♥ 瀬圉家 1 / 本家 1 / 別邸 1 / リビング 1
──*──*──*── 瀬圉家
──*──*──*── 本家
──*──*──*── 別邸
──*──*──*── リビング
私はソファーベッドの上に俯せに寝そべった格好で、衛夛のスマホへLINEを送信する為に文章を打っている。
今夜から寝室では寝ないで、リビングで寝る事にしたの。
1人用のソファーは、玄武がソファーベッドに変えてくれた。
勿論、弓弦さんもリビングで寝る事になったから、リビングにはソファーベッドが2つあるの。
弓弦さんはダイニングキッチンで明日の料理の仕込みをしている。
リビングには小型犬くらいの可愛い姿をした十二支の式神が居て、各々が自由に寛いでいる。
私が不安がらないように──って玄武が態々召喚してくれたの。
例え地震が起きても玄武の張ってくれている結界が地震の揺れを和らげて、被害を最小限にしてくれるから、不安がる必要はないんだけど……。
衛美
「 ──玄武、お父さんとお母さんは無事かしら? 」
玄武
「 車は駐車場にあるからな、優も美緒も本邸に居る。
無傷かどうかは知らないが無事だ。
安心するといい 」
衛美
「 本当?
嘘じゃないわよね? 」
玄武
「 気になるなら衛夛に確かめてみてはどうだ。
本邸に居る衛夛なら、優にも美緒にも会える筈だ。
状況ぐらい聞けば教えてくれるだろう 」
衛美
「 そうよね。
お父さんとお母さんの事は衛夛に確認してみるわ。
──玄武、霄囹が言ってたけど、玄武は術式を作れないの? 」
玄武
「 術式を作れるのは人間の術者だけだ。
式神に術式は作れないな 」
衛美
「 どうしても?
術式は使えるじゃないの。
新しい術式を作るにも術式を使うんでしょう?
玄武にも作れるんじゃないの? 」
玄武
「 式神は法力を使えないからな。
仮に術式を発動させる事は出来ても、新たな術式は作れない 」
衛美
「 そんな…… 」
玄武
「 本来、式神は術式を発動させる事は出来ない。
術式を作るのも発動させるのも本来は人間の術者にしか出来ない事だ。
ワタシが術式を発動させれるのは、眞小呂のお蔭だ。
ワタシを統括式神として生み出す時、法力を使わず、あらゆる術式を発動させれるようにしてくれた。
何故、眞小呂が其処までしてくれたのかは分からないがな 」
衛美
「 …………眞小呂にとって、玄武は特別な式神だったのね… 」
玄武
「 眞小呂はワタシのかけがえのない家族だった…。
生みの親ではあったが、弟のような友のような存在だった。
眞小呂の霊魂を霄囹に穢させたくはない。
衛美には悪いが、眞小呂を目覚めさせる事は出来ない 」
衛美
「 ……ううん、いいの。
眞小呂に頼らないで、召喚返しの術式を作る方法を探そう。
きっと見付かるわ!
見付けて見せる! 」
玄武
「 衛美… 」
厳蒔弓弦
「 ──玄武、妖魔を倒せるのは『 陰陽師と退魔師だけだ 』と言っていたが、陰陽師は式神で妖魔を倒すのか? 」
衛美
「 そうですよね。
退魔師は魔具に法力を込めて使うから妖魔を相手にしても戦えますけど、陰陽師って武器らしい武器って持ってませんもんね。
映画で見ましたけど、御札ぐらいですよね?? 」
厳蒔弓弦
「 霊符の事だな。
陰陽師は霊符に自分の法力を込めて使うのが一般的だ。
物体ならば法力を込めて扱う事は出来るが、持ち歩き易く使い勝手のいい霊符が主流となっている。
式神を召喚する時は、人形の霊符に法力を込めて使うのが主流だ 」
衛美
「 そうなんですね。
じゃあ、陰陽師は霊符や使役している式神を操って妖魔を倒すのかしら??
玄武、どうなの? 」
玄武
「 戦い方は陰陽師に依って異なるだろう。
法力を込めたBB弾をモデルガンで撃つ陰陽師も居るぐらいだ。
現代の陰陽師は自分に合った多種多様な戦い方をするだろうな。
1番手っ取り早いのは式神に戦わせる事だ。
術者は高見の見物をしていればいいだけだからな 」
衛美
「 まるで玄武みたいね… 」
玄武
「 ワタシと術者は違うぞ。
ワタシは式神に指示や命令を出すだけで、式神の制御もコントロールもする必要がないかならな。
法力の消費に悩む事もない 」
衛美
「 どういう事?
式神は召喚したら終わりじゃないの? 」
玄武
「 式神は術者が法力を練り、使役したものだ。
召喚したら、式神が暴走しないように手綱を上手く操らないといけない。
簡単な雑用をこなす弱い式神ならば放っといても術者に害はないが、強い式神となれば制御し、コントロールする必要がある。
式神を使役するのに最も大事な事は、自分の身の丈に合った式神を使役する事だ。
制御もコントロールも出来なくなると、式神は暴走し、使役者である術者を喰らう。
式神に喰われた術者の身体は式神に乗っ取られ、式神の中で生かしたまま取り込まれる。
式神は法力を供給されないと姿を維持させる事が出来ないからだ。
式神の体内に取り込まれた術者は式神を動かす為の原動力にされるわけだ。
暴走し、主を喰らった式神は “ 野良式神 ” となり、彼方此方で何等かの問題を起こす。
一方、術者の身体を乗っ取った式神は、術者の記憶を元にして人格を手に入れる。
術者の体験,経験,知識,地位,権利,人望…等を利用し、術者として人間社会で生きる。
野良式神と違い、知性もあり理性もある。
見た目は人間と変わらない。
言葉は通じるが、下手をすると野良式神よりも厄介な存在だ。
身体は術者のものだから、子孫も作れる。
昼間は陰陽師として普通に生活し、夜間は悪徳陰陽術師として人々を襲い、喰らっては騒ぎを起こしたりする 」




