40 舞踏会(エルカルド、キアノ視点)③
((どうして、今きたの、、、、。もっと楽しめそうだったのに。))
そんな気持ちをぐっと堪えて、
「ユリア、、様。ちょうどその話をしていたところなのですよ。」
ユリアに話しかけられたキアノが答える。さて、一体どうしたものだと二人で顔を見合わせているうちに王太子が、自分達の横をすっと通って行く。
((あ、こいつ。))
と思って止めようとしたが、それも間に合わずに王太子はユリアの前に膝をつきダンスの誘いを始めた。
「アシュリー嬢、私と今宵のダンスを踊ってくれないか?」
ユリアは王太子のこと嫌っているみたいだけど、さすがにここまでされたら踊るんじゃなかろうか、と思っていたのにユリアは微笑みを浮かべながら爆弾を落とした。
「王太子殿下。恐れながら、私には先約がございますので、辞退させていただきたく存じます。」
((ここまで、してるのに断るって、、、。どんだけ嫌いなの!?))
と心でツッコミを入れた後、お互いに顔を見合わせる。
(キアノ、お前ユリアと踊るのか?)
(いえいえ、約束だなんてしてないですし、王太子を蹴って私と踊るなんて前代未聞ですよ。)
(だよなぁ。)
目で会話した後、ユリアと王太子の方を見るが王太子がかわいそうでならなかった。
ユリアはどうしてこんな空気になっているのかわからないようで、質問してきたが正直わざとやっているのかと思うほどであった。
あわれな王太子のためにユリアに助言を与えると、ユリアは
「王太子殿下。私のパートナー達は足首を左右に捻って、動けないそうなんですの。私は、今宵のダンスを楽しみにしておりましたので、先程のお誘いがまだ有効であれば、一緒に踊っていただけませんか?」
と言う。思わず、ツンデレか!!とツッコミたくなったが思いっきり唇を噛んで我慢する。
それから、ユリアは王太子となんだかテレテレしながらダンスをしていた。
見ているこっち側が恥ずかしくなるほどに。
ユリアは王太子のことを実は好きでツンツンしているだけなんじゃないか?、というのが会場全体の公式見解になったように感じる。
そんなユリアと王太子のダンスを見たご令嬢たちが、我々に迫ってきて足が擦り切れそうなほど踊った。
二人は踊りながら、
(ユリア、君の作戦が私達の快適に繋がることは無かったよ。)
(何を対価としていただきましょうか。)
なんてことを考えていて、誰と踊ったかなんて忘れてしまった。
そんなエルカルドとキアノが舞踏会後、ユリアに抗議文を送ったのは言うまでもない。




