いタイヤ。

 一目見ただけで「速い」とわかるその姿に、思わずため息が漏れた。


「乗ってみるかい、嬢ちゃん」


 例の男がにやりと笑いながら声をかける。


「メイジー・ロックウッドです」


 メイジーは顔を上げ、控えめながらもきっぱりと名乗った。


「失礼。どうぞ、ロックウッド捜査官」


 男は肩をすくめ、少し愉快そうに言い直した。

 彼女が颯爽とまたがると、まるで誂えたようにシートが身体に馴染み、グリップも自然と手に収まる。


「いいバイクだな。誰が持ち込んだんだ?」


 バイクに興奮する部下を尻目に、ベンが問いかける。


「シリウス星人だよ。しかも今年のロサンゼルス・オートショーに登録してたんだぜ。即押収だ」

「誰ですって……?」

 

 男の軽口に、夢中でバイクを眺めていたメイジーが素っ頓狂な声を上げた。


「シリウス第三惑星人。地球での呼び名はまあ、そんなとこだな」


 男は飄々と答える。

 両手でハンドルを握ったまま、メイジーが慌てて振り返った。


「OSTP(大統領府科学技術政策局)から来た技術屋よるとだな、動力はおそらく電動。しかも『高温』超電導推進だと。DARPAが欲しがってるが、シリウス星人が返還を要求して。今は係争中。書類上完全に宙に浮いてる」


 あっけらかんとした言いぶりだったが、その内容はどう考えても現実離れしていた。


「幽霊の次は宇宙人ですか!?」


 メイジーが我慢できずに声を上げる。


「アンタらが相手にしてる幽霊より、よっぽどマトモだよ」


 男は気にも留めず肩をすくめた。


「マシだと? 主食が人間で、しかも食材に卵植えつける上品な客が、前にこの倉庫から逃げ出したろ。ウチどころかCIAの支局まで総動員になった奴だ」


 ベンが呆れたように口を挟む。


「あれは知覚種族じゃない。だからうちじゃなくて、動植物検疫局のネタだ」


 男は平然と、事務的に言い切った。


「シガニー・ウィーバーに任せればよさそうですね」


 黙って聞いていたビーリンがバイクに歩み寄りながら、会話に割って入った。


「どうかな。相変わらずのナイスバディだがもう歳だ。エイリアンはこりごりだろ。で、コイツの処分はそっちで持ってくれるのか?」


 男は肩をすくめ、苦笑まじりに返した後、ベンに問いかける。


「通例通りスクラップにしよう。ヤードまでの輸送はICEでやる。今夜届けてくれ」


 ベンの言葉に男は頷き、メイジーに向き直った。


「さぁ、お客さん。試乗はおしまいだ。降りてくれ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。