24 舞踏会の準備
この国には、デビュタントなるものはなく、十歳になれば必然的に成人とみなされ、結婚や社交界への参加が許される。だから、どこの家も十歳になって初めての舞踏会は実質お披露目の場だと考え、念入りに準備し、身にまとう物も一級品で揃えるのだ。
だから、公爵家直々に一級品を揃えず、伯爵位を持つハリーさんが揃えたものを使ったドレスを公爵令嬢である私が着た場合、公爵家はその一級品を揃えるツテがないことを示すはずだ。ゆえに、このハリーさんからの提案に両親はのるはずがないと思っていたのだが、
「ハリー、それはいい考えだと思う。だが、君はそれでいいのかい?」
「ハリーさん?あなたはどこに行ってもいいのよ?」
と、なんならハリーさんは心配されているようだ。どういったわけでそうなっているかはわからなかったが、またあのカオスな状況に戻らなかったので、思考を放棄した。
家に帰ったら、とてつもない量のドレスのデザイン図を見せられた。両親はこれまでは私にバレないようにとコソコソやってきたけれど、バレたならコソコソやる必要はないと結論を出したらしい。
まず、気に入ったドレスをいくつか挙げる。そのデザインを簡単な布で仮縫した物を試着し、イメージ通りか確かめる。それを繰り返し納得のいく物を探す。
途方もない作業だったので、少々嫌になりつつも気合と根性で乗り切った。
この地獄の作業を経て、自分が貴族の令嬢であると初めて認識した出来事であった。
今まで貴族の令嬢っぽいことしてないなと思ったので、舞踏会を開催します。




