39 舞踏会(エルカルド、キアノ視点)②
「いやはや。そのように見えていましたか。」
「ユリア嬢は、我々のこと気にもとめていないでしょうし、王太子殿下がわざわ気にする問題ではございませんよ。」
二人は、公爵から「絶対にユリアを王太子に渡すな」と言われているが、こんなにユリアを思っている奴のノロケた顔を見たいと共に思ってしまった。だから、二人は自然な流れで一人は否定をせずにとにかく不安を煽り、もう一人は相手を自分たちの関係の外に追いやる形にして疎外感を感じさせる。
(どこまで言ったら王太子の顔は歪むだろうか。)
(王太子殿下は、表情を隠されるのがお上手ですからね。否と言わない答えにどのくらいヤキモキしていらっしゃるのでしょうか。)
年齢相応のいたずら心がめいいっぱい働き、常なら優しい彼らを狂わせていた。
「そうか、、。ならば、我がユリア嬢と踊っても構わないだろうか。」
(え。否定と受け取ったかぁ。面白くないなぁ。)
(王太子殿下。いつお顔が歪むのでしょう。)
二人はひどいことを考えていたが、それらをまるっと顔の裏に隠し、呼び捨てで読んでいることを強調しながら、ユリアが来るまで楽しませてもらおうと考え、
「ユリアに聞いてみなければなりませんね。結局踊るのはユリアですから。」
とユリアと読んでもおかしくないエルカルドの方が代表して答える。
これで、しばらく遊んでいられるぞ、とワクワクしていた二人だったが、すぐに楽しみをぶち壊された。
「キアノ、私ダンスを踊ろうと思います。パートナーになってくださいませんか?」
ユリアがワクワクした目で話しかけてきた。急に罪悪感が襲ってくる。しかし、これからのお楽しみタイムも楽しみにしていたために、二人は心のなかで
((ユリア、、、、、。今じゃない。))
とユリアにツッコミを入れる。
そして、二人がものすごくがっかりしたのは、言うまでもない。




