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25 名前つけ①

「舞踏会の準備は順調ですか?」


ハリーさんのいつも通り明るい声に、耳が耐えられない。準備は順調であるが、その引き換えとして私は大変忙しく、今にも寝そうだ。だが、ここで引き下がるのは私のプライドが許さなかったので、商会には毎日顔を出している。


「ええ、まあ。お母様がすごい気合入っているので、、、。」


いつもは、静かでツンデレな母も、何かのタガが外れたように気合が入りまくっている。私の返事に「それは大変ですね」と同情するような励ましの言葉を言ってくれたハリーさんが、急に聖人に見え始めたのも無理はないと思う。


だが、そんなハリーさんが執務室についてから今日の本題を話す前に申し訳無さそうな顔をしたので、今日は一体何をするのだと不安になってくる。


「今日は、商いの授業から一旦離れて、別のことをやろうと思っています。それと、このことは既にカドリックから許可をもらっています。」


やっぱり、何かするのだ。もしかして舞踏会関係のことをここでもやるのだろうか。もしそうなら、お手洗いと言って脱走するしかない。どこから逃げようかと考えを巡らせつつ、まだ詳細が話されていないハリーさんの話の続きを待つ。


「今日は、ユリア様と私で私の伯爵の名前をつけたいと思いまして。」


なんだなんだ。そういう楽しそうなことなら全然心配する必要なかったじゃないか!!と想像していたようなものではなく、楽しそうなことに胸が高鳴る。そして、


「よろこんでご協力させていただきます。少々舞踏会のことで色んなことが嫌になっていましたの。楽しそうなことができて嬉しいですわ。」


と高ぶる感情をそのまま言葉にすると、ハリーさんに驚かれたが、それと同時にまたもや同情される。本当にハリーさんは優しいわね、だなんて呑気に考えて、よく考えずに返事をした私に教えてあげたい。ハリーさんは同情したのではなく、軽く謝罪をしているのだと。

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