34 舞踏会③
ユリアは、今回テンションがメーター振り切れるほど上がっています。
舞踏会の始めには、必ず国王陛下からのお言葉がある。長々とした話をまとめると、「集まってくれてありがとう。楽しんでね。」だ。
それが終わると、国王陛下と王妃殿下のダンスを見て、私達がダンスを踊ることになる。
国王陛下と王妃殿下のダンスが息ぴったりで美しかったので、私もあんなふうに踊りたいと思い、同じ庶民だったという共通点があり親近感のあるキアノを誘おうと、彼の方に歩いて行った。
しかし、そこには王太子もいた。
(なんで王太子がここに? でも、エルカルドもここにいるのだから、まあ納得っちゃ納得?)
と心で整理をつけて王太子の方へお辞儀をし、キアノの方へ向く。
「キアノ、私ダンスを踊ろうと思います。パートナーになってくださいませんか?」
この国では女性から誘うことも全然ありなので、とてもありがたい。キアノはなんだかんだ優しいし、たぶん受けてくれるだろう。
「ユリア、、様。ちょうどその話をしていたところなのですよ。」
舞踏会が始まる前に名前呼びにしましょうって言ったのに、様がついている。それに、なんだかキアノもエルカルドも苦い顔をしている。まさか、王太子になにか言われたのかと思って王太子の方を見ると、私の目の前に膝をついていた。
「アシュリー嬢、私と今宵のダンスを踊ってくれないか?」
私がキアノとエルカルドと一緒に入場してきたことは、知っているはずなのに、私にダンスのパートナーを申し込むなんて政略結婚を迫られる王族って、、、、、、、。大変だなぁ。と素直に思う。
彼のことを決していい人だとは思っていないがさすがにこれには同情したので、ここで私が断って本当に彼が踊りたい相手と踊ってもらうことにした。
「王太子殿下。恐れながら、私には先約がございますので、辞退させていただきたく存じます。」
さあ、気付け!!王太子よ。今日の私は初の舞踏会でテンションが上がっているし、気分もいいからこんな慈悲深いことができたんだよ。願わくば、メリンダ嬢と踊って欲しいが、この際あなたが好きなヒロインでもいいから。
善いことをしたと思って満面の笑みで周りの人たちを見たが、キアノやエルカルドを含め全員ドン引いていた。また、王太子も魂ここにあらずといったふうな顔で目が死んでいた。
ユリアは、今回上がりすぎたテンションのせいで、調子にのっています。
優しい目で御覧ください。




