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38 舞踏会(エルカルド、キアノ視点)①

「あぁ。疲れたね。ユリアと入場しただけであんなに視線を集めるなんて。」


「えぇ。ですが、当の本人は緊張しているようには見えませんでしたね。」


「ああ。もう少し普通の人間にも耐えられるストレスを用意してくれると嬉しいんだけどな。」


最近会ったばかりであるが、周りに敵だらけで自然と人を見る目が肥えた者と、生まれながらにして家業を継げる世を見る目を持っている者は、気が合うらしかった。


「にしても、ユリアってなんであんなに王太子嫌いなんだろうな。」


「それは私も思っていました。王太子と昔何かあったのですかね。」


「公爵様も知らないことだろうな、、、、。」



「大事な物を壊されたとか?」


「それをずっと根に持っている、、と。」


二人で答えがわからない問にああだこうだと議論していると、王族方の入場の合図が聞こえる。

すっと頭を下げ、登場を待ち、王の声で頭を戻す。それから、話を聞いて王と王妃のダンスを見る。

それが終われば、いつもなら女性がたくさん集まってくる。だが、今回はユリアの作戦のおかげで少しは減るのではないかと予想し、何人ほど減るかについて再び議論を開始する。


「減ると言ってもそこまで減ることはないんじゃないか? 多くて五人くらい。」


「ユリアは公爵様の愛娘ですので、敵にまわすと良いことはないと皆わかっていると思います。なので、多くて十人ほどではないかと。」



「君たちに言い寄る女性が減ることはない。」


二人の議論に割り込んで来たのはまさかの王太子であった。


(王太子が接近・話しかけて来たことで、こちらを向いた貴族は五つの家だな。あそこは、年頃の娘がいたはず。あっちは、、、、、、。)


(王太子殿下が付けているブローチの宝石良いやつだな。このようなカットの宝石は今まであまり出回ってないはずだから、これから新しい流行になるかもしれない。とりあえず、商会が既に所有している宝石で実験してみるとして、、、、、。)


「「それはどういった意味でございましょうか。」」


二人とも色々考えたが、表の顔が完璧なので何事も無かったように王太子に反応する。

王太子はそれに気づいているのかいないのかはわからないが、話をすすめる。


「そのままの意味だ。今日、君たちがアシュリー公爵令嬢のパートナーだったというのは、本当か?」


「ええそうです。」


「私達二人がアシュリー嬢のパートナーを務めさせていただきました。」


何か問題でもあったかと、二人で顔を見合わせたがお互いに心当たりがないようなので、王太子の言葉を待つ。

すると、とんでもない言葉が聞こえてきた。


「では、君たち二人ともアシュリー嬢に気があるのだろうか?」



二人がこの言葉を理解したのは、七周くらい頭の中を巡ってからだった。


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