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23 初めて聞いたこと

「では、今日もよろしくお願いします。ユリア様。」


ハリーさんとお父様が昔のようになってから、もう二週間がたった。もう日差しが初夏のものになっている。あの日以来、私はハリーさんが引き続き商会長を務めるアシュリー商会に入りびたり、(あきな)いの いろは を教わっている。


いつも通り、門から執務室まで歩いていく間に世間話をしていると、初めて聞く単語が耳に飛び込んできた。


「そういえば、ユリア様は初の舞踏会にどんなドレスを着て行かれるのですか?」


ぶとうかい?ん? と思ったので、後ろに控えていたメイに顔を向けると、ハリーさんに対して怒りの表情を向けていた。恐ろしくて、ひゅっとハリーさんの方を見たがハリーさんもメイの顔を見てしまったらしく、顔が固まっている。


気づけば、私達は執務室を目指して走っていた。(紳士なハリーさんは、私に許可をもらってから、私を抱きかかえて走ってくれた。)


執務室について一安心と思っていたが、外から窓ガラスを割ってメイが入ってきた。誰も止められやしないその顔もあいまって、ハリーさんと私は理由は知らないが、とにかく謝った。



落ち着いたメイに話を聞くと、お父様とお母様がわざと私に舞踏会のことを伝えていなかったらしい。理由は、父達いわく「初めての舞踏会で着るドレスをババーンと見せて、驚きながらも喜んでいる娘を見たいから」らしい。しょうもない理由だが、この理由のために屋敷中の皆が協力していた事実を知って思わず顎が外れそうになった。

そして、それと同時にメイがハリーさんをあんなに睨んでいた理由を理解する。


(せっかく頑張って隠していたのに、勝手にバラされちゃったんだもんね。  メイは絶対に怒らせないようにしよう、、、。)


理由を理解したハリーさんは、額から血が出るのではないかと不安になるほど強く床に打ち付けながら謝っていた。それから、メイの知らせを受けやって来た父と母もハリーさんに「なんでぇぇ」と泣きながら問い詰めるものだから、アシュリー商会のこの執務室はカオスだった。



感情が高ぶっている大人たちをなだめ、


「私は舞踏会のこと早く知れてよかったですよ。舞踏会に向けて準備しておきたいこともたくさんありますから。」


と言ってハリーさんをかばう。本人がそれでいいのなら、、。と父と母とメイが引き下がってくれたことに安堵しつつ、心の中で情報屋でも雇おうかしら、と思いを巡らす。

まあ、これで一件落着だと安心していたのに、またしてもハリーさんが爆弾をぶち込んだ。



「ユリア様のドレスの材料として、我が商会のものを使っていただくことは可能でしょうか。」

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