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30 王家に対しての

「そんな怖い顔していたら、せっかくのかわいい顔が台無しだよ。ユリア。」


「こんな怖い顔をさせている張本人であるお父様のセリフとは思えませんわ。私に常識がないと、笑われて欲しいのですか?」


「違う!! 違う!!これはね、ちゃんと僕が練に練った計画なんだよ。」


「で、その計画というのは?」


立場が悪くなると相手を褒めるお父様の癖が、今はかえって悪い方向に作用している気がする。いつかお父様のその癖が通用するのは、家族を除いた女性とお父様の熱狂的なファンだけだと教えてあげようと思う。


「じ、実はね、最近王から王太子の婚約者が欲しいなぁみたいな感じの雰囲気出されてて。だから、王太子を婚約者にするのは、ユリアの勝手なんだけど、王太子以外にもユリアを欲しがっている男はこんなにいるんだぞってアピールするために、二人のパートナーにしたわけなんだよ。わかってくれたかい?」


「そういうことでしたのね! それならそうと早く言ってくださればいいのに〜 さらに言うなら、二人では足りないくらいですわよ。五、六人引き連れた方がよろしいのではなくって?」


「「「え?」」」


父を含め、三人が驚くのも無理はないと思うが、王太子は私の愛しの健気で、麗しいメリンダ様(第1話〜第3話を参照)を悪役令嬢にしたてあげた許し難き人間ですからね。


(まあ、そのおかげで悪役令嬢を演じる声が聞けたので、そこだけなら感謝できるけれども。)


自分でも、久々の供給に全細胞が歓喜する感覚が久しぶりすぎて少し驚いているが、舞踏会のパートナーの件をなんとしてでも、予定から決定事項に変えるため、顔面で嬉しさを表現する。


私の表情に意識を取り戻したのか、急に正気に戻った発言をする。


「ユリア、さすがに、、、五、六人は多すぎると思うよ。逆に遊び人だと思われてしまうよ。」


「ユリア様。私がお手伝いできることがあればおっしゃってください。」


「ユリア嬢、あの、その、気を確かに。」


エルカルド様にいたっては、気を確かに、とまで言われてしまった。まあ、嫌そうにしていたことを急に受け入れたら不思議に思うよね。まあ、嫌じゃないということを顔だけではなく、言葉で決定権をもつ父に伝える。


「お父様。私の舞踏会のパートナーはエルカルド様と、キアノ様の二人がいいです。」


「う、うん。そうみたいだね。提案を受け入れてくれて嬉しいよ。」


お父様の答えは多少ぎこちないものだったけれど、許可をはっきりともらえたので顔には出さないが、歓喜する。


パートナーを務めてもらう二人に挨拶とお礼をし、三人に別れを告げる。それから、メイを呼んで、しばらく私は部屋に籠もるわ、と告げて部屋の周りに人を寄せ付けないようにしてもらう。


先程、オタク思考回路を久々に使って、詰まりがないので思考がとても鮮明になっているのを感じているからだ。色々と思い出したりして、ほんの少しばかり声が大きく出てしまうかもしれない。


ユリアが前世で読んでたマンガに出てきたメリンダ嬢ですが、悪役令嬢と言うには読者にとって共感が持て過ぎるキャラクターで、本来祝福される王太子とヒロインの恋にブーイングが入るほど、というイメージです。また、ユリア自身はそんなメリンダ嬢が大好きなので、好き勝手に生きるといっても、悪役令嬢になろうとはしません。そのかわり、王太子にとてもつっかかる人になってます。

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