21 好きなように生きるとは疲れる
ユリア視点に戻ります。
私は自分の好きなように事を進めた結果、今大変忙しいことになっている。
「メイ〜。ちょっと休憩しない? 五時間ぶっ通しは疲れたよぉ。」
「お嬢様ならまだいけます。それに私は申し上げたはずです。好きなことを進めれば、その分負担が増えると。」
「いや、聞いてたし、わかってたけどさぁ。公爵と商会長の仕事ってこんなに忙しいものなの!? お父様いつも暇そうにしているじゃない!!」
「公爵様はちょっと頭のネジが数本とんでいるので、大丈夫なんですよ。」
雇い主を軽く侮辱したことへツッコミもできず、机に顔を突っ伏す。それと同時に、今までただの善意でやってきたけれど、なにも成果がないなんてことになったら、正直ぶん殴りそうだなと自身の心持ちを認識する。だから、
「私って、案外心がとても狭いのね。」
なんて軽くボケたら、メイは真面目に
「そうですね。」
と真面目な顔で返してきた。普通の侍女は、「そんなことないですわー」っていうもんじゃないの?と思いつつ、こういう侍女がいたほうがいいなと再確認する。
だけど、こんなに疲れているときにこれ以上ズケズケと言われたくないので、話題を変えることにする。
「そういえば、お父様とハリーさんはいつお帰りになるのかしら?」
話題を変えたことに気づいたのか、顔をしかめられたけれど、気づかないふりをして、ぶりっ子ポーズを取る。メイはこのポーズが苦手なのだ。
「お嬢様。そのポーズはおやめください。正直に答えますから。」
「あら〜。このポーズ結構いいと思っていたのですけれど、メイがどうしてもやめて欲しいというのならやめましょうか。で、早く教えてくださいな。メイは今どこに二人がいるのか知っているのでしょう?」
メイは昔から、どこからともなく情報を仕入れてきて、私に取捨選択をしながら教えてくれていた。
だから、お父様とハリーさんのことも知っているだろう。もうそろそろ、この仕事は疲れすぎて、まぶたが重くなっているので、早く帰ってきてもらえるとありがたいんだけど、、。という希望を胸にメイを見つめた。しかし、メイは私の希望を破壊する言葉を紡いだ。
「お二人は今、市場で楽しく買い物をしています。」
私はその言葉をきっかけに疲労がどっときて、死ぬようにカクリと寝てしまった。




